SEC主導での規制案を構想
米国民主党のブラッド・シャーマン下院議員は、暗号資産(仮想通貨)が「すぐに」禁止される可能性は低いとする見解を、米ロサンゼルス・タイムズ紙に対して語った。
シャーマン議員は、民主党内の仮想通貨懐疑派として知られている。7月には、米証券取引委員会(SEC)がXRPを扱った仮想通貨取引所に対して、より多くの法的措置を取るべきだと発言し注目を集めた人物だ。
議員は、ロビー活動などが仮想通貨禁止への道のりを妨げていると主張。禁止が行えないことから規制を強化する必要があるとし「SECが主導する形で規制が強化されることが望ましい」と同紙に対して、コメントした。
またマネーロンダリングに使用されているなどとして、8月に米国で制裁対象となった「Tornado Cash(トルネードキャッシュ)」を含む、ミキシングサービスについても懸念を表明している。
8月には超党派による法案が起草
米国では、仮想通貨の規制(や監督)に関する議論が活発に進められている。
8月には、超党派議員らが「責任ある金融革新法(RFIA)」と呼ばれる法案を起草したことが判明した。法案は、仮想通貨市場における規制の枠組みを作成し、デジタル資産の大半を商品として分類。商品先物取引委員会(CTFC)に暗号市場を規制する権限を与え、デジタル資産の新しい法的定義を設定する内容となっている。
CTFCは、米国でSECと並行して仮想通貨関連の取り締まりや監督を行っている組織。商品(コモディティ)と定義して仮想通貨の監督を試みているが、有価証券と定義しようとするSECとは見解が異なり、水面下では権限争いが起こっている形だ。
関連:米国超党派議員らが起案した責任ある金融革新法(RFIA)とは
同法案は、CTFCが仮想通貨の監督を主導することを想定しており、その意味ではシャーマン議員が構想する規制案とはやや異なると言えるだろう。SECの監督権限については、米国ではまだ明確に決められてはいない。
なお米国では、プルーフ・オブ・ワーク(PoW)銘柄のマイニングによる電力消費も問題視されており、7月には議員グループが、マイナー(事業者)に対して炭素排出量と電力使用に関する情報の報告を求めるよう要請したことが明らかになっている。