CFTCがジェミナイを提訴
米商品先物取引委員会(CFTC)は2日、ウィンクルボス兄弟が運営する米国の暗号資産(仮想通貨)事業会社ジェミナイ・トラスト社(Gemini)に対して訴訟を起こした。米国の伝統的な取引所で初めて認められた「ビットコイン先物」について、交渉過程で提出された情報が争点となっている。
マンハッタン連邦裁判所に提出された訴状によると、ジェミナイ・トラストがビットコイン先物の規制承認を得るために17年7月~12月に行われた交渉で、CFTCに対して「虚偽あるいは誤解を招く申請をした。あるいは重要な事実報告を省略した」とされている。CFTCは、取引の停止や登録の抹消、罰金などを求めている。
17年12月11日(日本時間)、株オプションや先物の米国取引所大手「Cboe Global Markets(Cboe)は、規制された最初のビットコイン先物取引をスタート。同18日には、同じ米国のシカゴ・マーカンタイル取引所(CME)がこれに続き、ビットコイン価格の当時の最高値2万ドル(220万円)に到達する要因となった。なお、CMEのビットコイン先物市場は継続しているが、Cboeのものは2019年に上場廃止となっている。
CBOEとCMEの違いの一つに「値決めの算出方法」がある。CMEは複数のスポット市場の合計価格に落ち着く「価格設定方法」を導入・提供しているのに対し、Cboeは仮想通貨取引所ジェミナイだけに依存した。
今回の訴訟ではこの部分が槍玉に挙げられた格好だ。ビットコイン先物商品の価格参照元となるジェミナイの現物市場における、価格操作の予防策について虚偽あるいは誤解を招く申請をした、とされている。
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価格操作につながる要因
訴状によると、ジェミナイは取引量を増やすためにマーケットメイカーに資金を貸し出し、価格操作に対する保護機能を低下させた、と主張されている。特に、「ジェミナイがマーケットメーカーにリベートを付与することについて、虚偽や誤解を招く発言があった」との記載がある。
例えば、2017年8月末、マーケットメーカー向けの取引手数料リベートプログラムに関するCFTCの追及に対して、ジェミナイは「マーケットメーカープログラムがない。公開された手数料表がすべてのジェミナイ市場参加者に適用される」といった旨の回答をしたという。
CFTCによると、手数料のリベートはトレーダーのコストを削減することでウォッシュトレードやその他の価格操作に関連する不正行為につながる可能性がある。ひいては、ジェミナイ取引所の取引量、流動性、取引参加者の規模を誤解させる可能性さえある。「ビットコイン先物が簡単には操作されない」という当時のジェミナイの主張を判断する上で、こうした情報を正確に知らされる必要があったとして、CFTCは以下のように主張している。
手数料リベートおよびオーバーライド(特別手数料)に関する委員会スタッフへの誤解を招く発言および省略は、ビットコイン先物取引の評価にとって重要なものだった。
ウォッシュトレードとは
資産価値や流動性を意図的に嵩増しして誤認させるため、売り手による自己売買(仮装取引)行為。同一人物による権利の移転を目的としない仮装売買は、株式市場では相場操縦行為として「金融商品取引法」で規制されている。
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ジェミナイ側は疑惑について否定している。CoinPostの米国提携メディアThe Blockに対して「ジェミナイは設立以来、思慮深い規制のパイオニアであり、提案者であり続けている。当社は、許しではなく、許可を求め、常に正しいことを行う8年の実績を持つ。法廷でこれを決定的に証明することを楽しみにしている」と述べた。
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