再編成プランの暫定合意の離脱
暗号資産(仮想通貨)コングロマリット企業Digital Currency Group (DCG)は25日、融資部門子会社Genesis Capitalの再編成プランの暫定合意から一部債権者が手を引いたことを報告した。
DCG Statement on Genesis filing Motion for Mediation: pic.twitter.com/pRluUnL49C
— Digital Currency Group (@DCGco) April 25, 2023
再編成プランが承認されない場合、DCGが抱えるGenesisへの債務の支払い期限が23年5月に迫ることとなり、DCGの保有するGBTCなどの資産の強制売却に直面する可能性がある。
そのためDCGは、裁判所に破産手続きの仲介者を任命するよう新たに求めている。この動きは、再編成プランの承認に向けて、再調整を進めたいというDCG側の意向が示されている。
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2月に合意が成立した再編成プランは、1月に米連邦破産法11条(チャプターイレブン)にもとづいた破産申請を行ったGenesisとその親会社であるDCGが、Genesisの債権者に提示した再編計画。
DCGとは
大手仮想通貨コングロマリット企業。6つの子会社を持ち、200以上のブロックチェーン関連スタートアップと50以上の仮想通貨ファンド、プロジェクトに投資している。主な子会社には、投資会社グレースケール、ビットコインマイニング企業Foundry、ジェネシス・グローバル・キャピタル、仮想通貨メディアCoinDeskなどがある。
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この計画は、DCGがGenesisに対して支払うべき約800億円(5億7,500万ドル)の債務をローンの借り換えによって2024年6月まで繰り延べ、Genesisの売却またはその株式を債権者に譲渡する内容だった。
1月時点、DCGが抱えていたGenesisへの債務は「約600億円(約4.5億ドル)と4,550 BTC(約100億円(7,800万ドル)相当)」であり、これらの満期は23年5月に迎えることがDCGにより明かされていた。DCGはこれらの資金で自社株買いの他、仮想通貨投資や公開市場でのGBTC購入を行ったという。
再編成プランが成立している限り、DCGは資産の強制売却を免れ、資金繰り問題を緩和できた。その間、DCGはGenesisの売却を試み、その資金によってGenesis Capitalが債権者に対して負っている債務(3.4億ドル)の返済を目指していた。
資金調達は困難か
分析会社PeerIQのCEOであるRam Ahluwalia氏の見立てによれば、現在DCGは債務返済に向けた資金調達に意欲を示している。しかし、時間的に新たな資金調達が困難な状況だ。
DCGは2022年末時点で350億円(2億6,200万ドル)しか現金を保有していなかったことがわかっている。また、投資先ポートフォリオの売却や、DCG子会社である投資会社Grayscale Investments、仮想通貨メディアCoinDesk、米最大手ビットコインマイニング企業Foundryなどを活用した融資を行った形跡がないことから、問題の解決に向けて別の解決策を探していることが示唆されている。
なお、DCGは2022年8月に約630億円(4億6500万ドル)相当のGBTCを利回りサービスGemini Earnに担保として差し出しており、その約半分はすでにGemini側で清算されている。残りの半分は値上がりしているものの、仮にDCGがこれらを売却してもGenesisへの債務返済としては3〜4億ドル不足している状況だ。
12/ Nevertheless, the immediate focus is on the here and now.
— Ram Ahluwalia, higher for longer crypto CFA (@ramahluwalia) April 26, 2023
Add May 11th to your calendars.
That is when the 4,500 bitcoin loan is due to Genesis. That's $135 MM assuming BTC is at $30K.
Ahluwalia氏によると、当面の注目点はGenesisの4,500 BTCの融資期限を迎える5月11日とされる。BTC価格が3万ドル(400万円)だった場合、1億3500万ドル(180億円)に相当する。この債務額はビットコインの値上がりによってさらに拡大する状況にある。
融資契約のデフォルトリスクにより、DCGの保有資産が清算される可能性が懸念される。ベンチャー投資株式やGBTC、その他のトークン投資のうち流動性が高い資産と流動性が低い資産がどれだけ含まれているかは定かではない。
こうした不確実性の影響で、ディスカウント率が-35%まで持ち直していたビットコイン投資信託(GBTC)は、再び-40%まで下落している。
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5月9日から11日の債務返済期限
米国の仮想通貨取引所Geminiは、DCGが子会社であるGenesisに対して866億円(6.3億ドル)の債務を支払えない場合、デフォルト発生のリスクがあると主張している。
1/ Earn update: This past week, Genesis, Digital Currency Group (DCG), the Unsecured Creditors Committee (UCC), the Creditor Committee, and Gemini agreed to start a 30-day mediation process to drive to a final resolution as soon as possible.
— Gemini (@Gemini) April 30, 2023
Gemini EarnはGenesisの主要な貸付パートナーだったが、2022年11月にGenesisが引き出しを停止して以降、Gemini Earnユーザーの資金で約1,200億円(9億ドル)の債権を有している。
Geminiは4月28日の更新で、Genesis側と30日間の調停プロセスを開始することで合意したと発表。声明の中で、5月9日から11日の間に、DCGがGenesis破産財産に対して6.3億ドルの支払い期限を迎えることになると言及した。また、DCGが債務の支払いや再構成ができない場合、DCGはその債務をデフォルトするリスクがあるとした。
デフォルトが発生すれば、DCGの信用力低下により資金調達が困難になり、市場参加者の信頼度は低下し、仮想通貨市場全体に不安が広がる可能性がある。
Geminiとしては、5月8日までにGenesis側と調停会議を設定し、Earnサービスの利用者だけでなく、すべての債権者を含むGenesisの破産計画の解決を図ろうとしている。
GBTC(グレースケールビットコイン投資信託)とは
GBTCはビットコインの価格と連動した投資信託で、一般の株式と同様に売買が可能。機関投資家や米証券取引委員会(SEC)から認められた認定投資家を対象に提供されており、投資家にとってはビットコインの現物を売買・保有しなくて良いというメリットがある。
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