- 仮想通貨取引所ポロニエックスがBCHのリプレイ問題について説明
- 仮想通貨取引所において出来高50位以内の出来高を誇る仮想通貨取引所ポロニエックスがビットコインキャッシュのハードフォークに関するブログを公開し、二重支払い問題について言及。同取引所のHF後の動きを合わせて掲載。
PoloniexがBCHの判断に関する説明を発表
仮想通貨ビットコインキャッシュ(BCH)は、11月中旬にハードフォークを実施し、2つの新通貨BCH-ABCとBCH-SVに分岐し、ハッシュ戦争を繰り広げていた。またリプレイプロテクションがすぐに実装していなかった為、取引所の対応などにおける不安定な時期が続いていた。
一週間で23億円以上の出費に至ったと思われるハッシュ戦争の終わりをSV派のCoinGeek社がプレスリリースで発表したことや、リプレイプロテクション導入が確認されたことで、ビットコインABCを多くの取引所がビットコインキャッシュティッカー(BCH)として引き継ぐなど、事態は収束に向かったが、仮想通貨市場全体に及ぼした影響は大きかった。(ハードフォーク後の下落に関する詳細はこちらから)
そんな中、CoinMarketCapで出来高上位50位以内を誇る仮想通貨取引所Poloniexは、そのリプレイプロテクションが実装されていないハードフォーク直後にどのような対応を取ってきたのかを12月7日に公式ブログにて明らかにした。
Learn how Poloniex engineers protected against replay attacks after the BCH hard fork https://t.co/LIGMmcsBm2
— Poloniex Exchange (@Poloniex) 2018年12月7日
Poloniexの対応まとめ
Poloniexのハードフォーク後の対応は以下の通りとなっている。
- 2種類の新通貨(ABCとSV)の配布(予定)を決定(14日)
- HF後取引停止、2つの新通貨のBTCとUSDC建の取引を開始(16日)
- BCHABCとBCHSVの入出金再開 (21日)
- BCHABCの入出金一時停止、再開に向けたメンテナンスを実行 (28日)
リプレイプロテクションの説明
リプレイプロテクションを説明する前に、ハードフォークについて説明する必要がある。
通常ハードフォークはブロックチェーンのアップデートを指すが、今回のハードフォークではABC側とSV側でアップデート内容に関して双方の意見が対立した為、今回のようにチェーン・スプリットが発生し、2つの別の通貨、ビットコインABCとビットコインSVが生まれることとなった。
さらに詳しく言えば、ABCを支援するノード運営者グループがBCH-ABCチェーン側のアップグレード・クライアントを導入し、もう一方のSVを支援するノード運営者グループが、BCH-SV側のアップグレードを実装した。
つまり、実際同じであったものが2つに分岐した。その場合、本来であれば、BCH-ABCチェーンとBCH-SVチェーンは明確に区別されるべきであり、区別が行われなかった場合、BCH-ABCで処理されるものがBCH-SVで処理されてしまったり、BCH-SVで処理されるべきものがBCH-ABCで処理されてしまったりする。
例えると、アリスがボブに10BCH-ABCを送金したとする。もし2つのチェーンが明確に区別されていれば、アリスがリクエストした通り、10BCH-ABCが送金される。しかし、2つのチェーンが区別されていない場合、アリスはBCH-ABCを送金リクエストすると同時に、BCH-SVのチェーンでも同額の送金リクエストを送ってしまう場合もあり、結果的に、1つの送金リクエストで10BTC-ABCと10BCH-SVが送金されてしまう可能性があるのだ。
この取引の重複をリプレイ、または二重支払いといい、そのリプレイが起きないために、プロテクトする(守る)ことをリプレイプロテクションと呼ぶ。
ポロニエックスの対応方法
このリプレイプロテクションを実行するために仮想通貨取引所Poloniexはどのような対策を講じたのか。それは、仮想通貨の仕組みにもう一歩踏み込んで考える必要がある。
まずビットコインキャッシュでは、未使用トランザクションアウトプット(UTXO、Unspend Transaction Uutputの略称)と呼ばれる残高管理方法が用いられている。日常的に使われる法定通貨のように自分が持っているお金が直接的に残高になる通常の方法とは違い、仮想通貨は、インプット(着金)とアウトプット(送金)を求め、その差額(着金額—送金額)、つまり、送金されていない分(UTXO)の額が残高となるのである。
その為、あるアドレスの残高が100BTCであったとしても、その100BTCは、20BTC分のUTXO、50BTC分のUTXO、30BTC分のUTXOといったように未使用トランザクションアウトプット(UTXO)の総額が残高となっている。Poloniexは、このフォーク後のUTXOを集めることで、リプレイプロテクションを可能にしたのだ。
例えば、前述したアリスが取引所Poloniexの顧客で、5BCH-ABCを引き出したいとリクエストを送る。すると、Poloniexは、アリスへの送金に、フォーク後の(ABC側の)UXTOを少なくとも1つ以上折り込んで対処する。そうすることで、万が一そのリクエストがSVチェーンに流れても、ABC側のUXTOが含まれているため、SVチェーンでは取引として認識されなくなるのだ。
この様に、フォーク後のUTXOをBCH-ABC、BCH-SVの出金に含めることで、取引所Poloniexは自信を持って、リプレイアタックを回避し、出金対応を行うことができたと記述されている。
ビットコインキャッシュ・ハードフォークの行方
仮想通貨市場の下落の大きな要因となったハードフォークはいわゆるハッシュ戦争につながり、界隈の懸念材料となっていた。
しかし、先日11月末にBCH-SV派の20%をマイニングしていたCoinGeek社のCEO Calvin Ayre氏(以下、Ayre氏)がリプレイプロテクションを実装し、ハッシュ戦争に終止符を打つことを公式ブログで明らかにした。
実際プロトコル自体へのリプレイプロテクションの実装は2019年の第1四半期ごろになると予想されているが、BCH-ABCとBCH-SVは別々の通貨として認識される方向で動いている。
Ayre氏は、BCH-ABCがBCHというティッカーシンボルを獲得したが、BCH-SV(BSV)はBCHの開発者やユーザー等のエコシステムを多く引き継ぎ、今後BSVチェーンではなく、仮想通貨BSVとして邁進していくと語っている。
そして、そのAyre氏の発言を反映するかのように、12月7日時点でBCH-SVは、価格上昇により、時価総額5位を記録し、時価総額7位のBCH-ABCを抜いていた。(現在12月10日時点では、ランキングは逆転している。)
このように、大きな波乱を呼んだビットコインキャッシュのハードフォークではあったが、現在は安定に向かいつつあると考えられており、今後のビットコインキャッシュ(BCH-ABC)とビットコインSV(BSV)の仮想通貨市場での活躍が期待される。
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