仮想通貨ETFの実現は
金融庁の井藤英樹長官は「ブルームバーグ」のインタビューで、暗号資産(仮想通貨)のETFを日本が承認するかどうかは、慎重に検討する必要があるとの考えを示した。ブルームバーグが7日に報じた。
井藤氏は、投資信託は国民が長期的かつ安定的な資産形成を行うために作られた制度であると説明。その上で、その制度の趣旨に仮想通貨が沿うかについて、「必ずしもそうではないという見方もまだ多いのではないか」と語った。
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米国では今年1月、投資家保護などの観点から長期に渡って認めてこなかったビットコイン現物ETFを、証券取引委員会(SEC)が承認。現物ETFは、ビットコインを購入・保有して運用されるため、承認に対する投資家からの期待が大きかった。米SECは現在、イーサリアムの現物ETFも承認済みだ。
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また、今年4月には香港でビットコインとイーサリアムの現物ETFが上場。そして、6月にはオーストラリアでも、ビットコイン現物ETFが上場した。
こういった世界の動向を背景に、日本でも仮想通貨ETFのローンチを望む声が増えている。その理由の1つは、仮想通貨のETFを日本で購入できるようになると、税制面で大きな優位性があるからだ。
一般的な仮想通貨投資による利益は雑所得で総合課税扱いとなるため、最大55%の税率が課せられる。一方、証券市場で売買可能なETFであれば譲渡益となり、申告分離課税の20.315%で済む。
もちろんETFにも、24時間365日取引できないなどのデメリットもあるが、投資家の選択肢を増やす上でも、仮想通貨ETFの承認が期待されている。
日本の動向
日本の投資信託に関する法律を見ると、投資信託に組み入れできる「特定資産」に仮想通貨は含まれていないため、日本ではまだビットコインなどのETFは販売できない。
また、現在の税制がETFのメリットとして挙げられる一方で、一般的な仮想通貨投資と税制上の不整合が発生するという指摘も上がった。そうなれば、国内の仮想通貨取引所から投資マネーが流出する可能性もある。こういった現状を踏まえ、仮想通貨の業界団体は、一般的な投資の利益を申告分離課税の対象にすることなどの要望を政府に提出している。
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まだ課題はあるが、投資家の裾野が広がる可能性あり、ETF承認への期待は大きい。ビットフライヤーのトップである加納裕三氏は、6月に公開された「日経新聞」のインタビューで以下のように語っていた。
近年は日本でもETFの議論が盛んになっている。議員や行政の間でもETFがキーワードになってきている。業界団体でも議論が始まっており、どこかのタイミングで日本でもETFが解禁されると思う。
米国ではビットコインのETFがかなり売れている。日本でも解禁されれば多額のお金が流れ込んでくるだろう。
さらに、日本の企業は仮想通貨ETFの提供に向けて、実際に動き出している。
先月26日にSBIホールディングスが、米資産運用会社フランクリン・テンプルトンと共同で日本において資産運用会社を設立することで、最終契約のための条件合意書を締結したことを発表。
この時、日本でも現物の仮想通貨を組み入れたファンドやETFなどの提供が解禁された場合は、フランクリン・テンプルトンが米国で培った商品組成力や運用力を活かした商品を日本の投資家に提供するとともに、将来的にはセキュリティトークンを含めたデジタル資産も視野に入れた商品の開発を目指していくと説明した。
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