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イーサリアム共同設立者「信用ではなく真実が必要だ」|Web3.0、Polkadotの構想を語る

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

ギャビン・ウッド氏への取材第二弾
今記事は、以前投稿したギャビン・ウッド氏への取材の後編となる。今回は現在同氏が取り組んでいるWeb3.0やPolkadotなどのプロジェクトが主題となっている。同氏が、Web3.0、Polkadotプロジェクトに抱く想い、構想を伺った。

イーサリアム共同設立者ギャビン・ウッド氏インタビュー

なぜPolkadotを立ち上げた理由、またPolkadotの構想とは何でしょうか

Polkadotを立ち上げたのは、イノベーションを進めたいという思いからでした。

構想としては、イノベーションを進めるためにデザインされた新しいプラットフォームの完成です。

私はいつもイーサリアムをイノベーションの起爆剤として捉え、高レイヤー開発者が、関係のないコーディングをせずにアイデアを簡単に実現できるプラットフォームの作成を目的としていました。

なので、4年ほど前に私たちはイーサリアムが便利である理由として、イーサリアムのプラットフォームを使い、たった5行のコードで作り上げられたNamecoinを例に取り上げていました。

このように、より早く、簡単にイノベーションを進められるプラットフォームを構築することがイーサリアムのビジョンでした。

その点のビジョンは全く変わらず、Polkadotもイノベーション・エンジンとして見ています。

そのイノベーション・エンジンというのは、独創的な開発チームがコードを書き、創造性を発揮し、作り上げたものをデプロイできて、なおかつ、今までにない速さや、容易さを兼ね備えたプラットフォームといったものです。

ただ唯一、イーサリアムと大きく異なっている点は開発プロダクトの対象が広がっていることで、対象とする開発チームやユーザーに使われる言語や技術などを、より容易で、コストを安く抑えるという点に重きを置いて開発しています。

もちろん細かな点は、たくさん変わっています。

例えば、スマートコントラクトではなく、広範囲にわたる分散型アプリケーションに焦点を当てており、作られるアプリケーションは、より低いレイヤーの物になると思われます。

また、新しいコンセンサス・アルゴリズムを利用する可能性もあります。

ただ目的としては、イーサリアムと同じで、安く、速く、簡単にアイデアを実現できるプラットフォームの提供です。

今ブロックチェーンが抱える問題とは

よく挙げられる問題としては、スケーラビリティ問題。それに、より高速なトランザクション処理や、小さなデバイスでチェーンを維持し、利用できる能力を備えた軽量クライエントの必要性などがあります。

それだけではなく、新たなアップグレードや、システム上のパッチの問題、バグの修復などを決定するガバナンスの課題も抱えています。

またブロックチェーンにより焦点を当てると、開発環境も大きな問題の一つです。

もう一つの問題は、相互互換性です。

例えば、PS4を持っている人とXboxを持っている人が、ある同じソフトをオンラインでプレイする際に、本体が違うゆえに通信プレイをできないと不便に感じるのと同じように、異なるチェーン間でやりとりをできないのは、すごく不便です。

たくさんの異なったチェーンや、チーム、エコノミックモデルなどが互いにステークを競い合うことがなければ大変使いやすくなるでしょう。

もし仮想通貨の全てがPoSを採用したとすれば、ステークにパワーを与える資本が必要となります。

どのチェーンに資本をデプロイするかを決めなければなりませんが、その際に異なったステークが存在していて、いずれかのステークを選択する必要性があれば非常に不便です。

もし一つのステーキング・プールに、それぞれのチェーンが独立して存在することができ、その上、安全性も築かれれば利便性は大きく向上すると思います。

今後、どんどんスマートコントラクト・チェーンがデプロイされると思いますが、双方向でコミュニケーションが取れれば、より簡便なものになるでしょう。

Polkadotでは、このようなことも考慮しています。

そういう意味で、イーサリアム・プラットフォームと、”その他”のスマートコントラクト・プラットフォームがお互いにやり取りできれば最高です。(笑)

Web3.0の定義、Web3.0実現へのロードマップは?

