
BUIDLを担保とする取引戦略を発表
中央集権型金融とDeFi(分散型金融)のハイブリッドな環境を開発する企業BounceBitは19日、ブラックロックが提供するトークン化米国債ファンド「BUIDL」を活用した取引戦略の試験を行ったと発表した。
対象となったのは、暗号資産(仮想通貨)ビットコイン(BTC)の3か月先物ベーシス取引である。ステーブルコインを担保とした先物ベーシスは年利5%で取引されていた。
ベーシス取引とは
一般的に、現物価格と先物価格の価格差(ベーシス)を利用して利益を得る取引を指す。具体的には、割安な投資対象を買い、割高な投資対象を売るポジションを取る手法のこと。
BounceBitは、この取引に担保としてステーブルコインの代わりにBUIDLを使い、さらにビットコインのオプション取引も同時に行うことで、約20%のAPY(年換算利回り)を生み出した格好だ。
多くのステーブルコインは金利を提供しない。一方で、BUIDLは米国債に裏付けられた安定性と共に、利回りも提供するところに特徴がある。利回りは現時点での目安として約4%程度であり、この複利効果がBUIDLを担保とする利点の一つだ。
BUIDLの指定マーケットメイカーであるQCP社も先日、こうした取引戦略を提唱していた。
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BounceBitのジャック・ルー創設者兼CEOは、次のように述べている。
この革新的なアプローチは、投資家が米ドル建て利回りと裁定取引収益の両方を同時に獲得することで、どんなことが可能になるのかを示すものだ。
取引サイクル全体を通して、持続可能な米ドル建て利回りを獲得することを求める機関投資家に、その機会を提供できる可能性がある。
BounceBitは、このアプローチの利点は、投資家がBUIDLの米ドル建て利回りを保持したまま取引できるため、潜在的リターンが年利約24%に達することだとしている。
BUIDLを担保とするこの取引戦略は、担保自体が利回りを生み出すことがない従来のステーブルコイン担保戦略よりも優れたパフォーマンスを発揮するとも続けた。
ブラックロックのBUIDLは、トークン化米国債市場でシェアがトップであり、時価総額は約29億ドル(約4,200億円)に達している。なお、トークン化米国債市場全体の時価総額は約70億ドル(約1兆円)だ。

出典:rwa.xyz
BUIDLは現在、イーサリアム(ETH)、ソラナ(SOL)など7つのブロックチェーン上で展開している。
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