持続可能エネルギーの使用率は昨年同期比で6%増加
「ビットコインマイニング評議会(BMC)」は19日、22年Q2(4月~6月)レポートを発表。マイニングにおける再生可能エネルギーの利用率が59.5%に達したことを報告した。
同評議会は2021年5月、マイクロストラテジーのマイケル・セイラーCEOらによって設立された任意参加組織。主に暗号資産(仮想通貨)ビットコイン(BTC)採掘企業などが加盟している。
再生可能エネルギー(Sustainable Energy)とは、二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスを排出する石油・石炭・天然ガスを使用せずに、自然界に存在エネルギーを用いるエネルギーを指す。
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評議会は21年Q4(10月~12月)のレポートで、再生可能エネルギーの利用率は(当時)58.5%であることを発表しており、約半年で1%増加した形となる。発表によると、前年同期(21年Q2)比では6%、持続可能エネルギーの利用率が上昇したという。
BMCに所属する企業については、66.8%が持続可能エネルギーを利用していることが確認されている。
マイニングとは
ビットコインなどPoW通貨の取引を検証・承認する「採掘」行動のこと。マイニングに成功すると、現在のビットコインのブロック生成報酬に加えて、そのブロックに取り込まれたトランザクションの手数料が報酬としてマイナーに支払われる。
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マイニング効率は46%アップ
今回の調査は、全世界のビットコインネットワークの50%以上、107.7EH(エクサハッシュ)相当のハッシュレートからデータの収集が行われた。
マイニングのハッシュレート自体は、昨年同期比で137%増加。1ギガワットあたりのハッシュレートは21.1EHで、22年Q1と比べて46%マイニングの効率がアップしたとされる。
セイラーCEOは、今回のレポート内容について以下のようにコメントした。
22年Q2、ビットコインネットワークのハッシュレートと関連するセキュリティは前年同期比で137%向上した一方で、エネルギー使用量は63%の増加に留まった。
半導体技術の進歩や北米マイニングの急速な拡大、中国エクソダス(注:マイニングの禁止令を指すと思われる)、持続可能なエネルギーと最新のビットコインマイニング技術の世界的な採用により、(前年同期比46%の(マイニング)効率向上を確認した。
設備投資の動きも
一部企業は設備投資にも動いており、米マイニング企業のCleanSparkは14日、マイニングマシン「Whatsminer M30S」を1,061台購入したことを発表した。機器は、マイニング企業Coinmintが事業に使用していたもので、2ヵ月連続でマイニング機材を購入した形だ。
なおJPモルガンは、ハッシュレートは過去数ヶ月に極端な減少を示していないことから、マイナーの採掘効率が向上している可能性も指摘していた。今回のBMCのレポートは、同社の分析を裏付けるものといえるだろう。
このほかにも、米国政府が、マイニングのエネルギー消費量と炭素排出量を削減することを目的とした、政策提言を準備していることも報じらている。これは、バイデン大統領が3月に発した仮想通貨に関する大統領令に基づくもので、8月頃に正式発表されると伝えられている。
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