Web3.0というのは、言い換えれば、分散型ウェブあるいはサーバーレスウェブです。

Web2.0では主にアプリケーションの提供を行っています。

複数のブラウザが存在し、その中にアプリケーションが存在し、そのアプリケーションの中にはFacebookやTwitter、あるいはショッピングサイトなど、色々なものが含まれます。

それらアプリ上では経済的な営みが行われ、買い物などをすることができます。

ただ批判的な見方をすると、それらアプリやブラウザなどのサービスを提供するためには、大きな権限を握る中央集権的な第三者機関の存在が必要となります。

そこで、Web3.0の提案として、これら必要とする要素を分けることを挙げています。

一方はポートやブラウザで、もう片方は、技術的に三つに分けています。

一つ目はイーサリアムやスマートコントラクト・プラットフォーム、あるいはビットコインなど、経済的やりとりの管理です。

二つ目は、メッセージ機能です。どのようにアプリが、システムの利用者にメッセージを送るかといったもので、個人間で対話できるようにデザインすることが求められます。

三つ目はデータパブリケーションです。多くのデータをどのように公開するか、また、そのデータを必要とする人に、どのように届けるかということが問われます。

(Web3.0を作るためには)安全性や確実性を保証しつつ、個人情報を受け渡さずに、これら三つの全てを達成する必要があります。

一つの大きなデータベースや、サーバーに頼らずに、いつでも、誰にも知られることなくアップデートを行えるよう、新たなアプリケーションを開発するためには、様々な変更が要求されます。そのため、既存のソフトウェア構造や経済システム、情報のロジスティック構造などを考え直す必要があります。

現在あるeBayやアマゾン、Facebook,TwitterなどWeb2.0のアプリケーションにおいて、これらシステムを必要に応じて利用し、再開発することで、Web3.0のアプリケーションを作り出すことができると考えています。

その過程を通して、それ自身で動作し、止めることが不可能な、第三者機関を必要としないアプリケーションの構築を可能にし、また、何か新しいアプリケーションを作る際に、新たにサーバーを立てる必要や、デブオプスやメンテナンスをするためのインフラ整備をする必要性もなくなるでしょう。

どこまで分散化は可能か

―PoAの登場や、仮想通貨の価格低迷の影響により有数なマイニング業者のみが生き残る傾向など、完全な分散化に限界が見えていると思いますが、その点をどう思いますか。

パフォーマンスと確実性というのは、常にトレードオフの関係にあり、パフォーマンスを向上させれば、そのシステムの確実性は欠けてしまいがちです。

また分散化を進めても、効率性を損ないがちになります。

その理由は、多くの利用者に協調性がないため、上手く動作する分散型システムを設計することが困難だからです。

また、現在のマイニング事情などを単純に見れば、いつも中央集権化される結果に終わり、失望させられます。

でも私はそう考察していません。分散化とパフォーマンスや確実性の間には、必ずバランスのとれた中間地点があり、いずれそこに辿り着くと思います。

問題を調べ上げ、開発を行い、イノベーションを進めることで、分散化のレベルを高めても確実性を損なうことなく、パフォーマンスを向上させることも可能になると考えています。

Web3.0と社会問題との関係性

他にWeb3.0の興味深い点は、スマートコントラクトや、イーサリアム、ブロックチェーンだけでなく、社会や政治家、第三者機関に対する信用の損失など、現代社会が抱える問題と大変関わりが深いということです。

これら問題は、トランプ大統領の誕生や金融危機など、特に欧米諸国において見られます。

それらが原因で人々が信用を失ったことにより、理性的でない行動をとるシーンも見受けられます。

ポーランドやハンガリーなどでは、右翼的すぎるリーダーが選出されており、またトルコやロシアでは、その大きすぎるリーダーシップの暴走も見られます。

現代社会には、十分なバックアップやセーフティ・ネットがありません。自由民主主義の中で、組織的に我々が築いていたセーフガードが破壊されつつあります。

私はこれらをネガティブな傾向と捉えており、Web3.0はそれら問題の矯正手段になるのではないかと考えています。我々が必要なのは、信用ではなく真実です。

Web3.0では、トラストを必要とせずに、監視や承認を行うことができ、真実を知る手段となります。このWeb3.0により、透明性の高い社会が構築されると考えています。

分散化システムの考察にも言及

分散システムというものには多くのコストがかかりますが、(中央集権とは異なり)管理者が過ちによりシステムが崩壊するなどの問題を抱えずに、長くシステムを維持することができます。

ローマ帝国などの歴史を見ても、中央集権的であれば、有能な皇帝が統治し続ける限りその国の運営は上手くいきますが、殺戮などを行う者が皇帝の座につくと、いずれその国は崩壊します。

現在、中央集権化されたものは至るところにあり、それらは最終的に崩壊して終わることが多いです。

分散化されたものは、長く存在し続けられるものだと考えています。

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