振興技術推進の課題感と可能性は
CoinPost株式会社が企画・運営し、一般社団法人WebX実行委員会が主催する国際Web3カンファレンス「WebX」において、「官民共創:web3など新興技術の推進のための政策の在り方」をテーマに、各省庁で新興技術担当するなどWeb3領域で活躍する女性3名がトークセッションした。
経済産業省 課長補佐の板垣 和夏氏は冒頭、「内閣官房のスタートアップ担当として、これまでも宮内庁以外のあらゆる省庁とやりとりをしてきた」と言及。その上で、「岸田政権ではスタートアップ政策支援を真っ先に着手すべき最優先課題に位置付けている。その中には、Web3に特化したものもある。」とした。
金融庁イノベーション推進室 課長補佐の清水 秋帆氏は、「2022年9月頃から現在までイノベーション推進室にいる。監督業務ではなく、フィンテックイベントへの参加や登壇を通して情報収集している」と説明。
金融庁のFinTech(フィンテック)サポートデスクでは、スタートアップ創業に関する相談が最も多い。金融機関にシステムを提供しているような事業者など、web3関連の事業については、ぜひサポートデスクに相談して欲しいとした。
内閣官房のあたらしい資本主義事務局でスタートアップ支援などを担当してきた経済産業省 競争環境整備室長(元内閣官房企画官)の池田 陽子氏は、「岸田政権では、スタートアップ企業は国内の経済成長の起爆剤となり得る、ということで資源を投じてきた。」「ただ、大きな制度改正をする際には、時代のトレンドに合っているかどうかを見る必要がある。
終身雇用や年功序列などの旧制度から日本社会が解き放たれつつある中で、実務者レベルではエビデンスをしっかり確認しながら進めていく必要がある。」とした。
金融庁の清水氏は、「例えばWeb3業界に属していないが、法改正で大きな影響を及ぼす人たちもいる。社会的なコンセンサスを形成するために、わかりやすくて世の中に響くようなユースケースが必要だ。」「金融庁としても、ただ待つのではなく日々勉強していくべきだと考えている。」と述べた。
経産省の池田氏は、「大きな話になればなるほど、国会で短時間で説明が必要だが、明瞭でないケースが多いので説明が難しい部分もある。行政のみならず、民間の力を借りたい。」と協力を訴えた。
続けて、「民間サイドで新しい技術が次々に生まれている。規制のサンドボックス制度では、砂場の中(限定した空間であれば)自由にトライしても良い。その結果次第では、歩みを進める推進力となる。」とした。
金融庁の清水氏は、「金融庁には、イノベーション推進室のほかにフィンテック実証実験ハブというものがある。これは民間と金融庁が一緒にやるものだ。」と強調した。
板垣氏は、「民間の意見を取り込むことが重要だと考えている中で、審議会で特定の委員会の人に意見を伺うことが多い。どうしても、取りまとめをしている業界団体の声が大きい。もっと個社の意見も汲み上げたい。」と抱負を述べ、官の中での人材育成についても「新興技術の進歩や変遷が早い分、学びや人材育成が追いつかない」と課題を共有した。
総括
さいごの総括で清水氏は、「ぜひ金融庁のFinTech(フィンテック)サポートデスクを使い倒して欲しい」とし、板垣氏は「日本政府はweb3のみならず、人口減少していく中で、必要不可欠だと思っている。志としては、みなさんと目指す場所は一緒。」だと呼びかけ、場を締めくくった。