
Eulerに「sBUIDL」が上場
米資産運用大手ブラックロックの米国債ファンド「BUIDL」のトークン化を担うセキュリタイズ(Securitize)は15日、BUIDLがアバランチ(AVAX)上で、初めてDeFi(分散型金融)プロトコルと接続して機能するようになったと発表した。
この動きは、機関投資家によるDeFi導入について、大きな一歩になるとしている。
セキュリタイズによるテクノロジー「sToken Vault」により発行したERC20トークン「sBUIDL」が、アバランチのブロックチェーン上のレンディングプロトコル「Euler」に組み込まれた格好だ。
「sToken」機能は、セキュリタイズが発行する現実資産(RWA)トークンをDeFiで活用できるようにすることで、DeFiの新たな領域を切り開くものである。
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RWAとは
「Real World Asset(現実資産)」の略。ブロックチェーン上でトークン化されるRWAには不動産、アート作品、トレーディングカード等の実物資産、株や債券等の有価証券などが含まれる。RWAのトークン化の可能性は、資産運用最大手ブラックロックらも注目している。
sBUIDLは、ブラックロックのBUIDLファンドと1:1で完全に償還可能なトークンだ。既存のBUIDL投資家が、トークン化証券BUIDLをセキュリタイズのプラットフォームにロック(預ける)することでsBUIDLが発行される。
sBUIDLはレンディングプロトコルEulerの貸借市場において、預入が可能な担保資産として上場されており、アバランチ上で最大92.5%のLTV(ローン・トゥ・バリュー)が認められている。なお、LTVは担保資産の価値に対する借入可能額の割合だ。
また、リスク管理はRe7 Labsが担当し、Merklプロトコルを通じて、AVAXのリキディティ・マイニング報酬も提供される。
投資家はBUIDLファンドから利回りを得ながら、流動性も確保できるようになった格好だ。主な用途としては、以下が挙げられる。
- ステーブルコイン(USDC、USDT、AUSD、deUSD)の借入
- 利回りを生み出すBUIDLを売却することなく流動性にアクセスできる
- 他のアバランチ上のDeFiでも今後sBUIDLを活用できる可能性
- sBUIDLを担保としてUSDCまたはAUSDを借り入れることでAVAX報酬を獲得
セキュリタイズは、機関投資家がDeFi市場に流入する可能性に言及し、次のように説明した。
ブラックロックBUIDLが提供するセキュリティと利回りに、DeFiのパーミッションレスな性質を組み合わせることで、sBUIDLは従来型金融と分散型流動性の橋渡しをする。
単なるトークンを超えて、透明性と実用性を備え、機関投資家の資金がオンチェーン市場に流入するためのゲートウェイとなる。
セキュリタイズは4月、3月のBUIDL分配金が推定で417万ドル(約6億円)超だったと発表。この金額は、トークン化国債ファンドの1か月の分配金として、史上最高額だったと述べていた。
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