CEO逮捕、「Multichain」閉鎖へ
クロスチェーンルータープロトコル「Multichain(マルチチェーン)」のチームは14日、Zhaojun CEOが5月21日に逮捕されており、運営資金が不足しているために閉鎖すると発表した。
1. On May 21, 2023, Multichain CEO Zhaojun was taken away by the Chinese police from his home and has been out of contact with the global Multichain team ever since. The team contacted the MPC node operators and learned that their operational access keys to MPC node servers had…
— Multichain (Previously Anyswap) (@MultichainOrg) July 14, 2023
これまでの経緯
マルチチェーンのチームは次のように述べている。
2023年5月21日、マルチチェーンのZhaojun CEOは中国の警察によって自宅から連行され、それ以来、連絡が付かない状態だ。
チームは、MPCノードオペレーターに連絡し、MPCノードサーバーへの運用アクセスキーが取り消されていることを知った。さらに、これらのMPCノードサーバーは、他のすべての通常のサーバーと同様に、実際にはZhaojunの個人クラウドサーバーアカウントで実行されていた。
さらに、チームのメンバーはZhaojun氏の個人クラウドサーバーのアカウントにアクセスできないため、事業で使われていた、これらのMPCサーバーにログオンできない状況だったと続けた。
このためチームは、MPCではない限られたサーバーを利用して運営を続けていたが、Zhaojun氏の妹の助けにより、同氏の自宅にあるコンピュータの履歴から、クラウドサーバーへのアクセスに成功した。
しかし7月7日、MPCアドレスにロックされていたユーザー資産が未知のアドレスに不正に転送された。
チームはこの件について、Zhaojun氏の妹が、「MPCアドレスから資金を送金する操作と、昆明のIPアドレスからのログイン情報がクラウドサーバープラットフォームに残されていた」と話したと説明している。
この不正流出については、すでに報じられているところだ。
ブリッジから146億円相当の仮想通貨が出金されたことが検出され、マルチチェーンのチームも、異常な送金が行われたとも説明。全てのユーザーに対し、関連する全てのコントラクトをRevoke(承認取り消し)するよう呼びかけていた。
関連:Multichainブリッジ、146億円超相当の仮想通貨が不正流出か ユーザーにRevoke推奨
ブリッジとは
異なるブロックチェーン同士が相互運用できるようにするためのインフラや技術のこと。別のブロックチェーンで特定の仮想通貨を使う場合の技術の1つに「Wrapped Tokens」がある。この技術では、元の仮想通貨をロックアップして同等のWrapped Tokensを作成することで、様々なブロックチェーンでその仮想通貨の代替物を活用できるようになる。
▶️仮想通貨用語集
妹も警察に拘留
しかし、チームによるとその後7月13日、サーバー操作で協力していたZhaojun氏の妹が警察に拘留された。このため彼女と連絡が付かず、保存した資産の状況が現在、不明な状況であるという。
チームは、CEOの妹の他に、「関連する情報を提供するものがなく、運営資金も不足しているため活動を停止せざるを得ない」としている。この先、状況についてさらに新たな情報や進展があった場合、追ってコミュニティに通知すると続けた。
Zhaojun CEOや、その妹が7日の不正流出事件に関わっていたのかどうか、二人が拘留されているため現在は不明となっている格好だ。