- 仮想通貨取引所OKExの緊急措置
- 先週行われたビットコインキャッシュのハードフォークに伴い、仮想通貨取引所OKExはBCH先物取引の停止、清算という強制措置を14日に施行した。この「異例の対応」が多くのユーザーの反感を買っている。
- 信用の下落
- OKExの緊急措置後、ビットコインキャッシュの価格は大きく下がっており、今回のOKExの発表は、BCHに影響を与えただけでなく、取引所の信頼にも悪影響を及ぼす結果となっている。
批判相次ぐOKExの緊急措置
ここ数週間の仮想通貨業界において、最も注目度の高かったニュースはビットコインキャッシュのハードフォークだろう。先週金曜日未明に決行された時価総額4位の仮想通貨におけるハードフォークでは、Bitcoin ABC派および、Bitcoin SV派が対立しチェーン分裂が生じ、現在でも「ハッシュ戦争 」が繰り広げられている。(実際のネットワーク状況はこちらを参照 )
そうしてビットコインキャッシュのハードフォークを間近に控えた先週14日OKExは急遽、同取引所が提供する先物取引を同日日本時間17時5分に停止し、同日18時に清算を開始することを公式Twitterアカウント(@OKEx)で明らかにした。
SPECIAL ANNOUNCEMENT: All Bitcoin Cash (BCH) futures contracts will stop trading at 9:05am and be delivered at 10:00am Nov 14, 2018 CET (UTC +1) due to the upcoming hard fork. We will provide a detailed explanation shortly.#OKExAnnouncementhttps://t.co/yh3p46tirc pic.twitter.com/oqioSUOUsf
— OKEx (@OKEx) 2018年11月14日
OKEx側は「市場操作や相場操縦などの不正リスクを抑える為にこのような対応をした」と公式見解を発表しているが、十分な事前通告が無かったことや、先物取引が強制的に決済されたことについて、ユーザーからは批判の声が上がってきており、実際大きな損失を被った人々も存在している。
大手取引所OKExへの揺らぐ信用
そのような被害を受けた投資家の中にはQiao Changhe氏がいる。Changhe氏は、今回のOKExによる先物取引の強制清算によって70万ドル(約7800万円)の損失を出したと大手海外メディアBloombergに報告した。
Changhe氏は、以前エネルギー先物取引トレーダーを務めており、現在はケイマン諸島に登録されたConsensus Technologiesを経営している。
同氏は、今回の強制清算によってOKExに対する信頼を無くしたため、自身が運用する500万ドル(約5.6億円)規模のファンドの中からOKExでの運用資金を大幅に減らし、他取引所を代わりに使用していくと不満を露わにした。
OKExはその信用性を失っている。先物契約は、リスクヘッジの為にあるのに、無意味なものとなってしまった。
Changhe氏以外でも4人の匿名大規模トレーダーが今回の不満感を示しており、今回の緊急発表で受けた被害を理由に、OKExでの運用資金を減少させる、または他の仮想通貨取引所への移行を考えている。そのうち一人は実際に地元香港の金融規制局である証券先物事務監察委員会に被害届も出しているそうだ。
また以前Haitong International Securities Groupの運営ディレクターを務めていたAndrew Sullivan氏も今回のOKExの対応を、「違法ではなかったとしても、極めて異例の対応」だったと述べている。
さらに、ビットコインキャッシュの先物が清算された翌日の11月15日には、市場が不安定でボラティリティが高くなりやすく、重要な局面の中、OKExにて2時間以上も注文が通らないという技術的な障害も発生した。
このように異常事態が重なりつつある傾向で仮想通貨取引所OKExは、信頼を損なっていると言っても過言ではなく、今後の信用回復に注力すべきであると言えるだろう。
苦しい状況続くビットコインキャッシュと仮想通貨市場
仮想通貨ビットコインキャッシュのハードフォークによる影響もあり、時価総額4位のビットコインキャッシュは大きくその価値を下げている。そして、今回のOKExによるBCH先物取引の停止、清算も、その価格下落を促進させた一因となっていることは間違いないだろう。
実際に14日のチャートを見てみるとOKExの発表直後、ビットコインキャッシュは約-10%の下落を記録し、OKExの発表の影響が高いと見られている。
また20日現在、ビットコインキャッシュの価格はハードフォーク前の14日価格と比較すると約-40%近い下落幅を記録している。このような下落トレンドは2018年に入ってから珍しいものの、ハードフォーク後、特に顕著となっている。
ビットコイン価格は重要ラインと呼ばれていた6400ドル、5500ドルのラインをここ2週間で切っている。
追い討ちをかけるかのようにビットコイン価格は本日未明に5000ドル台を下回り、昨年10月の水準まで低下している。
ハードフォーク前後に苦しんでいるのは仮想通貨取引所だけではなく、仮想通貨市場全体だと言えるだろう。
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