仮想通貨市況
27日の米株式市場では、ダウが前週末比62ドル(0.2%)安と反落。 米連邦準備理事会(FRB)の金融引き締め加速に伴う景気後退懸念は依然として強い。
暗号資産(仮想通貨)市場では、ビットコインは前日比60,901円(-2.1%)安の279万円(20,650ドル)となった。
機関投資家の資金フロー
資産運用会社CoinSharesの週次レポートによれば、暗号資産(仮想通貨)投資信託などのデジタル資産に対する機関投資家の資金フローは先週、4億2000万ドル以上の純流出に見舞われた。観測史上最大となる。
取引報告の遅延を加味すると大規模な流出は6月17日分に該当するとみられ、カナダの仮想通貨取引所及び、特定プロバイダーからのものとされる。CoinSharesの分析によると、ビットコインは同週末に1BTC=17,760ドルまで急落したが、この一因になった可能性がある。
総運用資産(AuM)比で見ると、過去最大の流出率は18年2月の弱気相場で発生した1.6%。先週の流出率は過去3番目の1.2%だった。その一方、ビットコインの下落で利益を得られる「インバース型先物ETF」に1500万ドルの資金が集まった。
インフレ抑制のために異例のペースで金利引き上げが続く中、マクロ経済環境に変化の予兆が訪れない限り、デジタル資産ファンドからの資金流出は歯止めが掛からないおそれもある。
財政破綻の危機
先日のUSTショックや金融市場の地合い急悪化を受け、仮想通貨市場で巨額投資・融資を行っていた企業に債務超過リスクが波及している問題も依然として燻っている。
米The Blockが報じたところによると、仮想通貨融資企業Celsius Network(セルシウスネットワーク)について、弁護士が破産手続きを推奨していることが分かった。セルシウスは13日、「極端な市況」を理由に顧客資金の引き出し、仮想通貨のスワップや口座間の送付を停止していた。
関連:セルシウス、弁護士が破産手続きを推奨か=The Block
また27日には、仮想通貨企業Voyagerが仮想通貨業界の大手VCであるThree Arrowsに対し、デフォルト(債務不履行)通知を発行したことを発表した。
関連:仮想通貨企業Voyager、Three Arrowsの債務不履行を発表
オンチェーン分析
24日に掲載されたGlassnodeのデータによれば、2015年以来初めて「メイヤー倍数(Mayer multiple)」が0.5を割り込み、0.478まで下落した。
メイヤー倍数は、200日移動平均線(200MA)に対するビットコインの価格比率で算出されるもので、現行の市場価格とのギャップを数値化した指標。0.5は、前回のバブル崩壊(2018年〜2019年)サイクルにおける最低値(0.511)を下回る水準だ。
降伏シグナルが続く中、MVRV(Market Value to Realized Value)も低迷している。
MVRVは、過去1年間にBTCを購入した投資家の「平均利益/損失」を評価するために用いられるもので、算式は(市場時価総額:MV-実現時価総額:RV)/MVを用いる。
0以上のプラス圏は「オーバーバリュー(割高圏)」、0以下のマイナス圏は「アンダーバリュー(割安圏)」を示しており、周期的な底は、MVRVが1.0未満に達したときに訪れてきた。
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