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貿易戦争への懸念拡大
ドナルド・トランプ米大統領は木曜日、欧州連合(EU)からの輸入品に25%の関税を課す方針を表明した。この発表を受け、ビットコインは急落した。
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出典:Tradingview
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トランプ氏は関税の詳細について具体的な説明を避けたものの、「自動車やその他すべての品目」に適用されると言及した。EUは中国と並ぶ米国の第3位の貿易相手国であり、ブルームバーグによれば、今回の関税措置によって最大293億ドルのEU輸出品が影響を受ける可能性がある。
この発表は、トランプ政権が米国の最大貿易相手国であるカナダとメキシコに対しても来週から25%の関税を課すと表明した直後に行われたものだ。ただし、商務長官のハワード・ラトニック氏が、両国がフェンタニルに関する大統領の要求を満たす必要があると指摘したことから、関税の実施時期については4月2日に延期される可能性も示唆された。
今回のEUに対する関税表明は、仏マクロン大統領がホワイトハウスでトランプ氏と会談した2日後に行われた。マクロン大統領は会談後、フォックスニュースに対して「中国と欧州を同時に貿易戦争に巻き込むことはできない。説得できたと思う」と述べていた。しかし、トランプ氏は「彼らは我々の自動車を受け入れず、基本的に農産物も受け入れない。正直に言って、EUは米国を出し抜くために形成された。それが目的だ」と批判を展開した。
これに対してEU側は即座に対抗措置を取る構えを見せている。欧州委員会は水曜日、「EUは自由で公正な貿易に対する不当な障壁に対して、断固として即座に反応する」との声明を発表。ポーランドのドナルド・トゥスク首相も「全く不必要で愚かな関税戦争」を避けるべきだと訴えた。
一連の発表を受け、リスク資産と見なされているビットコイン(BTC)は急落し、一時82,000台まで下落。投資家心理の悪化を反映し、貿易摩擦拡大への懸念から暗号資産(仮想通貨)市場全体が続落する展開となった。