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半減期後のビットコイン市場、過去のトレンドと現在の特異点 Binance Japan千野氏

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

半減期後のビットコイン市場

Binance Japan株式会社は4月16日、メディア関係者を対象としたオンラインプレスセミナーを開催し、同社の代表取締役である千野剛司氏が講演者として登壇した。

セミナーの主なテーマは、「2024年ビットコイン半減期と暗号資産市場の展望」。以下のトピックについて深く掘り下げた。

  • 暗号資産(仮想通貨)市場の現在地
  • ビットコイン半減期のメカニズムと意義
  • 過去3回の半減期と値動きの振り返り
  • 仮想通貨業界全体に与える影響
  • 仮想通貨業界に与える影響と今後の展望

暗号資産(仮想通貨)市場の現在地

千野氏はいくつかの指標に基づいて、現在のビットコイン市場は、楽観的なムードが支配していると指摘した。

取引量は前回の強気相場(2021年)に匹敵するレベルまで回復しており、仮想通貨市場のセンチメント指標「恐怖と強欲指数」は71(Greed:強欲)からも、投資家の楽観的な姿勢は顕著。価格は円建てドル建てともに過去最高値を更新し、価格が若干下落しているとはいえ、依然として高水準(~1000万円)を推移している。

2018年2月から2024年2月までの暗号恐怖と貪欲指数 出典:Alternative.me

千野氏は、現在の市場の楽観的なムードの一因として、米国で1月に承認されたビットコイン現物ETFの発売を指摘。このポジティブなトレンドはアルトコインにも波及しており、23日時点で仮想通貨市場全体に占めるアルトコインのシェアは46.3%で、ビットコイン(53.6%)と比較しても市場での存在感を維持している。

ビットコイン半減期のメカニズムと意義

ビットコインの半減期は、マイニング報酬が半分に減少する定期的なイベントであり、その経済モデルの要点だ。

ビットコインの新規発行量は21万ブロックごとに半減し、市場への新たな流入を制限する。このイベントは中央銀行の金利政策と同様に注目されるが、プログラムにより自動的に実行される点で異なっている。

しかし、半減期(Halving)自体はホワイトペーパーで言及されておらず、サトシ・ナカモトは具体的な説明をしていない。しかし、ビットコインは金(ゴールド)の採掘に似せてデザインされており、鉱床が減少するにつれて、より多くの労力が必要になる。同様に、半減期はマイニング効率を下げる効果がある。

ビットコインは中央機関が不在のもと、ネットワークを支持するマイナーへの『インセンティブ』として、そして公平な報酬分配を保証するために設計された。初期のマイナーほど、未確立のネットワークに投資するリスクを負い、その見返りとしてより多くの報酬を得る。この仕組みは、リスクと報酬を均衡させる。

最終的に「流通量が上限に達すると、インセンティブはトランザクション手数料に完全に移行し、インフレから解放される」とホワイトペーパーに定義されている。

インフレ耐性

千野氏によると、ビットコインの半減期はインフレを抑制し、希少性を増すメカニズムと解釈される。ビットコインが長期にわたり価値を保持するための重要な要素だ。この理解を深めるためには、ビットコインの起源と2008年の世界金融危機との関連性を把握することが役立つ。

2008年の金融危機は、ビットコインの誕生に大きな影響を与えた。この危機を通じて露呈した伝統的金融システムの欠陥に対抗するため、サトシ・ナカモト(仮名の個人またはチーム)はビットコインをピアツーピアの電子キャッシュシステムとして提案した。ビットコインは中央銀行や政府の介入を受けない、分散型の金融システムとして機能する。

サトシ・ナカモトがビットコインの創成ブロック(ジェネシスブロックとも呼ばれるビットコインブロックチェーンの最初のブロック)に埋め込んだ批判的なメッセージは有名だ。「The Times 03/Jan/2009 Chancellor on brink of second bailout for banks.」このメッセージは2009年1月3日のタイムズ紙の見出しを引用しており、当時の金融不安と政府の介入を指摘している。

以後20年以上にわたり、多くの開発者、企業、機関、そして投資家がこのプロジェクトに参加し、ネットワークは拡大してきた。現在では、時価総額は約1.4兆ドル(約200兆円以上)に達し、銀の時価総額(約1兆3600億ドル)に匹敵するまでに拡大している。

過去3回の半減期と値動きの振り返り

2024年4月20日に迎えた半減期では、ビットコインのマイニング報酬が50%減少し、3.125 BTCとなっている。

千野氏は、「半減期は単なる報酬の減少以上の意味を持ち、ビットコインのプログラムが計画通りに進行していることを示すもの」と語り、半減期がビットコインシステムの健全性を保つ証として業界内で広く認識されていることを強調した。これは、ビットコインが持つデフレ性質の強化と、さらなる希少価値がさらに増すことを示している。

