はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習-運用 WebX
CoinPostで今最も読まれています

ビットコインキャッシュ分裂から取引開始までの裏側|大手仮想通貨取引所が詳しく解説

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

仮想通貨取引所ポロニエックスがBCHのリプレイ問題について説明
仮想通貨取引所において出来高50位以内の出来高を誇る仮想通貨取引所ポロニエックスがビットコインキャッシュのハードフォークに関するブログを公開し、二重支払い問題について言及。同取引所のHF後の動きを合わせて掲載。

PoloniexがBCHの判断に関する説明を発表

仮想通貨ビットコインキャッシュ(BCH)は、11月中旬にハードフォークを実施し、2つの新通貨BCH-ABCとBCH-SVに分岐し、ハッシュ戦争を繰り広げていた。またリプレイプロテクションがすぐに実装していなかった為、取引所の対応などにおける不安定な時期が続いていた。

一週間で23億円以上の出費に至ったと思われるハッシュ戦争の終わりをSV派のCoinGeek社がプレスリリースで発表したことや、リプレイプロテクション導入が確認されたことで、ビットコインABCを多くの取引所がビットコインキャッシュティッカー(BCH)として引き継ぐなど、事態は収束に向かったが、仮想通貨市場全体に及ぼした影響は大きかった。(ハードフォーク後の下落に関する詳細はこちらから

そんな中、CoinMarketCapで出来高上位50位以内を誇る仮想通貨取引所Poloniexは、そのリプレイプロテクションが実装されていないハードフォーク直後にどのような対応を取ってきたのかを12月7日に公式ブログにて明らかにした。

Poloniexの対応まとめ

Poloniexのハードフォーク後の対応は以下の通りとなっている。

  • 2種類の新通貨(ABCとSV)の配布(予定)を決定(14日
  • HF後取引停止、2つの新通貨のBTCとUSDC建の取引を開始(16日
  • BCHABCとBCHSVの入出金再開 (21日
  • BCHABCの入出金一時停止、再開に向けたメンテナンスを実行 (28日

リプレイプロテクションの説明

リプレイプロテクションを説明する前に、ハードフォークについて説明する必要がある。

通常ハードフォークはブロックチェーンのアップデートを指すが、今回のハードフォークではABC側とSV側でアップデート内容に関して双方の意見が対立した為、今回のようにチェーン・スプリットが発生し、2つの別の通貨、ビットコインABCとビットコインSVが生まれることとなった。

さらに詳しく言えば、ABCを支援するノード運営者グループがBCH-ABCチェーン側のアップグレード・クライアントを導入し、もう一方のSVを支援するノード運営者グループが、BCH-SV側のアップグレードを実装した。

つまり、実際同じであったものが2つに分岐した。その場合、本来であれば、BCH-ABCチェーンとBCH-SVチェーンは明確に区別されるべきであり、区別が行われなかった場合、BCH-ABCで処理されるものがBCH-SVで処理されてしまったり、BCH-SVで処理されるべきものがBCH-ABCで処理されてしまったりする。

例えると、アリスがボブに10BCH-ABCを送金したとする。もし2つのチェーンが明確に区別されていれば、アリスがリクエストした通り、10BCH-ABCが送金される。しかし、2つのチェーンが区別されていない場合、アリスはBCH-ABCを送金リクエストすると同時に、BCH-SVのチェーンでも同額の送金リクエストを送ってしまう場合もあり、結果的に、1つの送金リクエストで10BTC-ABCと10BCH-SVが送金されてしまう可能性があるのだ。

この取引の重複をリプレイ、または二重支払いといい、そのリプレイが起きないために、プロテクトする(守る)ことをリプレイプロテクションと呼ぶ。

ポロニエックスの対応方法

このリプレイプロテクションを実行するために仮想通貨取引所Poloniexはどのような対策を講じたのか。それは、仮想通貨の仕組みにもう一歩踏み込んで考える必要がある。

まずビットコインキャッシュでは、未使用トランザクションアウトプット(UTXO、Unspend Transaction Uutputの略称)と呼ばれる残高管理方法が用いられている。日常的に使われる法定通貨のように自分が持っているお金が直接的に残高になる通常の方法とは違い、仮想通貨は、インプット(着金)とアウトプット(送金)を求め、その差額(着金額—送金額)、つまり、送金されていない分(UTXO)の額が残高となるのである。

