100%再生可能エネルギーでマイニング
暗号資産(仮想通貨)ビットコイン(BTC)マイニング事業を行う株式会社FUELHASHは21日、カナダで、水力発電を活用したマイニングファーム運用を開始したことを発表した。
FUELHASH社は、21年3月に設立された会社で、最先端マイニングマシン販売・運⽤を主に⾏っている国内ブロックチェーン企業。
「クリプトを、当たり前に。」をミッションに、ハッシュレンタルサービス「FUELMINING」や日本国内での太陽光マイニング運用サービス「FUELSOLAR」、NFT(非代替性トークン)による資産運用プラットフォーム「FUELGUILD」なども展開している。
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今回、カナダのオンタリオ州に新設された同社のマイニングファームは、消費電力のすべて(100%)が再生可能エネルギーで賄われるのが特徴だ。
マイニングには、BITFURY(ビットフューリー)社製、5nmチップ搭載の最新モデルを使用する。
オンタリオ州でのマイニングファーム新設について、FUELHASH社の紺野勝弥代表取締役は、以下のようにコメントした。
グローバルですでに始まっているトレンド「再エネ × マイニング」にかねてから取り組んできた当社ですが、今回、100%水力発電によるマイニングファームの運用開始により、その勢いをさらに加速させます。
今回マイニングファーム運用を開始するカナダは国家としての安定性も高く、現在世界規模でエネルギー問題が生じている中でも安定した電力供給が可能な地域です。さらに電気代が安価で、安定したマイニングファーム運用ができると考えています。
マイニングとは
ビットコイン(BTC)など、コンセンサスアルゴリズムにプルーフ・オブ・ワーク(PoW)を導入する仮想通貨の取引を検証・承認すること。
取引の検証にはコンピューターで膨大な計算を行う必要があり、その見返りとしてマイニングに成功すればブロック報酬として新規発行の仮想通貨が付与される。
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ビットコインに専念する理由
なお、同社のマイニングサービスではビットコインの採掘に専念している。CoinPostがFUELHASH社に問い合わせたところ、広報担当者は以下のようにコメントした。
仮想通貨の中で時価総額が最も大きいBTCは仮想通貨マーケットの根幹であり、半減期も組み込まれているため将来の価格アップサイドも狙える。
現在はBTC価格が安くマシンを安く仕入れられるので、次の半減期が到来する2024年3月までにマイニングをするには良いタイミングと考えている。
再生可能エネルギーの利用率は上昇中
ビットコインは、そのマイニングが環境や電力網に負荷をかけるとして批判されてきた経緯がある。
批判が高まりを見せたのは2021年で、英大手メディアBBCなどがビットコイン・ネットワークのマイニングに消費される電力量は、世界の国家と比べると30位の規模に匹敵するとするデータを特集したことが大きな影響を与えた。
環境面に関する議論は、それまでビットコインを推進していた企業の姿勢にも影響し、当時ビットコイン決済を導入していたEVメーカーのテスラは、このような情勢を鑑みる形で、21年5月に決済対応を中止している。
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マイニング企業側も環境問題を改善すべく動いており、21年5月には米国の大手マイニング企業らが「ビットコイン採掘評議会」(BMC)を設立。
同団体は、再生可能エネルギーを使用したマイニングの普及などに努めており、22年7月に公開されたQ2レポートでは、マイニング事業者全体での再生可能エネルギーの利用率が59.5%に達したことを報告していた。
また、ビットコインを筆頭とするPoW(プルーフ・オブ・ワーク)銘柄の環境負荷リスクに対する懸念は米政府からも見られている。
22年9月上旬には米科学技術政策局(OSTP)などの政府機関が仮想通貨がバイデン政権の気候変動目標に与える影響を分析するレポートを発表。消費電力だけでなく、騒音や水質汚染など近隣地域への影響を受け、「エビデンスに基づいた環境負荷を制限する基準を設けるべき」と提言していた。