仮想通貨規制を明確化
米証券取引委員会(SEC)のヘスター・ピアース委員は4日、先月に設立が発表された暗号資産(仮想通貨)のタスクフォース(特別チーム)の取り組みを説明した。
政府や国内外の規制当局と協力し、開発者や仮想通貨の肯定派や否定派の人々とも関わりながら、最終的な規制がどうあるべきか、どのような段階を経ていくことがイノベーションを促進できるのかを見極めていきたいとしている。
SECとは
「Securities and Exchange Commission」の略。株や債券など証券の取引を監督する米政府機関のこと。SECのミッションは「投資家を保護すること」「公正で秩序のある効率的な市場を維持すること」「資本形成を促進すること」である。
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ピアース氏はまず、自身はタスクフォースの責任者ではあるが、今回述べていることはSEC委員としての個人的な見解であることなどを前置きした。その上で、今後の取り組みの一部を説明。番号を振って記載しているが、優先順位や実行順を意味しているわけではないとしている。
同氏は、規制上の多くの問題を解決するには、証券法下で仮想通貨がどのように位置付けられるかを明確にすることが不可欠であると指摘した。そして、現在タスクフォースは、様々な仮想通貨を調査していると説明している。
また、この点に関連して、プロジェクトによる仮想通貨やトークンの募集(販売)に対し、特定の条件を満たせば一時的な救済措置をとれるようにすることも検討しているとした。これは今後の募集だけでなく、過去のものも対象になると説明している。
仮想通貨の証券法の位置付けを明確にすることは、長年の課題として指摘されてきた。ゲーリー・ゲンスラー前委員長下のSECは、証券法違反を理由に、これまで多くの企業に執行措置を講じており、係争中の裁判が現在も複数ある。
救済措置の特定の条件とは、仮想通貨やトークンの発行体らが、指定された情報を開示し、その情報を最新の状態に保つこと。また、仮想通貨の売買に関連して詐欺の訴訟が起きた時に、SECの管轄権に異議を唱えないことに同意することも挙げている。
その上で、ピアース氏の意見として、こういった条件を満たして発行された仮想通貨は有価証券に該当しないとの見方を示した。
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規制と仮想通貨促進を両立へ
米国では、仮想通貨に肯定的なトランプ政権が正式に発足し、規制緩和にも期待が集まっている。仮想通貨の業界や投資家が注目していることの1つが、SECによる規制の明確化だ。
ピアース氏は仮想通貨を擁護する姿勢から「クリプト・ママ」と呼ばれ、ゲンスラー委員長体制下でも、執行措置に否定的な見方を示し、先に規制を明確化する必要性を訴えてきた。ゲンスラー氏退任後に委員長代行を務めるマーク・ウエダ氏も同様だ。
ピアース氏は今回、タスクフォースは、投資家保護などのSECの役割を果たせるようにするだけでなく、仮想通貨業界がプロダクトやサービスを提供することができる規制の構築に取り組むと述べた。
そして、すでにSECが達成したこととして、職員会計公報121号(SAB121)を撤回したと説明。仮想通貨業界では、この撤回は「業界に緩和的な姿勢を示した」と評価されている。
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