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高値圏で揉み合うビットコイン、市場のETF早期承認期待は剥落か|bitbankアナリスト寄稿

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

今週11/11(土)〜11/17(金)の仮想通貨相場

国内大手取引所bitbankのアナリスト長谷川氏が今週のビットコインチャートを図解し、今後の展望を読み解く。


目次
  1. ビットコイン・オンチェーンデータ
  2. bitbank寄稿

ビットコイン・オンチェーンデータ

BTC取引数

BTC取引数(月次)

アクティブアドレス数

アクティブアドレス数(月次)

BTCマイニングプールの送金先

取引所・その他サービス

bitbankアナリスト分析(寄稿:長谷川友哉)

11/11(土)〜11/17(金)の週次レポート:

今週のビットコイン(BTC)対円は今年の高値圏で揉み合いに終始している。

BTCは週明けから高値警戒感により560万円周辺で上値を重くすると、14日に下げ足を速め530万円割れを試した。この日発表された10月の米消費者物価指数は市場予想を下回り、米債利回りが急低下したが、BTCの反応は薄かった。

一方、14日の相場下落によりBTCの相対力指数(RSI)のダイバージェンスが解消されると、15日には押し目買いが入りジリ高に転じた。この日の米経済指標では、9月の小売売上高が上方修正された他、11月のNY連銀製造業指数が大幅に上振れた一方、10月の卸売物価指数(PPI)は大幅に下ぶれた。こうした結果を受けてBTCは540万円台中盤で足踏みとなったが、後に上昇に転じるとアルトの復調も相場の支援となり560万円を回復した。

しかし、15日米時間に米証券取引委員会(SEC)がハッシュデックスの現物ビットコイン上場投資信託(ETF)の審査判断を延期発表すると、BTCはドル建てで3.8万ドルをタッチした後に上値を重くし、利益確定売りが優勢となった。

17日正午時点では、540万円周辺をサポートに自律反発の様相を呈している。

第1図:BTC対円チャート(1時間足)出所:bitbank.ccより作成

可能性としては低いものの、17日までにSECが現在申請されている現物ビットコインETFを承認するかもしれないとブルームバーグのアナリストが指摘していたが、結局、ハッシュデックスのETFは判断を延期された。本稿執筆時点でフランクリン・テンプルトンが申請しているETF(第1審査期限は17日)についてSECからは判断延期の発表はないが、このタイミングでの承認の可能性は低いと推測され、市場のETF早期承認期待も剥落した格好か。

来週21日にはグローバルXの現物ビットコインETFの第2審査期限を迎えるが、ハッシュデックスのETFに関するコメント期間が始まったことから、こちらも来週のタイミングで承認が下る可能性は低いか。

他方、今週は米CPIとPPIが下振れた他、新規失業保険申請件数も23.1万件と8月ぶりの高水準を記録しており、インフレ率の鈍化や労働市場逼迫の軽減傾向が確認された。また、10月の小売売上高は、+0.7%から+0.9%に上方修正された9月から-0.1%と減速はしており、米連邦準備理事会(FRB)による一層の金融引き締めは想定し難い状況と言える。

ETF早期承認への期待感の薄れや、高値警戒感によってBTCは伝統的金融市場とは独立した値動きとなっていると言えるが、来年1月までSECがビットコインETFの承認判断を下さないとの織り込みも進んだと見ており、市場のテーマはFRBの政策や半減期に移っていくと指摘される。

上述の通り、米国では物価上昇率の鈍化、消費の減速、労働市場環境の緩やかな改善が見受けられ、FF金利先物市場では利下げ開始予想が来年6月から5月に前倒しとなっており、米経済のファンダメンタルズ的な観点から鑑みれば、早期利下げ期待がBTC相場の支援となろう。

寄稿者:長谷川友哉長谷川友哉(ハセガワ ユウヤ)
英大学院修了後、金融機関出身者からなるベンチャーでFinTech業界と仮想通貨市場のアナリストとして従事。2019年よりビットバンク株式会社にてマーケットアナリスト。国内主要金融メディアへのコメント提供、海外メディアへの寄稿実績多数。

関連:bitbank_markets公式サイト

前回のレポート:アルト相場に支えられビットコイン高騰、地合いの強さが継続

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