WebX完全ガイド
TOP 新着一覧 取引所 WebX
CoinPostで今最も読まれています

ブロックチェーン技術の革新を妨げる危機に瀕している|EU一般データ保護規則の問題点

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

ヨーロッパにおけるブロックチェーン革新
欧州委員会が設立した、EUブロックチェーンフォーラムのレポートで、一般データ保護規則(GDPR)とブロックチェーンを調和させることの難しさを指摘。イノベーションを妨げることに繋がる可能性を危惧した。
ブロックチェーンとは
非中央集権の分散型台帳技術、または分散型ネットワークのこと。基本的に改竄できず信頼性が高いため、仮想通貨のみならず煩雑な契約自動化によるコスト削減など、幅広い用途での活用が期待されている。

▶️CoinPost:仮想通貨用語集

ヨーロッパにおけるブロックチェーン革新

欧州委員会が設立したEU ブロックチェーン観測所・フォーラム(EU Blockchain Observatory and Forum、以下 BOFと表記)は、7月末に公表した「ヨーロッパにおけるブロックチェーン革新」と題したレポートの中で、EU特有の規制問題として、今年5月25日から適用が開始された一般データ保護規則(GDPR)と、ブロックチェーンを調和させることの難しさを指摘しました。

GDPRは、EUにおける「個人データ保護法」で、個人が自らの情報をコントロールする権利を取り戻すことと、欧州内で統一的なデータ保護規制の枠組みを作り、規制環境を簡潔にすることを目的にしています。 

しかし、欧州委員会がこの法案を初めて提案した2012年時点では、ブロックチェーンという言葉は、まだ一般的に知られておらず、規制の焦点が、クラウドサービスやフェイスブックのようなソーシャルサービスが対象になっていました。

つまり、この規則の仕組みそのものが、情報の収集、保管、処理のために中央集権的な組織が存在することを暗黙の前提として作られているということです。 これは明らかに、中央集権的な管理者が不在で、データの分散化を特徴として有する、ブロックチェーンの仕組みとは対極にあるものをベースにしているということになります。

BOFのレポートでは、GDPRの規定とブロックチェーン間では衝突が起こると考えられると述べており、その中でも特に明白な点をあげています。

[1]

GDPRは、個人が自身の情報の正確性を保つためにデータを修正したり、不要になった際には消去できる権利を明確に与えている。 

ブロックチェーンは、情報が追加することはできても、削除することができない。

付加のみが可能な拡張し続けるデータベースである。 

[2]

GDPR ではデータをどのように使用するのかを決定し、責任を持つ「データ管理者」や「データ処理業者」を特定する規定がある一方で、ブロックチェーンは、ネットワーク上の全てのフルノードが情報を処理する、公開されたパーミッションレスの仕組みである。 

[3]

GDPRには、欧州と同レベルの個人情報保護が保証されていない場合、EU外の第三者へのデータ移転を原則禁止する規定があるが、パーミッションレス型ブロックチェーンの場合、国や場所に関係なく、データベースのフルコピーが参加している全てのノード全体に複製されるため、データの移転先を選択したり、限定することはできない。

このような、両者の仕組み上の矛盾を調整することは、法を制定する立場にある者に難題を突きつけるだけではなく、法的枠組みの明確さの欠如により、ヨーロッパの起業家や、ブロックチェーンプラットフォームの設計、開発に関わる全ての人々が、大きな不確実性と向き合わなくてはならず、レポートではイノベーションを妨げることにつながると危惧しています。

しかし、同時にレポートでは、このような矛盾を抱えながらも、GDPRとブロックチェーンは、「個人が自分に関する情報をコントロールする」データ主権という目的を共有している事実に目を向け、ブロックチェーン技術こそが、その目的を達成するツールとなる可能性があると指摘しています。 

GDPRの主要目的である「設計によるデータ保護」を支援するため、ブロックチェーンプラットフォームとアプリケーションが、GDPRに準拠した設計をコードレベルで実装して行く方法を探り、融合を図っていくことも、ブロックチェーン技術の進化とともに可能になると示唆し、楽観的な展望でレポートを結んでいます。

