はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習 WebX
CoinPostで今最も読まれています

米中関係には引き続き要警戒だが、ビットコイン相場は値固め続くか|bitbankアナリスト寄稿

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

3/8(土)〜3/14(金)の週次レポート

国内大手取引所bitbankのアナリスト長谷川氏が、今週の暗号資産(仮想通貨)ビットコインチャートを図解し、今後の展望を読み解く。


目次
  1. ビットコイン・オンチェーンデータ
  2. bitbank寄稿

ビットコイン・オンチェーンデータ

BTC取引数

BTC取引数(月次)

アクティブアドレス数

アクティブアドレス数(月次)

BTCマイニングプールの送金先

取引所・その他サービス

bitbankアナリスト分析(寄稿:長谷川友哉)

今週の週次レポート:

今週のビットコイン(BTC)対円相場は振れ幅を伴いつつも底堅い推移となっており、11日正午時点で、1100万円台中盤で推移している。

今週は週明けから米国市場においてブラックマンデー再来懸念が台頭し、BTCは7日東京時間から下値を模索する展開。一時は1100万円を割り込んだ。

一方、EUが対トランプ関税譲歩案を提出したことで切り返すと、トランプ政権が相互関税の適用を90日間延期する可能性が浮上し、一時は1200万円まで水準を戻した。

しかし、ホワイトハウスがこれを「フェイクニュース」と退けたことで上げ幅を縮小。その後も底堅い展開が続いたが、トランプ政権が対中関税引き上げを発表した他、グリア氏が短期的には関税免除措置を想定していないと発言したことで、BTCは再び1100万円われを試した。

尤も、9日に相互関税の上乗せ分が発動されると、相場は事実買い気味に反発。更に、米国時間にはトランプ米大統領が上乗せ関税の発動を、中国を除いて90日間停止すると発表し、BTCは1200万円を回復した。ただ、10日にトランプ政権が対中関税を145%に更に引き上げると、BTCは前日の上げ幅を縮小した。

【第1図:BTC対円チャート(1時間足)】
出所:bitbank.ccより作成

トランプ政権の相互関税上乗せ分の発動、それから一時停止と大きな山場を超えたと思いきや、米中貿易摩擦の激化だけが残り、米国株相場の乱高下にBTCもつられた。関税を巡る米中の関係は落とし所が見えてこない状況となっており、広範な金融市場で引き続き警戒ムードが続きそうだ。

一方、米国株相場の乱高下と比較すれば、通常ボラティリティの高いBTCは落ち着いているようにも見える。相互関税発動に向けて週末のうちにリスクを相応に織り込んでいた可能性も指摘されるが、米国債価格の下落から鑑みるに、米国から逃避した資金の一部によってBTC相場が下支えされている可能性もあるか。

また、10日の米国による対中関税引き上げによって影が薄れた3月の消費者物価指数(CPI)だが、中国、カナダ、メキシコへの関税の影響が危惧されていたものの、結果はコア指数含め下振れとなった(第2図)。

依然として米中貿易摩擦の物価への影響と景気後退への懸念が燻るものの、インフレが鈍化し続ければFRBによる利下げ再開が前倒しになると言え、マクロ環境はBTCに有利な方向へ徐々に変化し始めているとみている。

【第2図:各米インフレ指標(前年比)】
出所:FREDより作成

第一次トランプ政権でも関税引き上げの結果、FRBはおよそ1年半後に3度の利下げを実施することとなった。

当時は関税の影響で半年ほどはインフレの加速が確認されていたが、物価上昇で消費や製造業活動が頭打ちとなると、CPIの伸びは急低下していった。現在の米国経済の状態から鑑みるに、第一次政権で約1年半かかった利下げまでの期間は相当に圧縮される可能性があり、FF金利先物市場が予想するように夏頃の利下げ再開は妥当なシナリオではないかとみている。

ただ、利下げ再開時期のより明確な手掛かりが掴めるのは米中貿易戦争の物価への影響を確認してからとなることから、5月に発表される4月分のインフレ指標がこの先の鬼門として意識されるだろう。

また、FRBは8月のジャクソンホール会議で政策方針の転換を発表することも多々あり、それまで米国経済がある程度の底堅さを保っていれば、利下げ再開のタイミングは夏以降となる可能性もあるか。

いずれにせよ、米中関係には引き続き要警戒だが、一旦は材料を消化したと指摘され、目先ではCPIの下振れによる利下げ前倒し観測もあることから、BTC相場は底堅い推移で値固めが続くだろう。

寄稿者:長谷川友哉長谷川友哉(ハセガワ ユウヤ)
英大学院修了後、金融機関出身者からなるベンチャーでFinTech業界と仮想通貨市場のアナリストとして従事。2019年よりビットバンク株式会社にてマーケットアナリスト。国内主要金融メディアへのコメント提供、海外メディアへの寄稿実績多数。

