「21/21プラン」の課題とは
暗号資産(仮想通貨)投資企業CoinSharesは5日、ビットコイン(BTC)購入戦略で知られる米マイクロストラテジーの計画が成功する上での3つの条件を論じる記事を公開した。資金調達環境などの面から考慮している。
マイクロストラテジーは10月30日、新たに420億ドル(約6兆円)を調達する計画を発表したところだ。210億ドルの株式と210億ドルの債券により、今後3年間で資金を調達する構想で、「21/21プラン」と名付けられている。
これにより調達した資金の一部を充てて、より多くのビットコインを買い増す予定だ。
CoinSharesのインデックスファンド・マネージャーであるアレクサンドル・シュミット氏はこの計画について「野心的だが、様々な要素に左右される」と評価している。
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3つの側面から検討
まずシュミット氏は、マイクロストラテジーの資金調達条件が引き続き良好で、その転換社債に対する需要があることが必要だと指摘した。転換社債により、同社は株式の希薄化を起こさず、資本コストを低く抑えてビットコインを取得できると述べる。
シュミット氏は、2021年にマイクロストラテジーはゼロクーポン(利息)転換社債で資本を調達できたが、最近発行した転換社債では、クーポンレートが上昇していることに留意すべきとした。例えば、同社が9月に発行したものではクーポン率が0.625%となっている。
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次にシュミット氏は、もし仮にマイクロストラテジーがビットコインの一部を売却することを選択した場合、市場評価プレミアムや、同社への投資の魅力となっている重要な部分がダメージを受ける可能性があると意見した。
背景として、マイクロストラテジー株式は、ビットコインに対するレバレッジの効いた間接投資手段として注目を集めてきたことがある。
シュミット氏は、もし売却した場合には、保有するビットコインの資本価値は同社がビットコインを購入開始して以来77億ドル(約1,180億円)上昇しており、高額な税金が課される可能性があるとも続けた。
さらに、将来的にもし税制の変更などがあれば、マイクロストラテジーが保有するビットコインに関する未実現利益に課税されることも考えられるとしている。
最後にシュミット氏は、マイクロストラテジーの従来事業からのキャッシュフローが、社債クーポンの支払いに十分ではない可能性があると述べた。
ただし、これについてはマイクロストラテジーが、その保有するビットコインを貸し出すなど活用して収入を生み出すことで、そうした債務支払いのリソースにできるかもしれないと意見している。
これに関しては、米ベンチャーキャピタルBenchmarkのアナリストであるマーク・パーマー氏も9月に指摘していたところだ。
同氏は、これまでマイクロストラテジーのマイケル・セイラー会長は、貸し出し先として安心できる財務力や堅実なバランスシートを持つ相手がいないことから貸し出しを断念していたとも指摘。
今後、規制緩和となって大手の機関や企業の仮想通貨への関心が高まれば、堅実な取引先を見つけられるかもしれないと述べている。
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