ヘイズ氏、BTCとETHに自信示す
暗号資産(仮想通貨)取引所BitMEXの共同創業者で元CEOのアーサー・ヘイズ氏は9日、ビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)などの今後の見通しや、戦争リスクについて、独自の見解を披露するブログ記事を公開した。
まずヘイズ氏は、FRBが、今後民間銀行から資産を買い戻すことで約152億円(1兆ドル)の流動性を市場に提供し、株式、仮想通貨、金(ゴールド)、その他の金融資産の上昇を促進するとの推測を立てている。
また、米ドルの供給量が多くなることで価値は下がり、2024年前半まで人民元(中国)、円(日本)、ユーロ(ヨーロッパ)といった通貨が米ドルに対して上昇し、各政府はこれらの供給量を増やしやすくなるだろうと述べた。
このような状況を推測しつつ、ヘイズ氏は仮想通貨については、ビットコインとイーサリアムの今後の展望に自信を示し、次のようにコメントしている。
最初に注目されるのはビットコインだ。ビットコインはマネーであり、それも唯一無二のマネーだ。
その次はイーサリアムだろう。イーサリアムは、最高のインターネット・コンピューターであるイーサリアムネットワークを動かす商品(コモディティ)である。
ヘイズ氏は、その他に資産が流入する可能性があるものとして、イーサリアムと競合するソラナなどのレイヤー1ブロックチェーンを挙げた。
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こうしたトークンは、弱気相場の間の下落幅が大きく、今後は極度の安値から上昇して投資家に利益をもたらす可能性があるという。
しかし、一方で、これらは過大評価されている側面もあり、それらのチェーンを利用する開発者、dApp(分散型アプリ)の活動、預け入れ総額の点でイーサリアムを追い越すことはないだろうとも述べた。
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dAppsとは
オープンソースのブロックチェーンを利用して開発されるアプリのこと。「Decentralized Applications」の略で、日本語では「分散型アプリケーション」と呼ばれる。中央集権的な管理者がいないことが大きな特徴。最も普及しているのがイーサリアムのブロックチェーンで、ゲームや分散型取引所(DEX)などのアプリが開発されている。
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戦争リスクと仮想通貨
ヘイズ氏は次に、イスラエルとイスラム系組織ハマスの衝突など地政学リスクに関しても見解を披露している。
もしもイランが戦争に巻き込まれて戦火が拡大した場合、欧米への石油の流れに何らかの混乱が生じることを考慮すべきだとしている。そうした場合には、原油価格の高騰に対抗するためにFRBが介入して利上げを行うことが必要になるかもしれないと指摘する格好だ。
一方で、その場合には戦争やエネルギー価格の高騰により世界的な経済不況が引き起こされることで、FRBの金融政策が利下げに転じざるを得なくなるケースも考えられると続けている。その上で、ヘイズ氏は次のように意見した。
ヘイズ氏は、いずれの場合でも金融相場の不確実性が高まり、初期反応としてビットコインの下落が起こる可能性があるとしつつ、戦争中にビットコインは債券よりも優れたパフォーマンスを発揮すると推測。軟調な局面があったとしても、ビットコインを押し目買いするだろうと続けている。
ヘイズ氏は、ビットコインなど仮想通貨が戦争の局面で果たす役割についても言及した。
ビットコインは、その分散型の性質により、ある国家やグループに経済制裁などを回避するツールを提供できると指摘している。また、匿名性や国際取引の容易さにより、紛争への資金調達手段には魅力的な選択肢だとも述べた。
イスラエルとハマスの衝突においても、双方で仮想通貨による資金調達が一部行われているとの指摘もある。
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