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ブラックロック「仮想通貨の普及速度はインターネットや携帯電話を凌駕している」

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

急速に成長している技術

米大手資産運用会社ブラックロックのテーマ別投資米国部門責任者、ジェイ・ジェイコブ氏は3日、ブロックチェーンとデジタル通貨が近年で最も急速に成長している技術の一つであり、その普及速度が過去の主要技術を凌駕していると指摘した。

ブラジルで開催されたデジタルアセット関連カンファレンスにおいて、ジェイコブ氏は技術採用の普及速度を比較したグラフを提示。このグラフでは、暗号資産(仮想通貨)の採用・普及ペースが極めて急激で、インターネットや携帯電話など、これまでの革新的技術を上回るスピードで普及が進んでいることが示されている。

同氏は、仮想通貨の普及が急速に進む理由として以下の四つを挙げている。

  1. 経済のデジタル化
  2. 公的機関への信頼低下
  3. 人口動態の変化
  4. 仮想通貨インフラの成熟

1.経済のデジタル化

ジェイコブ氏は、「我々は高度にデジタル化された経済の中で生活している」と指摘。世界の消費パターンがオンラインに移行する中、「デジタルネイティブ資産(仮想通貨)で決済することは理にかなっている」と主張した。

オンラインで消費したり、ストリーミングでビデオを視聴し、ゲームをプレイし、デジタルコンテンツを購入したりする際に、取引を行うためにデジタルネイティブ資産を保有することは理にかなっている。

2.公的機関への信頼低下

ジェイコブ氏は、「仮想通貨の普及は、伝統的な公的機関への信頼低下と密接に関連している」と主張した。例えば、「平和と秩序を維持するための政府機関」や「インフレを抑制するという観点からの中央銀行」への信頼低下だ。

不信感の高まりによって、世界的な代替通貨の必要性がより強まることになった。

4月に公表されたギャラップ社の世論調査では、米国人の国の機関に対する信頼が低下し続けていることが明らかになった。

米国人の約68%が政府に信頼を寄せておらず、司法への信頼も42%と低水準であることが判明。また、主要メディアに対する信頼も低下しており、新聞やテレビをほとんど信頼していないと回答した米国人は40%を超える結果となった。

3.人口動態の変化

仮想通貨の採用が進む3つ目の理由として、ジェイコブ氏は人口動態の変化を挙げる。ミレニアル世代とZ世代がデジタル資産の採用を牽引していると主張した。

両世代はインターネット環境下で成長したデジタルネイティブであり、その前の世代よりもデジタル技術に精通しているため、仮想通貨の採用に積極的だと考えられる。

米国の場合、特にミレニアル世代は数兆ドルの相続が発生する時期に入っているとともに、収入がピークを迎える年代であり、経済でますます重要な役割を果たすと指摘。これらの世代が経済的影響力を獲得するにつれて、仮想通貨採用の傾向は拡大すると予想される。

米大手仮想通貨取引所コインベースが行った米大統領選と仮想通貨に関する調査では、両世代の有権者の65%が仮想通貨を保有していることが明らかになった。

関連:「仮想通貨保有者は超党派」米コインベースの大統領選挙関連調査

4.仮想通貨インフラの成熟

ジェイコブ氏は、この5年間で仮想通貨を取り巻くインフラの整備が進んでいる点を、仮想通貨普及が進む最後の理由として挙げた。

  • ブロックチェーンへのVC等からの巨額の投資
  • 規制環境の変化:より建設的な規制へ
  • 優秀な人材が伝統的金融から分散型金融へ移籍

一方、同氏は仮想通貨の時価総額は約2.9兆ドル(約430兆円)で、他の資産クラスと比較すると依然として小さく、長期的にみると成長の初期段階にあると強調した。

ブラックロックでは、時価総額の75%を占め、流動性の高い仮想通貨のトップ2であるビットコイン(BTC)とイーサリアム(ETH)について、より多くの投資家が利用できる手段を提供することに注力することで、前進していくと同氏はまとめた。

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