米マイクロストラテジーに続く
暗号資産(仮想通貨)ビットコインのマイニングを行ってきた企業Cathedra Bitcoinは16日、マイニング事業を離れ、データセンターの開発・運営へと軸足を移すと発表した。
一方で、ビットコインを購入する財務戦略を実施するとも述べている。
Cathedraは、ビットコインマイニングは、「株主の1株当たりビットコインを増やす確実な方法ではない」ことが過去3年の事業で示されたとしている。マイニング事業の予測困難な利益率を巡り、事業方針の転換を迫られた形と言える。
代わりに、データセンター事業により、予測可能なキャッシュフローと資本収益を生成することができると続けた。データセンター事業では、高密度コンピューティング・インフラ企業Kungsledenと合併したところだ。
Cathedraは、1株当たりのビットコインを増加させるための施策として、主に以下を挙げている。
- 既存のマイニング事業によって採掘したビットコインを引き続き保持する。(マイニング事業を今後拡大する可能性は低い)
- データセンターのホスティング事業で得たキャッシュなどにより、市場でビットコインを購入する。
- データセンターなどの資産を担保にして慎重に借り入れた資産でビットコインを購入する。
- 株式、債券、ハイブリッド証券などを発行し、調達した資金でビットコインを購入する。
なお16日時点で、1株あたり43BTCを所有しているとも説明した。
Cathedraは特に、こうした戦略のモデルとしてマイクロストラテジーの名前を挙げている。
米マイクロストラテジーは、2020年から財務戦略として大規模なビットコイン購入を行うことで株価を上昇させてきた企業だ。その後、社債などを発行して資金調達をしつつ、大規模なビットコイン買い増し戦略を続けてきた。
16日にも、約980億円の転換社債を発行して資金調達を行い、その一部をビットコインの買い増しに使うと発表している。
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マイナーはAI向けデータセンターを拡大
特に4月のビットコイン半減期後、マイナーが得られる報酬も半減しており、様々な企業が事業の多角化を進めているところだ。
米コア・サイエンティフィックが、AIデータセンターサービスの大規模な拡大を計画しており、Hut 8も、米投資企業Coatue Managementから次世代AIインフラ開発で約210億円の投資を確保した。
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AIで企業間の競争が激しくなる中、データセンターへの需要が高まっている。仮想通貨マイナーもチャンスを見出している格好だ。
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半減期とは
ビットコインなど仮想通貨のマイニング報酬(=新規発行量)が半分に減るタイミングを指す。仮想通貨にはインフレを防ぐために「発行上限」が定められているものが多く、一定周期で訪れる半減期の度に、新規発行量が半分に減る仕組みになっている。供給量が減ることで希少価値が大幅に上昇し、価格が高騰しやすくなるため、仮想通貨特有の注目イベントでもある。
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