
米国こそビットコイン導入を先導すべき
ビットコイン政策研究所が主催する「Bitcoin for America」フォーラムが11日に米ワシントンDCで開催され、米国のビットコイン(BTC)戦略について、深い議論が交わされた。この招待制のイベントは、トランプ大統領が戦略的ビットコイン準備金(SBR)を設立するための大統領令に署名し、ホワイトハウスが初の暗号資産(仮想通貨)サミットを開催したことを受けて開催された。
ビットコイン推進派として知られるシンシア・ルミス上院議員をはじめ、ストラテジー会長のマイケル・セイラー氏、オハイオ州知事候補の起業家ヴィヴェック・ラマスワミ氏らが登壇。ビットコインを活用して米国の金融覇権を維持し、経済的繁栄を確保するビジョンを提示した。
名誉共同主催者として登壇したルミス議員は、昨年7月に議会に提出されたビットコイン法案を再提出すると発表。共同提案者として名を連ねるジム・ジャスティス上院議員も登壇し、新たなバージョンは、複数の共同提案者が加わり、議会での支持が拡大していることを強調した。
ルミス議員は「デジタルゴールド」であり、画期的な技術を体現したビットコインの導入に関しては、アメリカが主導権を握るのは当然だと主張した。
ビットコインはまさに自由のためのお金であり、自由のお金に関してはアメリカが主導権を握るべきだ。
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下院にビットコイン法案提出
ルミス議員らのビットコイン法案は上院に提出されるものだが、下院にもビットコイン法案が提出されることが、共和党のニック・ベギッチ議員によって正式に発表された。
Today, I introduced the BITCOIN Act of 2025 in the U.S. House.
— Congressman Nick Begich (@RepNickBegich) March 11, 2025
The war on innovation is over and the golden age of digital currency has arrived. pic.twitter.com/5GvbP0nH4y
イノベーションに対する戦争は終わり、デジタル通貨の黄金時代が到来した
ベギッチ議員は、ビットコイン法案が目指すのは、米国が世界のデジタル経済において経済的独立性とリーダーシップを維持することだと強調。ビットコインは、金(ゴールド)準備金の補完、国家安全保障の強化、また経済的安定性をもたらす可能性があると述べた。
さらに、法案では個人が自由にビットコインを取得、保有、取引する権利が明確に保護されており、自己管理権を基本的権利として認めている点にも言及した。
ビットコインは世界最強の力
米ストラテジー社のマイケル・セイラー会長は、「21世紀の米国において、なぜビットコインが力と繁栄のために重要なのか」と題したプレゼンテーションを行った。セイラー氏はビットコインに強気の姿勢を貫いており、ストラテジー社は、ビットコインを企業戦略の中核に据えたユニークなアプローチで知られている。
セイラー氏は、ビットコインはデジタル資本であり、世界最強の力であると主張。ビットコインを国家繁栄のための戦略的資産と位置づけ、「繁栄か貧困かの選択」がアメリカ市民に突きつけられていると強調した。
セイラー氏は、ビットコインは「デジタルゴールド」の役割ににとどまることなく、次世代の経済を牽引する「デジタルエネルギー」であると表現した。
「世界の4000兆ドルの資本が、20世紀の物理的・金融的資産からデジタル領域、特にビットコイン・ネットワークに移行している」と指摘。ビットコインの最小単位であるサトシが「デジタルエネルギーの単位」、ネットワークの計算能力(エクサハッシュ)が「デジタルパワー」を示すと述べ、米国がこれを掌握することで21世紀の金融覇権を握ることができると主張した。
伝統的な金融の基本原則は、もはや現代に適用できない古い軍事戦略のようなもの。過去のルールは時代遅れとなり、ゲームは根本的に変わった。
米国がビットコインを中核的な金融基盤として確保するかどうかが、「繁栄か貧困かを分ける決定的な選択」となるとセイラー氏。ビットコインの採用を見送った場合、他国がこの「千載一遇の機会」を掴み、米国は後塵を拝することになると警告した。
セイラー氏の提案
セイラー氏は、デジタル化とAIの台頭による次世代の経済は、デジタル資本の上に築かれるものであり、世界の資本はデジタルネットワークに移行していると指摘。「数兆ドルのデジタルコマースが、ビットコインネットワークを流れるようになり、ビットコインは48ヶ月以内に世界最大の資産になるだろう。」との予測を示した。
同氏は、ビットコインを国家戦略に不可欠な資産として位置付ける重要性を強調し、米国が今後10年間で100万BTCから400万BTCを確実に調達することを提案した。
また、今後10年が「デジタルゴールドラッシュ」の時代となると宣言。2035年1月までに発行上限の99%にあたるビットコインが採掘される事実に言及し、それまでビットコインを毎日購入し、蓄積し続けることを推奨した。
米ドルは通貨であり、ビットコインは資本だ。その両方が必要であり、超大国となるには、ビットコインを所有し、ネットワークを支配する必要がある。
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