SBF氏インタビュー
大手暗号資産(仮想通貨)取引所FTXの前CEOサム・バンクマン=フリード(SBF)氏は、30日に公開されたインタビューで、FTXの破綻と自身の心境について語った。
その内容は、破産申請直後の資金の不正流出から、バハマ当局への対応、FTXシステムの「バックドア」疑惑、顧客資産返却の予想など多岐に渡る。
インタビューは16日と20日の2日にわたって電話で行われた。インタビューを行ったのは、登録者数約1万人の仮想通貨系ユーチューバーTiffany Fong氏。Fong氏は仮想通貨融資企業セルシウスの破綻で大きな損失を被り、同社の内部事情などを暴露する発信を始めたことで、SBF氏と知り合ったという。
インタビューはまず、FTXシステムのコードにプログラムされた「バックドア」に関する疑惑から始まる。
Fong氏はロイターの報道から、SBF氏がFTXから姉妹会社のアラメダ・リサーチに秘密裏に資金を送るためにプログラムに抜け道が設けられていたのかと尋ねた。
これに対しSBF氏は、システムをユーザーとして使うことはできるが、「コードの書き方さえ知らず、事実無根だ」と主張した。一方、会計上のミスでFTXとアラメダへの送金が一時混在していたことを認め、アラメダが実際よりも多額の資金を有していると思い込んでしまったと弁解した。
担保として使用されていたFTXのFTTコインについてSBF氏は、いくつかの問題はあったが他の平均的なトークンよりは、経済的な裏付けがあり価値があったと主張。FTTの非流動性が暴落の原因ではなく、むしろ「自由な市場の動きの中で、特にポジションそのものに対する恐怖によって引き起こされた壮大な相関関係」だったとし、「自身がその影響を過小評価していたことが恥ずかしい」と述べた。
破産申請とFTX US
SBF氏は、米国版FTX(FTX US)が破産申請したことについて、「取り消せるものなら何でもする」と述べ、非常に後悔している胸の内を吐露した。グローバル版FTXとは別の事業体であるFTX USには十分すぎる支払い能力があったが、「脅されて」破産申請をすることに同意する羽目になったと同氏。
FTXの支払い能力は「2.5億ドルのハッキング被害を踏まえても、5億ドル以上あった」と主張した。
そのため、FTX USの顧客に対する資金返済の見通しは明るいとSBF氏は述べている。
FTXが顧客による資金引き出しを凍結したのにも関わらず、自身が居住するバハマの顧客の引き出しを一時再開したことについて、SBF氏は「取引所の将来のために重要な措置だった」と弁明。「FTXの前途には、バハマの人々が怒らないことが含まれている」と、居住国との関係性を尊重したと説明した。
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ハッキング事件について
SBF氏は破産申請直後のハッキング被害に関して、容疑者は現在「8人ほどに絞られたが、どの人物が犯人かはまだわからない」と述べた。調査半ばでシステムへのアクセスが遮断されたため、確定ができないという。犯人はFTXの元社員か、元社員のコンピュータにマルウェアを仕込んだ人物のどちらかだと示唆した。
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SBF氏の米民主党への寄付はよく知られるところが、インタビューで同氏は共和党に対しても同様に政治献金をおこなっていたことを明らかにした。ただし、「超リベラルな」メディアに共和党への寄付が知られると「記者たちが大騒ぎする」ため、全て秘密裏に行ったと述べた。
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FTXの顧客資金とアラメダ
FTXの顧客資金がアラメダで流用されたことについて尋ねられると、SBF氏は言葉に詰まる。 最終的にリスク管理について、「マージンポジションについてのリスクを監視する役割についた従業員は一人もいなかった」と述べ、同社のリスク管理の杜撰さを認めた。