GBTCのETF転換の可否判断に備える
米暗号資産(仮想通貨)資産運用会社グレースケールは27日、同社のビットコイン投資信託「GBTC」の上場信託(ETF)への転換が米証券取引委員会(SEC)から承認された場合、大手マーケットメーカーのVirtu FinancialとJane Street(共に米企業)が、指定参加者として協力すると発表した。
We’re proud to share that two of the world’s leading ETF market making and trading firms, @VirtuFinancial and @JaneStreetGroup, have agreed to serve as Authorized Participants for $GBTC, pending approval from the SEC. https://t.co/zj5tvSI2uy
— Grayscale (@Grayscale) June 27, 2022
指定参加者とは
指定参加者とは、ETF運用会社との間で現物株とETFのやりとりを直接行うことが可能な証券会社を指す。指定参加者は、ETFの発行市場において運用会社との間でETFの設定・解約(交換)、ETF銘柄のマーケットメメーキングを行う。
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グレースケール社のGBTCは過去1年以上にわたり、ビットコインの資産価値より低い価格(マイナス・プレミアム)で取引されており、現在は30%近い割引価格となっている。
同社はこのようなマイナス・プレミアムを解消するため、GBTCをオープンエンド型のETFに転換する申請書を、昨年10月にSECに提出。この転換申請は11月にSECにより正式に受理され、現在、SECの可否判断を待っている状況だが、その最終期限が7月6日に迫っている。
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ETF承認キャンペーン
グレースケールのMichael Sonnenshein最高経営責任者は、27日付の投資家への書簡で、ETF承認に向けて同社がいかに多角的な戦略を練り、展開してきたかを振り返った。
SECとの対話はもちろん、複数の媒体を使った大規模な広告キャンペーンや連邦議員やシンクタンク、メディアへの働きかけ、研究者や学識経験者との連携などを行なってきたという。
そのような努力の結果、投資家や学者、業界団体、ビジネスリーダーなどの利害関係者から、1万1,465通ものETF支持のコメントがSECに提出されることとなったようだ。
コメントの3分の1には「ビットコイン先物ETFは承認されているのに、なぜ現物ETFがないのか」という質問が記されていたという。
SECは2021年10月にビットコイン先物ETFの取引を承認し、その後、複数のビットコイン先物ETFを承認してきた。
一方、SECは市場操作の懸念や基盤市場において監視を共有する協定の欠如を理由に、全てのビットコイン現物ETFの承認を拒んできた。
このような経緯から、グレースケール社のETF転換が承認される可能性も低いと見られている。
非承認の場合
Sonnenshein氏は、SECの判断について「あらゆる可能性に備えている」と述べ、SECが転換を許可しない場合の選択肢も検討していると語る。
グレースケール社は、すでに社内の法務チームと社外の弁護士事務所とビットコインETFに関する「包括的な議論」を展開しており、オバマ政権時代に事務総長を務めたベテラン弁護士Donald B. Verrilli氏を法務戦略役員として迎えたと発表した。
また同社は、SECへの書簡で、現物と先物商品の扱いの違いは行政手続法違反になりかねないと主張しており、SECが申請を却下した場合、法的措置をとる可能性も示唆している。