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VISA、イーサリアムの大型アップグレード「マージ」に関するレポートを公開

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

マージは課題解決の出発点

決済大手VISAは、昨年9月に成功したイーサリアムの大型アップグレード「マージ」(The Merge)がブロックチェーンの“トリレンマ”にどのような影響を及ぼしたかについてレポートを発表。

マージが果たした成果を評価しながらも、イーサリアムが「グローバルな決済レイヤー」となるには、今後のアップグレードが重要になると指摘した。

The Mergeとは

イーサリアム・ブロックチェーンのコンセンサス(合意形成)アルゴリズムを「プルーフ・オブ・ワーク(PoW)」から「プルーフ・オブ・ステーク(PoS)」へ移行する大型アップグレード。現在のメインネットとコンセンサス形成を担う新しいチェーンを統合(マージ)することで、役割の異なる二つのレイヤーがそれぞれ形を残して連携しながら、一つのイーサリアムを構成する。

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トリレンマとは3つの選択肢の内2つしか選択ない状況を指し、ブロックチェーンのトリレンマとはイーサリアムの共同創設者ヴィタリック・ブテレン氏が提唱したもの。スケーラビリティ、分散化、セキュリティの3要素全てを達成する上で直面する課題を指す。

持続可能性という面で、マージはイーサリアムブロックチェーンにとって「明確な利点」があったとレポートは指摘。マイニングを必要とするPoWでは、多大な電力消費量による環境負荷が問題視されていたが、PoSへの移行により、イーサリアムのエネルギー消費量は99.5%減少すると試算されている。

VISAはこの大型アップグレードが「この規模のシステムで、イノベーションと再設計のみにより、カーボンフットプリントを削減した初の実証例だ」と高く評価した。

関連:ETH2.0移行後は消費電力が99%削減か=イーサリアム財団の調査

分散化とセキュリティ

PoS基盤のブロックチェーンでは、一定量のトークンのステーキングがネットワーク参加の条件であり、参入敷居がPoWよりも低いため、分散化とセキュリティが高まると考えられている。

2023年1月現在、イーサリアムのコンセンサスレイヤーであるビーコンチェーンには、ETHの総供給量の約13.2%となる1,590万ETH(約3.18兆円相当)がステーキングされている。現在、資金の引き出しは不可で次期アップグレード「Shanghai」を待つ必要がある。

関連:3月予定の上海アップグレード、イーサリアム市場に与える影響は?

セキュリティについては実際の市場の状況や、異なる意図やインセンティブを持った参加者がいること(攻撃者など)を考慮すると、批判的に考えることを忘れてはならないとレポートは注意を喚起した。

分散化という面では、イーサリアムの場合、最低32ETHがステーキングに必要で高額の投資となるが、ステーキング・プールに参加するという選択肢もあり、参入するための敷居を低くすることが可能。しかし、ステーキングプールの存在は諸刃の剣であり、ステーキングされたETHの大半がごく少人数のバリデータに集中してしまう可能性も排除できないと、レポートは指摘している。

PoSへの移行を分散化を保証するものと受け止めず、セキュリティと分散化が長期的に退行しないよう、ネットワークの指標を注意深く観察する必要があると強調した。

スケーラビリティ

レポートは、スケーラビリティの点では、当初からマージが大きな変化をもたらすとは考えられていなかったと指摘。

今後のアップグレードや、シャーディングやレイヤー2のスケーリングソリューションなどによるイノベーションによってのみ、トランザクションのスループット向上が望めるものであり、マージはその道筋を開いたにすぎないと説明した。

今後数年間にわたり、イーサリアム2.0がアップグレードを重ね、スケーラビリティとセキュリティ機能の開発を継続していくことで、より広範な決済ネットワークを形成していくことに期待したいとレポートは結んだ。

シャーディング とは

シャーディングとは、ノードを幾つかのグループに分割して、同時並列でトランザクションの検証作業を行う技術。イーサリアムの送金遅延や手数料増加など「スケーラビティ問題」に対する解決策の一つ。 データベースを水平方向に分割、検証作業を並列化することで処理能力の大幅向上が見込める。

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