NFT取引の取り扱いを提示
国税庁は13日、NFT(非代替性トークン)に関する税務上の一般的取り扱いについてまとめた書類を発表。所得税が課税されるケースの他、消費税が適用となる場合などについてもガイドラインを示している。
国内外で流行するブロックチェーンゲーム取引の(損益計算)については、「ゲーム内通貨(トークン)の取得や使用が頻繁に行われ、取引の都度評価は煩雑」と指摘。ゲーム内通貨(トークン)基準で所得金額を計算し、年末に一括で評価する『簡便法』の雑所得計算が認められた。
ブロックチェーンゲームで得た報酬については、原則として雑所得に区分され、所得税の課税対象となると説明した。ただし、報酬として得たゲーム内トークンが、ゲーム内でしか使用できない場合、つまりゲームの外で資産と交換できない場合には、課税対象とはみなされないとしている。
また、これまで不明確であった、「不正アクセスでNFTが盗難・消滅した場合」などについても、税法上の原則的な取り扱いを明らかにした。
ただし、FAQはあくまで一般的な取扱いについての回答であり、「個々の具体的な取引については、回答と異なる取扱いになる場合がある」としていることには注意したい。確定申告時の計算方法の詳細は、専門家および国税庁への確認が必要となる。
NFTとは
「Non-Fungible Token」の略称で、代替不可能で固有の価値を持つデジタルトークンのこと。ブロックチェーンゲームの「デジタルアイテム」交換などに用いられるのみならず、高額アート作品の所有権証明や、中古販売では実現の難しかった「二次流通市場」における権利者(クリエイター)への画期的な還元手段としても注目を集める。
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譲渡所得に区分されるケースも
個人がNFTを作成してそれを第三者に販売した場合(一次流通)や、NFTを購入した者が、それを他の者に転売する場合(二次流通)、その利益は「所得税」の課税対象になるとしている。
この場合の考え方としては「デジタルアートの閲覧に関する権利の譲渡」に区分され、取引から生じた所得は一次販売の際には「雑所得または事業所得」、二次販売の際には「譲渡所得」として課税される形だ。
いずれの場合も、一般的に収入から経費などを差し引いた額に課税される。なおNFT作成者について経費とみなされるのは、デジタルアートから「NFTを組成するために必要とした費用」であり、デジタルアート自体の制作費は含まれないとも明記した。
NFTを知人に無償贈与した場合、贈った側は課税対象とならないが贈与された側では課税対象となる場合がある。一方で法人の場合は原則的に課税対象になるとしている。
国税庁は、贈与を受けた側については、「経済的価値のあるNFT」を、他の個人からの贈与あるいは相続により取得した場合、「内容や性質、取引実態等」を考慮し、その価額を個別に評価した上で、贈与税や相続税が課されることになると述べた。なお、課税時期に市場取引価格がある場合は、それに基づいて判断して構わないとする。
不正アクセスによる損失など
今回のガイドラインは、「第三者の不正アクセスにより購入したNFTが消失した場合」には雑損控除などの対象になると認め、次のように明記した。
そのNFTが生活に通常必要でない資産や事業用資産等に該当せず、かつ、そのNFT の消失が、盗難等に該当する場合には、雑損控除の対象となります。
そのNFTが事業用資産等に該当する場合には、その損失について、事業所得又は雑所得の金額の計算上、必要経費に算入することができます。
損失額については、そのNFTが消失した時点の時価、時価が不明の場合は「購入金額として差し支えない」としている。
他に、役務の対価として得たNFTや、ある商品の購入にともない贈与されたNFTについても課税対象になると説明した。商品購入で付与されたNFTが他の資産と交換できず「時価の算定が困難な場合には、そのトークンの時価を0円として」差支えないとも続けている。
消費税の取り扱い
国税庁は、NFT取引に関する消費税の取扱いについても示した。
ある者が、NFTを作成し、マーケットプレイスを通じて日本の消費者に販売して対価を得た場合、そのNFT作成者には消費税が課されるとしている。
また、二次流通として、購入したNFTを他の者に販売する際には「国内の事業者が事業として対価を得て行うものであれば」、その事業者に消費税が課されることになると続けた。
なお、「給与所得者が行う取引であっても」、対価を伴うNFTの二次販売が反復、継続、独立して行われるものであれば、事業としての取引に該当するとみなされる。
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