低調なスタートとの見方
米国のドナルド・トランプ前大統領一族が関与する暗号資産(仮想通貨)DeFiプロジェクト「ワールド・リバティ・ファイナンシャル(WLF)」のトークンセールは、15日の初日の販売額が約1,000万ドル(約15億円)で、全体目標の4%だった。
WLFが最初のトークンセールで目標にしている調達額は3億ドル(約450億円)。また、今回は200億枚を販売しているが、本記事執筆時点で191億枚超が売れずに残っている。こういった点から、現時点では、WLFのプロジェクトは期待通りの始まりにはなっていないとの見方が上がった。
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今回、販売しているトークンの名称は「WLFI」で単価は0.015ドル。用途はガバナンスで、プラットフォームの将来の開発に関する意思決定に使用される。大きな特徴としては、最初の12カ月間は譲渡をすることができないという。
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トランプ氏は11月の米大統領選に向けて、仮想通貨を擁護する姿勢を早くから鮮明に示してきた。そのため、需要の予想に基づく資金調達の目標設定が高かった可能性も指摘されている。
また、12カ月の譲渡不可期間が投資妙味を低減している可能性があるとの声も上がった。
プロジェクトへの反応
WLFについては、トランプ一族が関与するDeFiプロジェクトとして、特に発表当初は大きな注目を集めたが、否定的な見方も上がっている。
例えば、DeFiプロジェクト「dYdX」の政策部門のトップは、以下のようにコメントした。
本当にユニークなプロジェクトへのアクセス、便利な機能、単なるおもしろさなど、興味を引きつけるには何かしらの価値が必要だ。
しかし、仮想通貨支持者の多くは、コミュニティを継続的に政治利用することに嫌悪感のようなものを抱き、興味がないお金もうけには価値を感じていない。
また、デジタル資産関連企業のCEOは、WLFが「ハッキングを受けたプロジェクトのコードをコピーしている」と指摘。そして、以下のように述べている。
私は、トランプ氏のブランドであるということ以外、興味を持ったり、ユニークであると感じたりする点はない。他の多くの人々も、同様だろう。
仮想通貨コミュニティは、ローンチ前からWLFに非常に懐疑的だったと思う。このプロジェクトは好機に便乗しているだけのようにしか見えず、特に新しさに欠けている。
このコメントは、WLFのコードが、フラッシュローン攻撃を受けて180万ドル(約2.7億円)相当が不正流出した「Dough Finance」のコードに類似しているとの指摘に基づいている。
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なお、トークンの販売が進まない点には、ウェブサイトがダウンしたこともあるとの見方が上がった。他にも、規制を考慮して米国では適格投資家しか購入できないことも影響しているのではないかとの声もある。
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