ビットコイン債の発行延期を継続
エルサルバドルのAlejandro Zelaya財務大臣は1日、テレビのニュース番組に出演し、同国のリーダー達は「今はビットコイン(BTC)債を発行するタイミングではない」と考えていると語った。CoinPostの提携メディア「The Block」が報じた。
ロシアがウクライナに軍事侵攻した後の市場の状況を考慮していると説明。ビットコイン債券は当初、今年3月の発行を予定していたが、ウクライナ情勢や暗号資産(仮想通貨)の価格変動を考慮して発行を延期している。Zelaya財務大臣は3月に発行するという予定を立てた際、ウクライナでの戦争は予想していなかったとコメントしていた。
仮想通貨の債券提供には同国の証券法など、20あまりの法律を改訂する必要があるが、ビットコイン法を制定した現政権が議会の過半数を占めているため、早期の実現が可能とされている。現在はウクライナ情勢や金融市場の状況の改善を待っている状態だ。
エルサルバドルのビットコイン法とは
米ドルと共にビットコインを法定通貨として認めている法律。エルサルバドルのBukele大統領が推進した法案で、2021年6月9日に議会によって可決された。ビットコインが国の法定通貨として正式に認められた初の事例である。
▶️仮想通貨用語集
ビットコイン債券は、エルサルバドルが昨秋発表した年率6.5%の10年債で、発行量は1,300億円(10億ドル)相当。5年間のロックアップ期間があるものの、この間にビットコイン価格が上昇した場合には利益の50%が債権購入者に還元される仕組みになっている。
債権で調達した資金の半分はビットコイン・シティの建設に充てられ、残りの半分はエルサルバドル政府のビットコイン購入に活用するという。
関連:ビットコインが法定通貨になったエルサルバドルへ行ってみた|体験記寄稿1
エルサルバドルの財政
公的資金を使って大量にビットコインを購入したエルサルバドルを巡っては、財政が逼迫しているとの報道がある。先月には、ウォール・ストリートジャーナルなどが「ビットコインの価値が大幅に下落し、財政逼迫によるデフォルト(債務不履行)リスクが高まった」と報じた。
関連:USTショックの余波、エルサルバドル債務問題などに懸念波及も
エルサルバドルは、同国のビットコインの法定通貨化に反対している国際通貨基金(IMF)から資金を確保できない可能性もあり、5月初めには米格付け会社ムーディーズが、エルサルバドルの債務格付けを「ジャンク」に格下げしている。
同国は現在、2,301BTC(90億円相当)を保有。エルサルバドルのビットコイン購入を追跡する「NAYIB BUKELE PORTFOLIO TRACKER」によると、本記事執筆時点でビットコインの合計資産価値は34%超下がり、価格では約46億円(3,600万ドル)のマイナスだ。
関連:エルサルバドル政府、数ヶ月ぶりにビットコイン買い増しを実施
Zelaya財務大臣は今回、「IMFとエルサルバドルの話し合いは現在も継続中だ。今後数週間で新たな情報を共有できるだろう」と語った。また、ビットコインについては、動物病院へに資金提供のために一部売却しただけで、これからも保有し続けるとしている。