- ビットコインETFの不許可と管理サービスの高まり
- 米国証券取引委員会(SEC)が、申請されたビットコインETFを不許可にする、または一度不許可を取り消して再審査を宣言するなど、規制局によるETF実現の見通しは不透明なままだ。しかし、バンク・オブ・アメリカが仮想通貨管理関連の特許申請を行うなど着実な進歩が見られている。
ビットコインETFの不許可と管理サービスの高まり
アメリカ証券取引委員会(SEC)は7月末、仮想通貨取引プラットフォームGemniを運営するウィンクルボス兄弟からの「ビットコインETF」申請を不許可とすることを発表しました。
さらに先日、ProShares、GraniteShares、Direxionの3社から申請されていた計9つのビットコインETFを一度不許可にすると発表した後、再審査に持ち込まれましたが、その直前には最注目の「VanEck・SolidX」ビットコインETFの発表が延期されており、依然として認可への道筋は立ってない状況です。
ただし、ビットコインETFによって機関投資家の本格参入が期待される中、仮想通貨管理サービスの発展も急速に進んでいることから、ビットコインETFの実現がなくとも、機関投資家による一定規模の資産流入が見込めるのではないかと考えられています。
そんな中、世界最大級の金融機関「バンク・オブ・アメリカ」が、企業向けの秘密鍵の保管に関する特許を米国特許商標庁(USPTO)に申請したことが明らかになりました。
バンク・オブ・アメリカは、日常的に膨大な数の金融取引を行っており、将来的に仮想通貨が介入してくることも考えられると言及していることから、「今後、企業が仮想通貨を安全に管理していく方法が必要になってくる」と主張しています。
そして申請された特許では、ビットコインをはじめとする仮想資産を機関が安全に保管できる管理システムを提案しています。この特許によって、香港で100億ドル(約1.1兆円)規模の個人、法人向け仮想通貨管理を行う「Xapo」と同様のサービスを提供することができるようになると考えられています。
ビットコインETF以外でも機関投資家参入を促進する取り組み
さらに8月初頭には、ニューヨーク証券取引所の親会社「Intercontinental Exchange(ICE)」が、マイクロソフト、スターバックス、ボストンコンサルティングなどの名だたる大企業と提携し、仮想通貨取引プラットフォーム「Bakkt」を立ち上げることを発表しました。
ICE社長のKelly Loeffler氏は、この新規取引所Bakktが、高い効率性、安全性、実用性を有することから、「機関投資家、企業、消費者が、仮想資産投資へ参入するための入口になる」と語り、機関投資家もターゲットとして捉えていることを示唆しています。
さらに8月28日、アメリカ・サウスダコタ州の銀行部によって認可され、仮想通貨管理サービス提供を行う「Kingdom Trust」が、300年以上の歴史を持つ世界最大級のイギリス保険組合「ロイズ」に属する保険引き受け業社と仮想通貨盗難における保険の締結を行ったことを発表しました。
仮想通貨管理サービスは、例え最大限にセキュリティを高めたとしても、内部犯行や自然災害などによる損害を受ける可能性があるため、完全であるとは言えませんでした。
しかし、このように例え資産を失ったとしても、保険組合ロイズのような「補填を保証できる信用性の高い裏付け」ができたことで、大口投資家や機関投資家参入の敷居が下がったと言えるでしょう。
Academie Bitcoin CEOのJonathan Hamel氏が、「バンク・オブ・アメリカ」や「Bakkt」による機関投資家向けの仮想通貨管理サービスが台頭してきていることで、店頭取引(OTC)市場や、機関投資インフラが確実に高まりつつある」と述べているように、仮に”ビットコインETF”が実現しなかったとしても、機関投資家からある程度の流入が見込めると考えられています。