ビットコインETFの資金フロー
米国の暗号資産(仮想通貨)ビットコインの現物ETFは先週、5.8億ドル(約915億円)超の資金が純流出した。
以下の画像の通り、先週の5営業日の中で12日以外が純流出。商品ごとではブラックロックの「IBIT」だけが全営業日で純流入を記録した。先週のETFへの資金フローは、米FOMC(連邦公開市場委員会)の会合の影響を受けたとの見方が上がっている。
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ビットコインの現物ETFは、先週の前の週までは19日連続で純流入が継続していた。一方、7日発表の米雇用統計によって、米連邦準備理事会(FRB)への利下げ期待が後退したなどの影響で、10日には純流入の連続記録が止まった。
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先週はその後、日本時間12日に米消費者物価指数(CPI)の結果発表、同13日朝方にFOMCの会合が終了と重要イベントが連続。CPIの数値が総合・コアともに市場予想を下回り、ビットコインなどの価格は一時上昇したが、その後にFOMCの会合が市場に影響を与えたとの見方が上がっている。
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CoinSharesのレポート
仮想通貨投資企業CoinSharesは17日、先週のレポートを公開し、デジタル資産の金融商品から合計で6億ドル(約946億円)の資金が流出したと報告。先週は、24年3月以来もっとも流出額が大きかったと説明した。上述した金額から、この大部分がビットコイン現物ETFだとみられる。
CoinSharesは資金流出について、最も大きな影響を与えたのはFOMCの会合だと主張。今月のFOMCは、予想よりもタカ派(金融引き締め傾向)だったと市場がとらえていると指摘した。
具体的に挙げている内容は「ドットチャート(英:Dot Plot)」。ドットチャートとは、FOMC参加メンバーが適切と考える各年の政策金利を示した分布図で、通常3月・6月・9月・12月に公表される。
今回のドットチャートによれば、24年に予想される利下げ回数は、中央値では1回。3月のドットチャートでは、中央値は3回だった。この結果から利下げ期待が後退し、ETFなどの市場に影響を与えたとCoinSharesは分析した。
一方で、中央値だけで判断することには疑問の声もある。6月のドットチャートでは、最頻値から判断すると24年の利下げ回数は2回。来年以降の予想も合わせ、今回のFOMCはそれほどタカ派ではなかったとの見方もある。
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アルトコインについて
CoinSharesはアルトコインについては、資金が流入したことを示すデータを公開。アルトコインの資金流入はイーサリアム、XRP、LIDOが主導したと説明している。
以下の画像は、CoinSharesが掲載した表。ビットコインからは多くの資金が流出したことが示されている。
一方で、上述した通り、特にイーサリアムに資金が流入。背景には、イーサリアム現物ETFの取引開始への期待感などがあるとみられる。
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