出典:セミナー資料

千野氏は過去3回のビットコイン半減期における価格動向を分析した。2012年の半減期当日、価格は12.3ドルだったが、その150日後には約1000%の上昇を遂げ135.29ドルに達した。続く2016年と2020年の半減期でも、価格はそれぞれ1年後には8186%、381%、そして649%の大幅な上昇を記録した。

千野氏によると、ビットコインが伝統的な金融資産よりも高いボラティリティを持ちながらも、長期的な価値上昇の可能性を持っていることがデータから示されている。

関連:ビットコインの買い方|初心者が知るべき投資メリット、リスク、最適な取引所選び

仮想通貨業界全体に与える影響

同氏はまた、今回のビットコイン半減期が、過去と異なり、史上初めて半減期前に最高値を更新したことに着目。その背景には以下の三つの要因があると指摘した。

  • 米国でのETF承認:米国で現物のビットコインETFが承認され、市場に新たな資金が流入している。ビットコインが伝統的な金融プレイヤーに認知され、機関投資家の需要が拡大している。
  • DeFi市場の活発化:ビットコインにスマートコントラクト機能が導入され始め、オーディナルズプロトコルの出現により、ビットコインにNFTを実装することが可能になった。ビットコインが新たな価値を提供する可能性を拡げた。
  • レイヤー2技術の発展:DeFiと結びついたレイヤー2の技術が、ビットコインの機能拡張と市場拡大に貢献している。

これらの進展により、ビットコインは社会的な役割を拡大し、その価値をさらに高めることが期待されている。ただの投資対象やマイナーへの報酬としての機能を超え、さまざまな社会的、経済的活動に影響を及ぼしている。

関連:ビットコインの新規格「Runes」、半減期後の需要殺到でBTC取引手数料が急騰

今後の展望

千野氏は今後の展望として、以下の三つのポイントを指摘し、これらが今後の市場進展を形作るとの見解を示した。

  • 機関投資家の参入継続:機関投資家が、株式や債券などの従来の投資手法に「代替する」投資先として、ビットコインを含む暗号資産を継続して保有する動向。
  • 個人投資家の理解促進:暗号資産の現実社会への接点が明確になり、個人投資家にとって理解しやすくなる。
  • イーサリアムの現物ETFの関心:ETFが証券取引と現物の暗号資産を結びつける役割を果たす。米国でイーサリアムの現物ETFが承認されれば、伝統的金融とブロックチェーン金融の距離が縮まる。

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伝統的金融とブロックチェーン金融の接点として、千野氏は「リアルワールドアセット(RWA)」の重要性を強調し、暗号資産の社会実装の鍵を握ると指摘した。RWAは不動産、株式、債券、商品などの物理的な資産を指し、これらを暗号資産のプロトコルに統合することで、伝統的な資産のトークン化が進んでいる。

最終的に、半減期の到来が価格にどう影響するかは不明であるが、市場には需給の需要を刺激するファンダメンタルズが多く、それが価格にポジティブな影響を与える可能性が高いと千野氏はまとめた。

質疑応答

質問1:ビットコイン市場をけん引する国は?RWAは、日本市場にどう影響を及ぼすか

千野氏:ビットコインの上昇について、残念ながら日本のマーケットが与える影響は大きくない。日本の市場ボリュームは世界的に見ても非常に小さく、円建ての取引のグローバル価格への寄与度は限定的。しかし、RWAの文脈では、日本が世界に先んじている可能性がある。政府のデジタル成長戦略やインバウンド需要の取り込みがあり、たとえばホテルの宿泊権をNFT化する取り組みがある。大手ホテルチェーンも関心を持っており、稼働率を安定させるために利用されています。このような社会的実装が進むことで、取引の活発化が期待される。

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質問2:法人によるビットコイン投資は進むか?

千野氏:活発化していくだろう。日本の大手金融機関も非常に積極的に取り組みたいという意欲を示しており、そのような話を受けることも増えている。また、海外の投資銀行が提供するプライムブローカーのサービスを通じて、機関投資家が取引するための環境整備が進んでいる。事業会社がクリプトを活用したプロジェクトを立ち上げる動きもあり、一般企業でも投資や取引が活発化すると見ている。

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登壇者略歴

千野剛司(ちの・たけし) – Binance Japan株式会社代表取締役

経歴: 慶應義塾大学を卒業後、2006年に東京証券取引所に入社。金融危機の影響を受け、債務不履行管理の改良プロジェクトに参画し、後に日本証券クリアリング機構でOTCデリバティブの清算プロジェクトを主導。この経験を通じて、清算決済分野での知識を深めた。

2014年、オックスフォード大学で経営学修士(MBA)を修了。

2016年、PwC JapanのCEO Officeにて経営企画を担当し、リーダーシップチームの戦略立案をサポート。2018年、世界的な暗号資産取引所Krakenの運営会社Payward, Inc.に入社し、金融庁登録に貢献。

2020年3月、Kraken日本代表に就任。その後2022年7月、Binance日本代表に就任。

2023年6月、一般社団法人日本暗号資産ビジネス協会理事に就任し、暗号資産業界の発展に寄与している。

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