ビットコイン債の法整備へ
エルサルバドルの経済大臣は、デジタル証券に関する法案を議会に提出した。
この法案は、同国の政府がビットコイン(BTC)債を発行できるようにするためのルールを定める内容。エルサルバドルは10億ドル(約1,300億円)分のビットコイン債を発行して資金を調達し、「ビットコイン・シティ」を建設したり、ビットコインの買い増しを行ったりすることを計画している。
今回の法案に記載されている日付は11月17日。提出が17日で、23日に議会に回付された模様だ。
ビットコイン債という暗号資産(仮想通貨)債券の提供には、同国の証券法など、20あまりの法律を改訂する必要があるとされていた。しかし、ビットコイン法を制定した現政権が議会の過半数を占めているため、早期の実現が可能とみられている。現在はウクライナ情勢や金融市況の改善を待ちながら、準備を進めているようだ。
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ビットコイン法とは
米ドルと並行してビットコインを法定通貨として認め、国民がビットコインを全ての決済シーンで利用できることを定めたエルサルバドルの法律のこと。
ブケレ大統領が推進した法案を、2021年6月9日に議会が可決。ビットコインが国の法定通貨として正式に認められた初の事例である。
▶️仮想通貨用語集
これから法案の審議を進め、ビットコイン債を発行・販売するために、発行手順や発行者らの義務、監督方法などを議論していく。ブケレ政府に近い人物は「Bitcoin Magazine」に対し、法案はクリスマス前には承認される見通しだと説明したという。
法案の提出を受け、ビットコイン債の協力企業であるテザー社のパオロ・アルドイノ最高技術責任者(CTO)は、以下のようにコメントした。
デジタル証券の法律ができれば、エルサルバドルは中南米の金融の中心地になるだろう。
Digital securities law will enable El Salvador to be the financial center of central and south America.
— Paolo Ardoino 🍐 (@paoloardoino) November 23, 2022
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なお、ビットコイン債の発行には、20あまりの法律を改訂する必要があるとされているため、本法案が承認されれば即座にビットコイン債を発行できるようになるかは現時点では不明確である。
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ビットコイン・シティとは
ビットコイン・シティとは、仮想通貨推進特区のこと。21年にエルサルバドル政府が構想を明らかにした。
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同国の20以上ある火山付近にビットコイン・シティを設置する計画。再生可能エネルギーの一種である火山の地熱発電を利用することで二酸化炭素(CO2)排出量ゼロを実現するほか、以下のような税制面の待遇も発表した。
- 所得税ゼロ
- 固定資産税ゼロ
- キャピタルゲイン(資本利得)ゼロ
- 給与税ゼロ
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