その為、あるアドレスの残高が100BTCであったとしても、その100BTCは、20BTC分のUTXO、50BTC分のUTXO、30BTC分のUTXOといったように未使用トランザクションアウトプット(UTXO)の総額が残高となっている。Poloniexは、このフォーク後のUTXOを集めることで、リプレイプロテクションを可能にしたのだ。

例えば、前述したアリスが取引所Poloniexの顧客で、5BCH-ABCを引き出したいとリクエストを送る。すると、Poloniexは、アリスへの送金に、フォーク後の(ABC側の)UXTOを少なくとも1つ以上折り込んで対処する。そうすることで、万が一そのリクエストがSVチェーンに流れても、ABC側のUXTOが含まれているため、SVチェーンでは取引として認識されなくなるのだ。

この様に、フォーク後のUTXOをBCH-ABC、BCH-SVの出金に含めることで、取引所Poloniexは自信を持って、リプレイアタックを回避し、出金対応を行うことができたと記述されている。

ビットコインキャッシュ・ハードフォークの行方

仮想通貨市場の下落の大きな要因となったハードフォークはいわゆるハッシュ戦争につながり、界隈の懸念材料となっていた。

しかし、先日11月末にBCH-SV派の20%をマイニングしていたCoinGeek社のCEO Calvin Ayre氏(以下、Ayre氏)がリプレイプロテクションを実装し、ハッシュ戦争に終止符を打つことを公式ブログで明らかにした。

出典:CoinGeek

実際プロトコル自体へのリプレイプロテクションの実装は2019年の第1四半期ごろになると予想されているが、BCH-ABCとBCH-SVは別々の通貨として認識される方向で動いている。

Ayre氏は、BCH-ABCがBCHというティッカーシンボルを獲得したが、BCH-SV(BSV)はBCHの開発者やユーザー等のエコシステムを多く引き継ぎ、今後BSVチェーンではなく、仮想通貨BSVとして邁進していくと語っている。

CoinPost関連記事

ビットコインSV、仮想通貨暴落の要因「ハッシュ戦争」の終了を宣言|BSVは時価総額7位にランクイン
ビットコインSV派のCoinGeek社が同社ブログで正式にハッシュ戦争を終了すると発表し、プロトコルレベルでのリプレイプロテクション導入は2019年の第1四半期頃になるだろうと予想した。また仮想通貨ビットコインSV(BSV)はCoinMarketCapで時価総額7位にランクインした。

そして、そのAyre氏の発言を反映するかのように、12月7日時点でBCH-SVは、価格上昇により、時価総額5位を記録し、時価総額7位のBCH-ABCを抜いていた。(現在12月10日時点では、ランキングは逆転している。)

出典:CoinMarketCap

このように、大きな波乱を呼んだビットコインキャッシュのハードフォークではあったが、現在は安定に向かいつつあると考えられており、今後のビットコインキャッシュ(BCH-ABC)とビットコインSV(BSV)の仮想通貨市場での活躍が期待される。

