
2025年開催の大阪・関西万博で、デジタルウォレットの基盤技術として採用されたAptosブロックチェーン。すでに数十万人が利用し、100万件を超える取引を処理している。
元Meta(旧Facebook)の技術者チームが開発したレイヤー1ブロックチェーンは、どのようにして実世界での大規模な実装を成し遂げたのか。
Aptos Labsのストラクチャードファイナンス責任者であるRyan Zega氏を独占取材。同社の日本市場への取り組みと、Web3が社会にもたらす変革について話を伺った。
インタビュイー紹介

Aptos Labs Head of Structured Finance: Ryan Zega氏
Ryan Zega氏は、Aptos LabsのStructured Finance責任者。同社は機関投資家向けのレイヤー1ブロックチェーン「Aptos」を開発している。
以前は、プライベート証券とデジタル資産の流動性プラットフォームであるtZEROで、資本市場およびビジネス開発のシニアディレクターを務めた。デジタル資産分野に参入する前は、上場REIT(不動産投資信託)、不動産プライベートエクイティファーム(非公開不動産投資会社)、グローバル投資運用会社において、買収、アセットマネジメント、債務組成などの分野で豊富な経験を積んできた。
Web3参入の理由
「Web3事業」に進出した理由は?
Aptosは、元Meta(Facebook)のエンジニアと技術者チームが開発したレイヤー1ブロックチェーンです。Diemブロックチェーンの設計思想を継承し、開発言語のMoveを採用した独立型の基盤技術です。
私たちは最初から、Web3における最も複雑な課題の解決を目指してきました。企業や開発者、ユーザーが安心して利用できる、安全でスケーラブルな実用インフラを提供することです。これにより、トークン化された資産やグローバル決済、デジタルコマースを大規模に展開する上で、Aptosは明確な優位性を持っています。
私自身、ストラクチャードファイナンスとブロックチェーンの両分野で活動していますが、Web3は単なる技術の進化ではありません。よりオープンで効率的、かつ包括的なグローバル経済を支える基盤だと考えています。そのビジョンを実現するために、私たちはここにいるのです。
今後の展望
「Web3事業」今後の展望は?
ブロックチェーンを実世界に活かすことは、Aptos Labsの活動の核心です。Web3は実験段階から、実際のビジネスや社会に貢献する段階へ進化していると感じています。世界中で政府や企業、金融機関が資産のデジタル化、決済システムの刷新、効率性の向上のためにブロックチェーンを活用し始めています。
私たちはグローバル取引エンジンの開発や、実世界資産(RWA)とステーブルコインの分野でのリーダーシップを通じて、日々この勢いを実感しています。現在、Aptosは実物資産のトークン化(RWA)の取引量で世界トップ3に名を連ねるブロックチェーンとなりました。
日本では、Aptos上に構築されたEXPO 2025(大阪・関西万博)提供のデジタルウォレットが、すでに数十万人に利用され、100万件を超える取引を処理しています。これはWeb3インフラが国家規模で実際の価値を生み出せることを示す、とても良い例だと思います。
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規制環境の整備とインフラの成熟が進む中、さらなる成長の可能性があります。私たちは信頼できるパートナーと協力して、実用的なソリューションを実現していきたい。そして、日本のWeb3変革を支援するため、グローバルな経験を活かした実践的なユースケースを提供していければと考えています。
WebX 2025への期待と日本市場への取り組み
なぜWebXのスポンサーを決めたのか?
WebX 2025は、金融、テクノロジー、政府など、日本と世界の多様な業界のリーダーが集まり、デジタルインフラの未来を議論する特別な場です。Aptos Labsにとっては、ブロックチェーンがどのように実世界で価値を創出し、これまで想像もできなかった活用法を実現できるかを示す絶好の機会となります。
日本はそのビジョンの中心的な存在です。イノベーションに対する慎重かつ建設的なアプローチ、品質や信頼性、長期的なコミットメントへのこだわりで知られる市場ですが、これらは私たちが大切にしている価値観でもあります。WebXへの参加により、日本のWeb3エコシステムとの関係を深め、Aptosが日本のデジタル化の目標をどのように支援できるかを示し、真に意味のある永続的なパートナーシップを築いていきたいと考えています。
日本政府のWeb3政策への期待
日本政府のWeb3政策に期待することは?
包括的なWeb3ホワイトペーパーの発行から、ステーブルコインやトークン化証券、デジタル資産の税制に関する枠組みの明確化まで、日本政府はブロックチェーンの健全な発展のための基盤をしっかりと築いています。実世界の資産のトークン化やデジタル円の検討も積極的に進めており、ブロックチェーンを国家のイノベーション戦略に組み込もうという強い意志を感じます。
これらの方向性は、Aptos Labsの取り組みとぴったり合致しています。私たちは機関投資家向けのブロックチェーン基盤を提供し、実世界の資産を活用したアプリケーションを構築してきました。その経験と実績を活かして、日本が目指す安全で誰もが利用でき、将来に向けて持続可能なデジタル金融エコシステムの構築を全力でサポートしていきたいと思っています。
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WebX 2025
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注目のスピーカー
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北尾 吉孝
SBIホールディングス 会長兼社長
その他の注目スピーカー

アーサー・ヘイズ
BitMEX、Maelstroom創設者

オードリー・タン
台湾の元デジタル大臣

堀江 貴文
実業家
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