「仮想通貨市場の健全性を保つことが重要」
大手暗号資産(仮想通貨)取引所FTXのSam Bankman-Fried CEO(通称サム)は19日、ブルームバーグのクリプト・サミットに登壇。企業救済やビットコイン(BTC)購入を検討したことについて語った。
まず、サム氏は、企業救済について、仮想通貨市場の環境を健全に保つことを目的として「ある程度、条件の悪い取引をしてもいい」と述べた。
その投資に対して良いリターンを得ることが出来るかという点よりも、より広く仮想通貨業界の健全性を維持することが重要だという。
FTXの救済事例
市場が停滞している中、FTXは6月、仮想通貨金融サービス企業BlockFiに約340億円の融資を決定。資金は適宜、BlockFiのバランスシートやプラットフォームの強化に利用される予定だ。BlockFiの買収権を得る契約も結んでいる。
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また同6月、FTXの親会社に当たる仮想通貨投資・トレーディング企業「Alameda Research」は、仮想通貨取引プラットフォームVoyager Digitalに、約260億円の信用枠を提供していた。ただその後、Voyagerは今月初めに破産申請している。
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Alameda Researchとは
アラメダリサーチ。仮想通貨取引所FTXの親会社に当たる仮想通貨投資・トレーディング企業。FTXを含む大手取引所で仮想通貨市場に流動性を提供するマーケットメイカー。数々の有望な暗号資産・ブロックチェーン企業やプロジェクトに出資している。
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サム氏は、仮想通貨マイニング企業についても、機会があれば買収を検討していることを示唆。ローン残高が担保を上回っている状態のマイニング事業者が存在するかどうかを調べてきたという。
「仮想通貨の冬」について
サム氏は「仮想通貨の冬」について、ボラティリティ(価格変動)を耐え抜ける企業を明らかにする働きをしていると語った。FTXについては、今回の市場低迷という「強制的なストレステスト」によって、同社システムには何の問題もなかったことが証明されたという。
また、企業に取引の際、適切な担保を得ることを要求するような規制があれば、テラのエコシステム崩壊をきっかけとした悪影響の伝染を「ある程度防げたことは明らかだろう」とも見解を述べた。一連の騒動により、どの企業が適切なリスク管理の決定をしていたかが示されたとも続けている。
破産した仮想通貨ヘッジファンド、スリーアローズキャピタルについては「彼らの取引は裁定取引というより、パンティング(punting)に近いものだっただろう」とコメントした。
さらにサム氏は、ビットコイン購入の可能性についても言及した。FTXはドルで財務管理を行っているが、もしあるラインよりも価格が下落した場合、ビットコインを購入することが社内で検討されたという。ただ、その価格までは下がらなかったと話した。