ブロックチェーン技術は、社会の仕組みを根本から変える力を持つ技術だと、研究者や開発者をはじめとする多くの専門家は、その可能性に多大な信頼を寄せています。

「制約こそが創造性を生み出す」ことを信じて、個人にデータ主権を取り戻す可能性を持つ、これからのブロックチェーン技術の進展を見守って行きたいものです。

CoinPostの関連記事

EU議会レポート:仮想通貨業界で大きな影響力を持つ「5つの重要分野」を定義
世界で最も強力な権限を持つ立法機関の一つとされる欧州議会の経済金融委員会は20日、仮想通貨業界のバリューチェーンの中で大きな影響を持つ「5つの分野」について定義を行い、報告書に記述した。
EUの監視機関が仮想通貨を2018年のメイン議題に
2月7日に公開された欧州証券市場監督局(ESMA)のアジェンダの最優先項目の一つに金融イノベーションが挙げられており、その中には、仮想通貨やブロックチェーン技術なども含まれていました。
Google Newsでフォロー
CoinPost App DL
厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
09/21 月曜日
11:57
ベトナムとオーストリア、仮想通貨の監督体制で連携へ
ベトナムの財務副大臣がオーストリア金融市場庁と会談し、仮想通貨監督分野での協力拡大に合意した。ベトナムは2026年内の初事業者ライセンス発行を目指している。
11:06
カナリー・キャピタル、セイ(SEI)現物ETFステーキング率90%を明記
米カナリー・キャピタルが「Staked SEI(スイ) ETF」のS-1修正案でステーキング比率を約90%と明記した。保管もBitGo単独体制に変更。Cboe BZXへの上場を目指すが、SEC承認はまだ得ていない。
10:33
ビットコイン、45週ぶり50週線奪還 底値確定のシグナルか=アナリスト
ビットコイン(BTC)が週足終値ベースで50週移動平均線を45週ぶりに上回った。アナリストは同水準の回復を弱気相場の底値確定シグナルと位置づけてきたと指摘。直近35日間で29%上昇した経緯を解説する。
10:04
バイナンスウォレット、IPO前企業に連動する新トークン提供へ
バイナンスウォレットが、IPO前の企業に連動する新トークン「Pre-Access」の提供を発表した。運営はパンケーキスワップで、対象は株式そのものではなく合成型の経済的エクスポージャー。参加条件や想定されるリスクを解説する。
09:45
セイラー氏、クラリティー法案の限界を指摘 当局主導の規制に期待表明
ストラテジー社セイラー会長が、クラリティー法案の妥協案に含まれる制限を指摘した。SEC・CFTCなど当局主導での規制整備を通じた業界発展に期待を示している。
08:40
ZetaChain、ZETAのソラナ移行・独自L1廃止を可決
ZetaChainのガバナンス提案68号が賛成99.4%・参加率58%で可決。ZETAはソラナ上のネイティブSPLトークンへ1対1移行し、独自レイヤー1は段階的に廃止する方針。詳細な移行時期は次回提案で決定する。
08:04
OTC保有ビットコイン、5年で4分の1に減少=アナリスト
オンチェーン分析ツールのクリプトクアントを引用し、アナリストDarkfost氏がOTCデスク保有BTCの急減を指摘。2021年9月の約50万BTCから現在は12万3,000BTCまで減少した背景と、需給構造への影響を読み解く。
09/20 日曜日
11:30
ビットコインFOMC通過後も底堅く、米金利と中東情勢が焦点|bitbankアナリスト寄稿
ビットコイン(BTC)は25bpの利上げを決定したFOMCを通過後も1210万円台で底堅く推移している。目先は米金利の動向と中東情勢による原油価格の変動が焦点で、高値レンジ内での方向感を模索する展開が続きそうだ。
09:25
週刊仮想通貨ニュース(9/18)|クラリティー法案・日本の分離課税・米BTC準備金法案の動向まとめ
今週は、仮想通貨規制の米クラリティー法案の上院審議入り採決失敗、日本の分離課税、米下院金融サービス委員会のビットコイン戦略準備金法案可決に関する記事が関心を集めた。
09/19 土曜日
13:35
JPモルガン系ブロックチェーン決済網と英LSEG、24時間決済で提携
ブロックチェーン決済網のパーティアと英LSEG DiSHが常時稼働の決済銀行流動性で提携し、JPモルガンなど参加行が24時間365日の資金移動を可能にする新体制を築く。銀行間送金の効率化により、機関投資家の資金効率を高める。
11:45
「トークン化RWAのAUMが5兆円に到達」バイナンスが市場の現状と展望をレポート
バイナンスリサーチがRWA(現実資産)トークン化市場の現在を分析。運用資産総額は341.8億ドルに達しており資産の「活用度合い」が今後の焦点になるとした。
11:05
ビットコイン急騰、8万ドル台回復 SEC・CFTCの制度整備を好感|仮想NISHI
仮想通貨ビットコインは日本時間9月18日夜から19日未明にかけて急騰し、8万ドル台を回復した。今回の上昇は、クラリティ法案の審議停滞を受けて強まった政策面への悲観を、規制当局の具体的な対応が和らげた動きと捉えられる。
10:20
サークル社、独自チェーンArcのAIエージェント公開
サークル社は独自ブロックチェーン「Arc」向けのAIコーディングエージェント「Arc Studio」を発表。自然言語の指示だけでアプリを生成し、9つのブロックチェーンに対応している。
09:55
コインベース、米国で個別株の無期限先物上場を申請 規制緩和受け
米コインベースがCFTCに個別株の無期限先物上場を申請した。アップルやマイクロソフトなど約50〜60銘柄が対象で、年内の取引開始を計画している。米国の個人投資家が個別株のレバレッジ取引に参加しやすくなる可能性がある。
08:25
Bitcoin Japan、初のビットコイン購入へ 100万ドル上限
Bitcoin Japanが子会社経由で初のビットコイン購入を決定した。初回投資は100万米ドルが上限で、資金は7月発行の転換社債で調達する。同社の資産運用戦略が実行段階に入ったことを示す。
今から始める仮想通貨特集
通貨データ
重要指標
一覧
新着指標
一覧