
欧州規制への準拠求める
米IT大手Google(グーグル)は、4月23日より欧州連合(EU)地域での暗号資産(仮想通貨)関連の広告に、新たなポリシーを設定する。欧州の包括的な仮想通貨規制MiCAを適用する格好だ。
今後は、EU圏で仮想通貨取引所やソフトウェアウォレットを宣伝するには、広告主は以下の要件を満たす必要がある。
- MiCA規制に基づき、当局から暗号資産サービスプロバイダー(CASP)として認可されていること
- MiCA以外のすべての現地の法的要件を遵守していること
- グーグルから認証を受けていること
MiCAとは
「Market in Crypto Assets」の略で、EUによる包括的仮想通貨規制案だ。2024年6月に正式に承認された。ステーブルコインの規制やライセンス制度、消費者保護要件などを規定している。
対象となる国は、オーストリア、ベルギー、ブルガリア、クロアチア、キプロス、チェコ共和国、デンマーク、エストニア、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、ハンガリー、アイルランド、イタリア、ラトビア、リトアニア、ルクセンブルク、マルタ、オランダ、ポーランド、ポルトガル、ルーマニア、スロバキア、スロベニア、スペイン、スウェーデンとなる。
また、仮想通貨取引所・ソフトウェアウォレットの広告について国独自のライセンスを設けているフィンランド、フランス、ドイツでは、すでにライセンスを取得している広告主は、それぞれの国が定める移行期間中は掲載を継続可能だ。
移行期間終了後は、EU圏における広告掲載にはMiCAライセンスのみが認められることになる。
グーグルによると、このポリシーに違反しても、警告なしにアカウントが即時停止されることはない。アカウントが停止される少なくとも7日前には警告が出される形だ。
コインテレグラフによると、BitgetのHon Ng最高法務責任者は、今回の新ポリシーは無認可事業者を排除し投資家保護を向上させる一方で、小規模事業者への負担となる可能性があると指摘している。
小規模な取引所は、業務内容に応じて、1万5,000~15万ユーロ(240~2,400万円)というMiCAの資本要件や、グーグルおよび現地の規制当局の両方で認証を得なければいけないというハードルへの対応に苦労する可能性があると述べた。
グーグルは2018年6月、詐欺を防止するために仮想通貨関連の広告を全面的に禁止したものの、同年10月には米国と日本で、規制下の仮想通貨取引所が広告を打てるようにするなど、段階的に規制緩和を行ってきた。
昨年1月には、ビットコイン(BTC)現物ETFの取引開始を背景に、米国を対象に仮想通貨の投資信託サービスを提供する企業が、商品やサービスに関する広告を出稿することを可能にしている。
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グーグルは仮想通貨関連事業へも参入済だ。2月には、仮想通貨ウォレットをグーグルアカウントでログインできるようにする構想など、利便性向上により仮想通貨の参入障壁を下げることに取り組んでいると伝えられた。
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