関連:おすすめ国内仮想通貨取引所 投資家のクチコミ比較ランキング

関連:ビットバンクプラス公式サイト

過去のレポート一覧

CoinPost App DL
厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
12/25 木曜日
18:01
Komlock labと東証上場TDSE、AIエージェントによる自律決済の実証実験開始
TDSEとKomlock labがAIエージェントによる自律決済の実証実験を開始。日本円ステーブルコイン「JPYC」を活用し、AIが人間を介さず決済する「Agentic Commerce」の実現を目指す。
17:38
日銀総裁、利上げ継続示す 30年ぶり高水準更新へ
日銀の植田和男総裁が25日の講演で利上げ継続方針を表明。政策金利は既に30年ぶりの0.75%水準に達しており、今後の追加利上げによる円キャリートレード巻き戻しが仮想通貨市場に与える影響が注目されている。
16:21
SBI VCトレードとアプラス、USDCによる店舗決済の実証実験を来春開始
SBI VCトレードとアプラスが米ドル建てステーブルコインUSDCを活用した店舗決済の実証実験を2026年春に開始。大阪・関西万博のデジタルウォレット成果を発展させ、QRコード決済でインバウンド顧客向けに新たな決済モデルを創出する。国内唯一の電子決済手段等取引業者であるSBI VCトレードと、豊富な加盟店ネットワークを持つアプラスが協力し、ステーブルコイン決済の社会実装を加速。
14:55
量子コンピュータは仮想通貨の脅威か 専門家が語る「共存」の可能性
量子コンピューティングが仮想通貨業界に与える影響について、楽観論と懸念論が交錯する中、専門家は「共存」の可能性を指摘。ビットコインベテラン投資家やマイクロストラテジー会長は量子が仮想通貨を強化すると主張する一方、開発者は5~10年の移行期間が必要と警告。ソラナやイーサリアムなど主要ブロックチェーンは既に量子耐性技術の実装を開始している。
13:50
アステリア、JPYC企業利用支援の「JPYCゲートウェイ」発表
アステリアは企業向けJPYC入出金管理サービス「JPYCゲートウェイ」を発表。ウォレット管理やガス代負担など企業利用の課題を解消し、100以上の既存システムと連携可能。2026年1月よりβ版提供開始。
13:30
2025年世界仮想通貨浸透率ランキング、日本は47位
Bybitは2025年世界仮想通貨ランキングで、79カ国をユーザー浸透度、取引利用度、制度整備度、文化的浸透度の観点から相対的に評価。シンガポールと米国が上位にランクインし、日本は47位となった。また国別の一人当たりGDPから分析したところ、投資主導型と実用主導型の二つの採用パターンが明確となった。
12:13
ビットコイン価格予想が二極化 来年の37000ドル悲観論と最高値更新説の根拠は
仮想通貨市況 暗号資産(仮想通貨)市場では、ビットコイン(BTC)は前日比+%の1BTC=87,850ドルに。 ビットコインが一時的に88,000ドルを上回ったことは、米国上場…
11:44
仮想通貨投資大手が大規模取引か、ワールドコインに3000万ドル投入の可能性
マルチコイン・キャピタルと関連するウォレットが24日、ワールドコイン(WLD)6000万トークンを約46億円で購入した疑いが浮上。オンチェーンデータ分析サービスが報告。WLD価格は史上最高値から95%下落中。
10:30
個人投資家が計22億円の詐欺被害に、米SECが仮想通貨企業などを起訴
米SECは、複数の個人投資家から最低でも計約22億円をだまし取ったとして仮想通貨企業などを起訴。詐欺の手口を説明し、投資家に注意喚起を行っている。
10:22
Aave、所有権紛争でDeFiガバナンスの課題が表面化
大手DeFiプロトコルAaveで深刻なガバナンス対立が発生。年15億円超の収益配分とブランド資産の所有権をめぐり、DAOとAave Labsが対立。Snapshot投票では反対が過半数を占め、DeFi業界のガバナンス課題を浮き彫りに。
10:05
2026年の仮想通貨市場に期待できることは? Presto Researchがビットコイン16万ドル予想
Presto Researchが2026年の仮想通貨市場を展望。ビットコイン16万ドル到達の可能性、量子耐性議論、アルトコイン投機時代の終焉など様々なトレンドを予想している。
08:30
EUの仮想通貨税務透明性法「DAC8」、2026年1月1日に発効
EUの新たな税務透明性法DAC8が2026年1月1日に発効する。仮想通貨資産サービスプロバイダーは同日からEU居住ユーザーの取引データ収集を開始し、2027年9月までに最初の報告が必要となる。
07:35
ビットコイン現物ETF、4日連続で資金が純流出
仮想通貨ビットコインの米国の現物ETFは、23日の資金フローが約294億円の純流出で、これで4日連続の純流出となった。有識者が要因を分析している。
07:12
サークルを騙る偽の金・銀トークン化サイトが出現、同社が注意喚起
USDCステーブルコイン発行企業サークルを名乗る偽のプラットフォームが12月24日に登場し、トークン化された金と銀の取引を提供すると宣伝していた。サークルの広報担当者は偽物だと否定。
06:15
アーサー・ヘイズがイーサリアム売却継続、DeFiトークンに資金移動か
アーサー・ヘイズ氏が過去1週間で1800ETH以上のイーサリアムを売却し、仮想通貨ENA、PENDLE、ETHFIなどのDeFi銘柄に資金を振り向けている。ポートフォリオのリバランス計画の一環とみられる。
通貨データ
グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