公開型・非公開型チェーンの両方に対応
スイスのフィンテック企業Taurus(トーラス)は19日、デジタル資産の保管とトークン化サービスを拡張し、許可型ブロックチェーンへのサポートを始めることを明らかにした。この動きは、デジタル資産の多様化とともに金融業界のニーズに応えるものである。
Taurusの単一プラットフォームを活用することで、公開型および許可型のブロックチェーン上での資産トークン化が容易となる。新たにサポートが追加されるのは、Hyperledger BESUやQuorumといった許可型ブロックチェーンであり、どちらもイーサリアムの主要なクライアントソフトウェア、Geth(go-ethereum)をベースに開発されている。
この拡張により、Taurusはイーサリアムやポリゴン(MATIC)といったEVM互換のパブリックチェーンとのインターオペラビリティを強化する構えだ。Taurusの製品責任者、Vassili Lavrov氏は「顧客は多様なブロックチェーンでの取り組みを進めており、それらをスムーズに連携させることが重要だ」とコメントしている。
金融機関は厳格な規制下での運用が求められるため、利用者やノード管理者を制限できるプライベートブロックチェーンを選択する傾向がある。例として、香港金融管理局(HKMA)は「プロジェクト・エバーグリーン」を通じて、Hyperledger Besuを使用して8億香港ドル相当のトークン化されたグリーンボンドを発行した。
Taurusとは
Taurusは2018年にスイスで設立され、デジタル資産の全範囲をカバーするエンタープライズグレードのインフラを提供している。最近、ドイツ銀行との間でデジタル資産関連の提携を発表したばかりだ。
一方、金融大手Citiは18日、ブロックチェーン技術を活用した新サービス「Citi Token Services」の開発を発表。これにより、現実資産(RWA)ををデジタルトークンとして効率的に管理できるようになる。Citiもプライベートブロックチェーンを採用、管理はシティが行い、顧客はノードをホストする必要はない。
資産のトークン化は、不動産や証券、銀行預金、その他の資産をデジタルトークンとしてブロックチェーン上に表現する技術であり、資産管理の効率化や取引の容易化が期待されている。多くの専門家は、2030年までにトークン化市場が数兆ドル規模に達するとの見解を示している。
香港政府もステーブルコインに関する規制ガイドラインの発表を2024年半ばに予定しており、地域内でのデジタル資産の発展に関心も集まっている。
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