CoinPostのLINE@

スマートフォンへの「プッシュ通知」で、相場に影響を及ぼす重要ニュースをいち早く知らせてくれる「LINE@」の登録はこちら。大好評につき、登録者7,000名突破。

CoinPostの関連記事

SBI北尾代表がビットコインキャッシュのハッシュ戦争で強い懸念を表明『仮想通貨の採掘シェア3割保有で保有構造を是正したい』
マイニング事業を行うSBIの北尾代表は、株主向け説明会で、仮想通貨の暴落を招いたビットコインキャッシュのハードフォーク問題及びハッシュ戦争について強い懸念を表明した。
ビットコインキャッシュ分裂後のロジャー・バー氏「仮想通貨業界の明るい展望」を語る|専門家の最新見解も
ビットコインキャッシュ分裂から半月、BitcoinABCの主要メンバーであるロジャー・バー氏が、仮想通貨の明るい展望をBloombergのインタビューで答えた。 その他業界の専門家に関する見解も。
CoinPost App DL
厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
11/06 木曜日
16:25
ソラナ特化型戦略企業「SOLプラネット」が設立される
ソラナブロックチェーンに特化した戦略企業「株式会社SOLプラネット」が2025年11月4日に設立。外資系金融出身の野坂幸司氏がCEOを務め、企業向けにコンサルティングからインフラ構築まで一貫したサービスを提供する。
15:57
イギリス・カナダが米国に追随、ステーブルコイン規制を推進
イギリスとカナダが相次いでステーブルコイン規制計画を発表。イングランド銀行は米国と足並みを揃えた規制枠組みの導入を表明し、カナダも法定通貨担保型発行者への規制強化を打ち出した。
13:50
仮想通貨「最後の1000倍成長チャンス」はプライバシー分野、ゼロ知識証明技術が実用化された今が転換点
ソラナHeliusのMert Mumtaz CEOは、仮想通貨ではプライバシー領域が最後に残った課題であり、市場が未開拓であるため、「最後の1000倍」であり、大きなチャンスが期待できると主張した。
13:30
新規レイヤー1「モナド」、11月24日にメインネット稼働へ
モナド財団が11月24日にメインネットをローンチすると発表。毎秒1万件のトランザクション処理とEVM互換を実現する次世代レイヤー1ブロックチェーン。総額2億4000万ドルを調達し、約23万人へのエアドロップも実施。
13:20
仮想通貨が他のリスク資産に遅れを取っている理由は? 最新市場分析
大手マーケットメイカーのウィンターミュートが仮想通貨市場の最新レポートを公開した。ビットコインなどのパフォーマンスが株式など他のリスク資産より低迷している理由を分析している。
13:00
ソラナ・カンパニーが最大153億円の自社株買いを承認、仮想通貨財務企業の戦略転換が加速
ソラナ保有企業のソラナ・カンパニーが最大1億ドルの自社株買いプログラムを承認した。仮想通貨財務企業による株価対策が広がっている。
11:46
仮想通貨反発でビットコイン10万ドル台回復、トランプ大統領の「米国をビットコイン大国に」宣言再び
ビットコインが102,900ドルに反発も週初来7%安の下落基調。イーサリアムは7.6%高で市場をアウトパフォーム。トランプ大統領が「米国をビットコイン超大国に」と改めて宣言。政府閉鎖長期化で仮想通貨規制の進展に懸念も。
11:10
ウィズダムツリー、チェーンリンクと提携 ファンドデータをオンチェーン化に
ウィズダムツリーがチェーンリンクと提携し、トークン化プライベートクレジットファンドCRDTのNAVデータをブロックチェーン上に記録。機関投資家のDeFi参入を促す新たな取り組み。
10:50
ビットコイン財務企業FUTURE、下落相場も約53億円を資金調達
スイスの仮想通貨ビットコイン財務企業FUTUREは、約53億円の資金調達を完了したことを発表。出資者や支援者に著名な企業や人物が名を連ねており、今後の事業展開に注目が集まる。
10:05
仮想通貨企業戦略に暗雲、イーサリアム急落でトム・リーのビットマイン社が2600億円の含み損に
イーサリアムが3400ドルを下回り、トム・リー氏率いるビットマイン社は17億ドルの含み損を計上。企業による仮想通貨保有戦略の見直しが進んでいる。
09:45
ロビンフッド決算報告 仮想通貨取引収益が4倍に成長
投資アプリ「ロビンフッド」の2025年7~9月期決算を報告した。ビットコインなどの仮想通貨取引収益が前年比4倍増を記録し、予測市場も拡大中だ。
08:45
キリフダ、企業の売掛債権に1万円から投資できるトークン化債権サービス開始へ
キリフダは企業の売掛債権に1口1万円から投資できるトークン化債権マーケットプレイス「おカネのこづち」を年内公開する。企業の資金繰り支援と個人投資家の社会貢献ニーズを結びつけるプラットフォームだ。
07:55
フランクリン・テンプルトン、香港初のトークン化MMF運用開始
金融大手フランクリン・テンプルトンは香港でトークン化された米ドル建てマネーマーケットファンドを開始した。ルクセンブルグ登録で短期米国債を裏付けとし、香港金融管理局のフィンテック2030計画下での初の取り組みとなる。
07:15
S&P指数をオンチェーン化、ディナリとチェーンリンクの提携で
ディナリ社はチェーンリンクと提携し、S&Pデジタルマーケッツ50指数をオンチェーンで検証可能にする。米国株35社と主要仮想通貨15銘柄で構成される初のトークン化ベンチマークが第4四半期にローンチ予定だ。
06:50
「米政府はCZ氏の恩赦を精査済み」ホワイトハウス報道官が妥当性強調
米報道官は、トランプ大統領による仮想通貨取引所バイナンス共同創設者CZ氏への恩赦ついて会見で質問に応じた。徹底的に精査した上で判断を行なっていると妥当性を強調している。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