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FRBがディスカッション・ペーパー公開、DeFiの可能性と金融安定性のリスクを議論

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

DeFiの発展は自然な流れ

米国連邦準備制度理事会(FRB)は8月30日、「分散型金融(DeFi):変革の可能性と関連リスク」と題したディスカッション・ペーパー(討議論文)を公開。

現在運用されている主要なDeFiの製品とサービスについて概説するとともに、DeFiを支える技術とユースケースに関連する潜在的なリスクについて議論を展開した。

論文は、「DeFiの発展を可能にした重要なイノベーションは、ブロックチェーン上のプログラミング能力の向上」であり、金融サービスの歴史における「自然な成り行き」だと主張。初期のブロックチェーンの処理能力が、PoS(プルーフ・オブ・ステーク)へのプロトコルの切り替えや、サイドチェーン、レイヤ−2のソリューションの開発など、継続する技術革新によって大幅に向上し、さまざまな金融サービスの提供を可能にしていると指摘した。

その結果、FRBが確認したdApps(分散型アプリ)の数は 現在1,400以上と飛躍的に拡大。その内の31%に当たる470のアプリが、イーサリアムブロックチェーンでホストされているという。また、2022年4月1日時点におけるDeFiの時価総額を約10兆円から31兆円(780億ドル〜2,240億ドル)と推定している。

DeFi(分散型金融)

DeFi(分散型金融)とは、「Decentralized Finance」の略。ブロックチェーンを活用し、中央管理者不在の状態で行われる金融サービス、またはそのシステムを指す。DeFiで行われる金融サービスには、ステーブルコインの発行や通貨の貸出、仮想通貨取引所などがある。イーサリアムのブロックチェーンを利用しているプラットフォームが多い。

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DeFi発展の二つのシナリオとリスク

論文では、現在CeFi(中央集権型金融)が席巻している金融市場で、DeFiが重要なプレイヤーとなるための「突破口を開く可能性」として、二つのシナリオを紹介した。

一つは、実物資産をパブリックブロックチェーンとリンクさせるケースのように、既存の決済・金融システムとの相互運用性を高めるケース。もう一つは、暗号資産(仮想通貨)が、実体経済にサービスを提供する「独立した並列の金融システム」にまで進化することだという。

しかしいずれのケースにおいても、DeFiとCeFiの両方に金融安定化のリスクをもたらす可能性があると、著者らは主張している。その理由は両者ともに、金融システムの健全性や安定性を維持するための政策(プルーデンス政策)の枠外にあるためだと指摘した。

金融システム全体で見ると、DeFiは、まだシステム的に重要な地位を占める段階には至っていないが、ブロックチェーン技術の発展に伴い、その役割が急速に拡大しているため、政策立案者は今から、将来起こりうる金融安定性の問題について「真剣に検討し始めるべき」であると論文は強調した。

DeFiのリスクが意味するもの

論文では、現在のDeFiエコシステムが金融システムに占める割合は依然として小さいため、DeFiで「比較的大きな混乱」が起きた場合でも、システム全体の金融安定性への影響は「軽微だろう」としている。

しかし、このまま発展が続いた場合、伝統的な金融システムへリスクが波及する可能性が高いと懸念を表明。例えば、DeFi商品が広く普及し、高いレバレッジをかけたポジションへの信頼が損なわれるような事件が発生した際には、広範な金融危機が起きる可能性があると警告し、DeFi版金融危機が伝統的な金融システムへ波及することも考えられると付け加えた。

著者らは、DeFi活動の中には、伝統的金融同様、「過度のレバレッジ、満期と流動性の変化」などリスクをもたらす要素が見られると指摘し、そのような要素が歴史的に金融危機を引き起こした原因の一つとの認識を示している。

高いレバレッジをかけたポジションを構築し、取引をある程度隠蔽できることと、そのようなレバレッジを可能にする金融商品の新規性は、この100年間の金融危機の歴史に共通する要素だった。

リスクの具体例

伝統的金融とDeFiが相互に接続する際に起きるリスクの顕著な例として、ステーブルコインのテザー(USDT)を上げている。テザーの利用はUSDTの担保資産の価値が、発行された USDTと等価であることが基盤になっているが、その仮定が崩れた場合には「流動性に壊滅的な影響を与え、仮想通貨市場の信頼性にも影響を与える可能性がある」と指摘した。

また、伝統的な金融企業は法的責任の所在を特定しやすいことから、仮想通貨市場で危機が発生した場合に、DeFiにサービスを提供している銀行などが訴訟に巻き込まれたり、風評被害を受けるなど法的リスクを負う可能性もあるとした。

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