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世界のWeb3プロジェクトと日本を繋ぐ「Web 3 Tokyo」初開催

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

国内向けWeb3イベント

国内ユーザーを対象とした暗号資産・ブロックチェーンの国際カンファレンス「Web 3 Tokyo」は10日、初開催を迎えた。

同イベントは、国内外のWeb3事業の支援をしている株式会社N2Mと株式会社こころまちが共同開催したもので、イベントの模様はオンライン配信された。

日本国内におけるWeb3関連情報において、言語の壁や情報の遅れで海外のWeb3業界とのギャップが生じる中、最先端の業界情報を国内ユーザーに届けることをテーマとしている。

本イベントはオンライン上で開催され、英語と日本語の同時通訳で提供された。12月10日(土)昼過ぎから開催された同イベントは事前登録者数1000名を突破するなど関心を集め、渋谷区や経済産業省など政府機関や自治体の関係者も登壇者に名を連ねている。

渋谷区とWeb3

4時間以上に及んだイベント冒頭では、渋谷区の田坂 克郎グローバル拠点都市推進室長が登壇。次世代を担う若者が集い、文化的、そしてクリエイティブ領域でも重要拠点となっている渋谷区のWeb3.0政策について語った。

同氏は、Web3を含むスタートアップ企業全般を支援する取り組みのほか、渋谷区内での「キャピタルゲイン課税の税率引き下げ」など独自ルールを可能にする特区申請を行なっている最中であることを述べた。

出典:Web 3 Tokyo

また、国内外でイーサリアム(ETH)を中心としたブロックチェーン業界の大手企業コンセンシス、ウォレットの安全性に焦点をおいたToken Proof、利便性の高い仮想通貨決済を提供するSlashなどの関係者が、Web3サービスのPMF(プロダクトマーケットフィット)について講演。

目まぐるしい発展を遂げている業界において、多くのユーザーに最大限の価値を提供するための仕組みやサービス構造について説明した。

Slashの取り組み

今月上旬の「ArribaX 2022」ピッチイベントで受賞を収めるなど、国内外で注目が高まる「Slash Payment」からは、創設者で連続起業家として知られる佐藤伸介CEOが登壇。主に進める3つのプロジェクトについて語った。

同氏を代表するサービスの一つで、DEX(分散型取引所)を介した仮想通貨決済ソリューション「Slash Payment」のほか、SoulBound Token(SBT)技術を応用したKYCサービス「Slash.Genesis」、NFT(非代替性トークン)管理サービス「NFT Vault」があると紹介。

また、「プロダクトファーストのDeFi(分散型金融)プロジェクト」として、2023年には独自のトークンを発行する構想もロードマップにあると述べた。

SBTとは

Soulbound Tokenの略称。一度受信するとその後取引や譲渡が不可能なNFT。ユーザー認証など本人証明などアイデンティティ(ID)におけるユースケースが期待されている。

イーサリアム(ETH)の共同創設者ヴィタリック・ブテリン氏など複数の開発者が2022年初頭に提唱したコンセプト。

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今後はトークン発行や戦略的プライベートセール以外にも、国内の仮想通貨取引所との業務提携や将来的な法定通貨へのオフランプを導入した決済サービスの展開も示唆。また、ロードマップでは大手分散型取引所ユニスワップでの取り扱いや独自トークン発行を見据えた国内取引所におけるIEO(Initial Exchange Offering)を目指す方針を打ち出した。

出典:Web 3 Tokyo

関連: 仮想通貨決済など提供の「Slash」、ArribaXピッチイベントで入賞

VC企業の見るWeb3市場

セッション2では、国内Web3業界大手VC企業らのトップが登壇。FTXおよびアラメダの破綻騒動の影響や今後の業界再編に向けた教訓、そしてWeb3業界に注目した要因などについて語った。

アニモカ・ブランズ株式会社は、NFTゲームなどを中心に業界プロジェクトで台頭しているWeb3大手Animoca Brandsの戦略的子会社で、講談社や西日本鉄道、三井住友信託銀行などから出資を受ける。

同社の谷 元樹CEOは「日本から世界にはばたく企業を今度こそ育てたい」とコメント。デジタル所有権やインフラの分野に注目していると述べた。

また、100億円規模のトークンファンドを運用するHeadlineについて、田中章雄氏は「アジア圏では83のシード段階のプロジェクトに出資している」と言及。Headline Asiaのパートナーである同氏は、「今後Web3業界がマクロ的な社会変革をもたらし、マスアドプションを実現する為には、ゲーム領域が重要になる」と力説した。

一方、2022年4月にシードステージのWeb3企業への出資に特化したファンドを設立したSkyland Venturesの木下慶彦CEOは、「オープンソースで透明性の高いコンテンツに重点を置くWeb3業界の性質を知り、関心を持ち始めた」と説明した。

2022年以降に金融相場が低迷する中、Web3企業の資金調達総額は2022年秋時点で過去最高を記録するなど、資金流入が途絶えていない。

出典:Galaxy Digital

関連:Web3関連企業の資金調達額、前四半期比で減少も過去最高更新の背景は

FTXの事例については、「ブロックチェーンや仮想通貨の技術そのものの問題ではなく、(伝統金融市場でも起こり得る)企業関係者による犯罪行為だった」という認識で三者とも一致。

米国で起きた巨額不正会計事件のエンロン・ショックや2008年の金融危機リーマン・ショックとの共通点として、新しい金融商品が影響していることを指摘しつつ、根本的に社内のガバナンス体制に不備があったと言及した。

田中氏は、今後の業界の課題として「日本市場のWeb3戦略が成功するためには、単発のプロジェクトではなく、長期的なプラットフォームやプロトコルに焦点を置く“プラットフォーム思考”への切り替えが必要だ」と展望。さまざまなバックグラウンドを持つ多言語かつ国際的なチームを擁するプロジェクトの成功率が高いことから、“グローバル思考”も成功の秘訣だとした。

最後に、中央集権型取引所(CEX)とコミュニティをテーマとしてセッション3では、KuCoinやZaif、Huobiといった主要取引所の関係者が登壇。中央集権型でも分散型でも、取引所においてコミュニティは重要である事で見解を一致させた。

Web 3 Tokyoとは

Web 3 Tokyoは、グローバル市場に関する最新情報や革新的なプロジェクトを日本のWeb3コミュニティに紹介するオンライン・カンファレンス。国際的に英語を中心とした議論および情報発信が中心となる中、日本語の言語障壁が業界発展の妨げになっている現状を打破するために始動したプロジェクトだ。

先日発表された統計データでは、日本人の英語力は世界80位に留まる。

運営企業は、株式会社N2Mと株式会社こころまち。暗号資産(仮想通貨)メディアCoinPostもメディアパートナーとして参画した。今後、2023年上半期に第2回の開催を予定している。

関連:国内イベント「Web3 Tokyo 2022」12月にオンライン開催

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