ビットコインとエネルギー問題
米商品先物取引委員会(CFTC)のロスティン・ベナム委員長は8日、米ワシントン・ポスト紙のライブ報道番組「Evolution of Money」に出演。「極めてエネルギー集約的」であるとの指摘のあるビットコインの監督について質問を受け、自身の考えを語った。
ベナム氏は、仮想通貨のユースケースとマイニングによるエネルギー消費量には、現時点で大きな食い違いが生じていると認識しており、その食い違いを解消する必要があると主張。その方法としては、PoW(プルーフ・オブ・ワーク)からPoS(プルーフ・オブ・ステーク)への移行など、技術的なものも含まれるだろうとした。
また、同氏は前日に発表された暗号資産(仮想通貨)法案(ルミスーギリブランド法案)に言及。法案で毎年の実施が義務付けられた、連邦エネルギー規制委員会(FERC)とCFTCによるデジタル資産のエネルギー消費分析調査報告書が、問題解決の出発点になるとの見解を示した。
同時に、投資家やユーザーが、エネルギー消費に関する問題点を理解できるよう「情報の流れ」に配慮する必要があると指摘。経済的なインセンティブを通じて、省エネを意識した行動につながるよう理解を促すことが重要になると述べた。
情報の流れを作れば、インセンティブとディスインセンティブ(阻害要因)が市場を正しい方向に動かしてくれるというのが、古くからある経済学の理論だ。気候危機や気候変動問題を考慮すると、適切で正確な情報開示があれば、インセンティブによって人々はエネルギー消費行動から離れると考える。
ビットコインは価値の貯蔵手段
番組のホストは、ルミスーギリブランド法案で、仮想通貨の大部分が商品(コモディティ)であると定義されたことについて、べナム氏の考えを尋ねた。同氏は、証券取引法と商品取引法の規制における目的の違いに言及する中で、デジタル資産と商品について次のように説明。規制におけるCFTCの役割についても触れた。
- 農産物、エネルギー商品、金属商品などの伝統的な商品は消費者が使用する「分散型の価値の貯蔵物」であり、消費者はさまざまな方法で商品を利用する。
- デジタル資産の多くが商品を再現していたり、商品のように見受けられることは明らかであり、証券というよりも、「価値の貯蔵物」に近い。
- そのため、コモディティ分野では、一般的に、証券の発行事業体と投資家間の情報格差を解消することを目的とした、証券取引法で求められるような情報開示は必要ない。
- 「商品の規制当局であるCFTCが、商品に関する情報開示を行うのは、筋が通らない」
- 時価総額トップを占めるビットコインとイーサリアムの場合は、商品であり、また商品のように見えるため、商品の規制当局が管轄するべきである。
- ビットコインは価値の貯蔵手段である。商品として扱う必要がある。
- CFTCが達成しようとしているのは、投資家にリスク開示を行い、リスクに対する理解を促すことだ。
- CFTCはコモディティ分野、特にデジタル資産分野では最高レベルの専門家を抱えており、最も強力な執行プログラムを持つ機関だ。