独大手証券取引所、仮想通貨に本腰
ドイツのシュトゥットガルト証券取引所(Borse Stuttgart)は30日、デジタル部門に属するblocknoxが同国の金融規制当局BaFinから暗号資産(仮想通貨)カストディアンとしての最終的なライセンスを取得したと発表した。
これにより、機関投資家の顧客に、仮想通貨の仲介、取引、カストディという一連のサービスを提供していく。
ドイツでは、2020年1月1日以降、仮想通貨ビジネスに対する新しい法的規制が設定されており、仮想通貨の保管に特別なライセンスが必要となっていた。blocknoxは、規制対象の金融サービスプロバイダーという暫定的なステータスを保有していたが、今回新たなライセンスを認められたことになる。
シュトゥットガルト証券取引所デジタル部門、およびblocknoxのOliver Vins運営ディレクターは、次のように述べた。
仮想通貨市場がうまく機能するためには、信頼性、安定性、透明性が欠かせない。BaFinのライセンスは、こうした基本原則に基づき、当社がデジタル資産という成長市場への安全なアクセスを欧州全域の金融機関に提供する道を固めるものだ。
カストディとは
投資家の代わりに資産を保有・管理することを指す。仮想通貨以外の資産にも広く使われる用語。資産の保管や売買に係る決済、また元利金・配当金の受領や議決権行使など、幅広い業務を代行するサービスを指す。カストディを行う企業を「カストディアン」と呼ぶ。
▶️仮想通貨用語集
シュトゥットガルト証券取引所とは
シュトゥットガルト証券取引所は、欧州で6番目に大きな取引所グループだ。資本市場事業とデジタル資産・仮想通貨事業という戦略的な柱を設定している。ドイツ、スウェーデン、スイスで取引所を運営しており、700人の従業員を擁している。
そのデジタル資産部門「Boerse Stuttgart Digital」はリテール顧客、機関投資家顧客向けに、仮想通貨取引所を展開している。
SBIグループの子会社SBIデジタルアセットホールディングス(SBIDH)は1月、このデジタル部門への投資を拡大したところだ。他に、Axel Springer、Finanzen.netも出資している。
また、シュトゥットガルト証券取引所は2018年に仮想通貨取引アプリ「Bison」をリリース。2021年には取引高が約3,200億円(24億ドル)以上に達したと報告していた。
2022年11月に大手仮想通貨取引所FTXが破綻した際には、新規顧客が増えたとも述べている。
当時、シュトゥットガルト証券取引所のデジタル部門責任者であるUlli Spankowski氏が「取引アプリBisonとBoerse Stuttgart Digital取引所が、顧客の求める信頼性に応えているため、4月以来最高の成長率を記録している」とコメントしていた形だ。
またSpankowski氏は、ドイツにはBafinへ登録する制度があるため、FTXのような問題は起こりにくいとも続けていた。
私たちは、年間を通じて定期的に、保管している仮想通貨の在庫を報告する。FTXで起こったように、顧客の資金が姉妹会社に移された場合、早い段階で気付くだろう。
また、カストディ事業であるblocknoxも、年次監査の一環として、管理している仮想通貨の状況を確認するとも説明している。
ナスダックの仮想通貨事業
証券取引所の事例としては、米証券取引所大手のナスダックも、今年の第2四半期(4~6月)末までに、機関投資家向け仮想通貨カストディサービス「Nasdaq Digital Assets(ナスダック・デジタルアセット)」の立ち上げを目指している。
ナスダックはすでに、仮想通貨関連指数や仮想通貨ネイティブの金融犯罪対策サービスなども提供しているところだ。
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