ビットコインで「1兆ドル企業」目指す
米マイクロストラテジーのマイケル・セイラー創業者兼会長は「ビットコイン銀行」のリーダーになり、時価総額が1兆ドル(約149兆円)規模の企業に成長することを目指すと述べた。証券会社バーンスタインによるインタビューで話した格好だ。
セイラー氏は、投資家に暗号資産(仮想通貨)ビットコイン(BTC)に連動した金融商品を提供していき、「ビットコイン銀行」や「ビットコイン金融会社」と呼ばれるような事業を目指すとして、次のように話している。
私たちは、株式、転換社債、固定金利債、優先株式などといった「ビットコイン資本市場」の商品を作成することを中核事業としている。
最終的に200億ドルの転換社債、200億ドルの優先株、100億ドルの負債、そして500億ドルの何らかの負債商品と構造商品を持てば、1,000億ドルから1,500億ドルのビットコインが手に入ることになる。
マイクロストラテジーはこれまでにも、転換社債を発行して調達した資金で、ビットコインを購入している。同社の株式に投資することは、レバレッジのかかったビットコインへの間接投資手段としても注目されてきた。
セイラー氏は、同社の株式や社債を「ビットコインに連動した金融商品」とみなしている形だ。マイクロストラテジーは時価158億ドル(約2.4兆円)相当のビットコインを保有している。ビットコイン総供給量の約1.2%にあたる量だ。
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セイラー氏は、将来的に1枚のビットコインが数百万ドルの価値を持つと信じている。これを前提すると、同社は現在のビットコイン購入戦略を続けることで、1兆ドル規模の企業になることを目指せるとしている。
なお、同社の現在の時価総額は約425億ドル(約6.3兆円)だ。現在、1兆ドル以上の評価額を誇る企業は、アップル、マイクロソフト、アマゾン、エヌヴィディアなど一部の企業のみである。
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「ビットコイン銀行」構想
通常の銀行は、個人、企業などへ資金を貸し付けることで利益を得るが、セイラー氏は、その分の資金でビットコインを購入する方が魅力的だとも意見している。セイラー氏は、次のように述べた。
私の見方では、債券市場から10億ドルを借り入れ、カウンターパーティリスクなしでビットコインに投資し50%の年間リターンを生み出す方が、12%~14%の利子を払ってくれる資金の貸し出し先を見つけるよりも賢明だ。
セイラー氏は、管理方法を学べば、弱気シナリオでも「ビットコインは今後10年間で年間22%成長する」と独自の見解を述べている。それだけ利子を払ってくれる貸し出し先はないとも続けた。
セイラー氏は「銀行」にも例えたものの、大きな相違点もある。一般的な銀行とは、資金調達してそれを運用することや、利息やリターンを提供するなどの面では共通するが、資金をボラティリティ(価格変動)の大きいビットコイン購入にあてる点では異なっている。
また、一般的な銀行は資金を外部に貸し付けるものの、現在のところマイクロストラテジーは保有するビットコインの貸し出しを行う予定はない。
9月に、米ベンチャーキャピタルBenchmark(ベンチマーク)のアナリストは、マイクロストラテジーはビットコインを貸し出すことで利回りを得られると提案していたところだ。
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