
仮想通貨のインサイダー取引規制法制化へ
金融庁が仮想通貨(暗号資産)のインサイダー取引を禁じる規制を導入することが15日、日本経済新聞の報道で明らかになった。未公開情報をもとにした売買を禁止する規定を金融商品取引法に明記し、違反者には課徴金を課すという。
年末までに金融庁の作業部会で詳細を議論し、2026年の通常国会に金商法の改正案を提出する方針だ。証券取引等監視委員会による犯則調査の対象とし、疑わしい取引があれば監視委員会が調査して課徴金の勧告や刑事告発につなげられるようにする。
現在は仮想通貨の交換業者と日本暗号資産等取引業協会による自主規制に頼っているが、取引データの監視体制は不十分との指摘がある。監視委員会による監視開始で公平な取引環境の整備が進み、投資商品としての魅力が高まる見込みだ。
規制対象となる未公開の重要情報には、取引所への上場方針やセキュリティー上の重大リスクなどが想定される。ただし仮想通貨は価格変動に影響を与える情報の定義が難しく、明確な発行者が存在しない通貨もあるため、株式などに比べて規制対象者の絞り込みが困難だ。
仮想通貨は投資目的で保有する人が増えており、国内の口座数は5年で4倍になった。海外ではコインベースの元プロダクトマネージャーが上場前情報を漏洩し約1億3,800万円の不正利益を得た事例や、バイナンスの社員が非公開情報を悪用してインサイダー取引を行った事例が確認されている。金融庁は仮想通貨を決済手段ではなく投資目的で取引される金融商品として規制を適合させる方針だ。
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