
「JupUSD」をローンチへ
ソラナ(SOL)ブロックチェーン上の分散型取引所(DEX)アグリゲーター「Jupiter(ジュピター)」は9日、独自ステーブルコイン「JupUSD」をローンチすると発表した。今年の10~12月期にリリース予定だ。
発行にあたってはステーブルコインプロバイダーのEthena(エセナ)と提携しており、JupUSDは、当初はエセナの米ドル建てステーブルコインUSDtbによって完全に担保される。
USDtbは、ブラックロックのBUIDL(短期米国債への投資を表すトークン化ファンド)によって裏付けられているトークンだ。
将来的には、エセナの主力ステーブルコインUSDeも担保として追加される見込みである。USDeはビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)、ソラナ(SOL)、Lidoのイーサリアム(ETH)流動性ステーキング・トークン(LST)などを裏付け資産として、米ドルの価値を追跡するトークンだ。
ステーキングトークンを通して投資家に利回りも提供可能であり、このUSDeをJupUSDの担保とすることで利回りを最適化する狙いもある。
ステーブルコインとは
価格が常に安定している(stable)仮想通貨を指す。ステーブルコインは暗号資産の一種で、BTCやETH、XRPなど変動性のある資産とは異なり、米ドルなどに裏付けられその価値を保つことが目的だ。米ドルの裏付けによるステーブルコイン(USDT・USDC)のほか、アルゴリズムを利用するステーブルコインもある。
ジュピターによるとJupUSDは、同プラットフォーム上の様々な機能で活用できるようになる。主に以下が挙げられた。
- 無期限先物「Jupiter Perps」の担保
- 貸借サービス「Jupiter Lend」の流動性
- スワップやプロモード、モバイルでの取引
- 開発中の新製品に関する機能
新製品の詳細については今後発表される見込みだ。ジュピターは、ソラナのブロックチェーン上で最大のDEXアグリゲーターであり、DefiLlamaによると、過去30日間の取引量は約200億ドル(約3兆円)に達している。
関連:Jupiter(ジュピター)の使い方│ソラナで最大級のDEXアグリゲーターの機能を解説
エセナは、JupUSDはエセナの「ステーブルコイン・アズ・ア・サービス」のラインから登場する最新のステーブルコインだと述べた。
1日には、仮想通貨スイ(SUI)を蓄積するトレジャリー企業スイ・グループが、スイ財団およびエセナと提携して、独自ステーブルコイン「suiUSDe」および「USDi」をローンチすると発表したところだ。
関連:スイ財団、エセナ、スイ・グループが独自ステーブルコイン「suiUSDe」「USDi」立ち上げへ
米国でステーブルコインを規制する「ジーニアス法」が成立したことも一つの背景にして、ステーブルコイン市場の競合が加速している。現在、ステーブルコイン全体の時価総額は3,100億ドル(約47兆円)以上に達している。
ステーブルコイン市場では首位のUSDTが依然として他を圧倒しているところだ。エセナのUSDeは現時点で時価総額で3位、146億ドル(約2.2兆円)であるが、まだ全体の5%程度に過ぎない。エセナのガイ・ヤング創設者は今後の成長に意気込みを示している。