北朝鮮の標的か
人気急上昇中の分散型パーペチュアル取引プラットフォーム「HyperLiquid(ハイパーリキッド)」が、北朝鮮のハッキンググループの標的となっている可能性があるとの憶測が広がっている。Metamaskなどに関連する暗号資産(仮想通貨)セキュリティ研究者のTaylor Monahan(Tay)氏によれば、北朝鮮関連アドレスがHyperLiquid上で70万ドル以上の損失を出しており、これは同プラットフォームの内部構造を把握するためのテスト取引である可能性があるという。
HYPEトークンの価格は憶測を受け22〜23日にかけて最大で25%下落していた。
ハイパーリキッドは、アービトラム基盤を利用した独自の高速ブロックチェーン上で運用される分散型金融(DeFi)プロジェクトで、ユーザーが無期限先物取引を行えることが特徴だ。Monahan氏は、北朝鮮のハッカーが通常の取引活動ではなく、プラットフォームの脆弱性を探る「テスト」を行っていると指摘している。
Hashed Officialのデータによれば、今週月曜日だけでハイパーリキッドから2億1,100万ドル相当のUSDCが引き出され、同プラットフォームで最大の資金流出が記録された。USDCはハイパーリキッドで担保として利用されており、この動きが北朝鮮関連の噂をさらに加速させている。
ハイパーリキッドは公式コメントとして、「DPRK(北朝鮮)の攻撃やその他のエクスプロイトは発生していない。すべてのユーザー資金は安全に管理されている」と述べている。しかし、ブロックチェーンセキュリティ専門家のNassim Eddequiouaq氏は、「北朝鮮のハッカーがすでにハイパーリキッドのインフラに侵入している可能性が高い」と警鐘を鳴らしている。
Monahan氏も、北朝鮮関連アドレスがハイパーリキッドでの取引を通じて潜在的なセキュリティホールを探している可能性があると発言。X上で「ハイパーリキッドのバリデーターはたった4つしかなく、これらが開発者の個人デバイスで運用されている可能性がある」と指摘した。
同氏は2週間前にハイパーリキッドに連絡を取り、潜在的な脅威に対する対策を提供する準備があることを伝えたことも明らかにしたという。
北朝鮮のハッキンググループは近年、仮想通貨分野で極めて洗練された攻撃手法を発展させており、DMMビットコイン流出事件などを含め今年だけでも13億ドル以上を獲得していると報告されている。そのため、ハイパーリキッドのような急成長中のプロジェクトが格好の標的となっているとされる。
一方、一部の仮想通貨コミュニティは、これらの警告を「心理作戦(psyop)」と見なし、ハイパーリキッドの評判を傷つけるためのものだと否定的な見解を示している。しかし、多くのセキュリティ専門家はこの問題を軽視すべきでないと警告している。
ハイパーリキッドは、11月末のHYPEトークンローンチ以降、1,500億円以上のUSDC流入を記録し、大規模な成長を遂げた。
関連:DeFiハイパーリキッド「HYPE」が最高値更新継続、3週間弱で1500億円相当のUSDCが流入
関連:仮想通貨を種類別に解説|アルトコイン、ミームコインまでわかりやすく