- LocalBitcoinでフィッシング被害
- LocalBitcoinがフィッシング被害が指摘されていた件に関して調査報告を行ったことが明らかになった。同社は、調査の経過報告と対応策の発表を行った。
ビットコインの個人OTCプラットフォームでフィッシング被害
2019年1月26日にフィッシングによる被害から総額2.8万ドル(約3067万円)相当を上回るビットコイン(BTC)を流出させたLocalBitcoinsが、一部の取引を再開。米ソーシャルネットニュース「reddit」 上で、セキュリティの脆弱性に関する調査報告を行った。
LocalBitcoinは、個人投資家(少額レベル)の取引も盛んにされるプラットフォームで、世界各国の投資家が、ビットコイン(BTC)とそれぞれの現地法定通貨で店頭取引(OTC)を行なっている。
ハイパーインフレなどで自国通貨に不安がある南米エリアなどを中心に、同プラットフォームでの相場の値動きと反比例するように出来高が増加していたことなど、取引所が整備されていない国での、ビットコインの需要を支えるプラットフォームとしても注目されていた。
公式フォーラムを悪用したフィッシングで8BTCが消えた
今回のフィッシングは、安全な仮想通貨取引エコシステムの構築に力を入れているLocalBitcoinsの盲点をつく攻撃となった。
犯人あるいは犯行グループは、同社の公式フォーラムに直接リンクを貼り、ユーザーをフィッシングサイトへ誘導。「2段階認証(Two-Factor Authentication/2FA)」を装い、被害者のアカウントからBTCを不正に送金したという。
不審を感じて警戒を呼び掛けた「Reddit」のユーザーの投稿は以下のように掲載されている。
「ログイン状態であるにも関わらず、新たなページが立ち上がり自分のアカウントへのログインを要求される。この現象は既にログインしている場合にのみ起こるようだ。これはフィッシングサイトにあたり、盗難された2段階認証は、アカウントからBTCを引きだすために悪用されている。出金はLocalBitcoinsによって中断された」
被害にあったユーザーのコメントから特定された犯人のものと推測されるアドレス(13WaahhsiGph4ysmQtjVhVTdgQUSL62KJr)は、5つの取引を通し、合計約8BTCの受け取り履歴があることが発覚した。
調査の経過報告および対応策
この事件を受け、LocalBitcoinsは独自の調査を開始。調査の経過報告と対応策を発表した。
声明文によると、同社は「不正なソース」による不正行為が行われると同時に、セキュリティ上の脆弱性を発見した。すでにユーザーによる出金を一時的に停止しており、悪意ある第三者のソフトウェアと関連性が見られる問題を特定し、攻撃の阻止を行っている。
確認された脆弱性はサードパーティソフトウェアに含まれており、これまでに6つのケースが確認された。現在は被害を受けたユーザーの特定作業を進めているが、リスクにさらされている可能性があるアカウントの保護に向け、様々な対策を講じているという。
出金サービスも再開しているが、セキュリティ上の理由からフォーラム(掲示板)機能は一時的に無効になっている。
ユーザーの安全性
LocalBitcoinsが2段階認証の利用を推奨し、ログインの安全性確保を強調する一方で、某ユーザーは「2段階認証を有効にしていても、攻撃は防止できないかった」と主張している。被害者の信用情報が、ハッキングに利用されたフォーラムソフトウェア内で実行されるスクリプトに伝達される可能性が高いというのがその理由だ。
Bitcoin.comの調査によると、2018年最初の2カ月だけで総額13.6億ドル(約148億 9844万円)相当の仮想通貨がハッキングやフィッシングで流出した。管理業者側によるセキュリティー強化だけでは防げない、今回のようなフィッシング詐欺があるため、ユーザー側が怪しいリンクやメールには慎重に対応するよう、日頃から十分に注意することが重要だろう。
需要は高まっている、エスクロー、KYC に対応するLocalBitcoins
ヘルシンキに拠点を置くLocalBitcoinsは「取引所を通さずに仮想通貨の取引ができるP2P型BTCプラットフォーム」として、市場における需要を急速に拡大している。世界中のユーザー同士で気軽に取引が行えるという利便性に加え、P2Pにありがちな取引相手の信頼性向上に努めている点が高く評価されているものと推測される。
詐欺行為対策としてエスクローシステムを導入しているほか、取引相手の所在地を地図上に表示するなどして、安全性を強化。エスクロー(預託)とは、取引で決済の安全性を保証する仲介システムだ。第3者の仲介システムを導入する事で、お互いに資金の着金を確認できる状況になったタイミングで振り込みが行われる。
2017年にはRipple社が550億XRPをエスクローアカウントに凍結すると発表し、話題を呼んだが、エスクローの意味自体は同じではあるが、P2Pプラットフォーム化のエスクローであるため、多少意味合いは異なる。
また2018年には利用規約を更新し、一定の取引件数を超えたユーザーに個人情報の提供(KYC)を求めるなど、世界的な規制強化を意識した動きをみせている。
これらの動きを経て、ビットコインの需要が高まっているとされる経済破綻が危ぶまれる国や、発展途上国での出来高はかなり上昇傾向にあり、日本やアメリカなどで、価格下落とともに出来高が下落傾向にある一方で、過去最高値を更新する動きが多く見られている。
例えば、通貨ペソ相場が下げ止まらないアルゼンチンや、米国と国境の壁問題で揺れるコロンビアのチャートを見ると、直近での需要増加は明らかだ。
このような動きを見ていくと、私たちが住む日本では(現状では)なかなか実感することができない、ビットコインの需要が見えてくる。ビットコインはこれまで「価値の保存」と「ボーダーレス送金」の観点から、デジタル・ゴールドの立ち位置になり得る存在との指摘も多方でされていることがわかるだろう。
しかし、現在の長期弱気トレンドを見ていくと、他の金融市場の暴落時に高い相関率を示し、リスク資産的な側面が顕著に現れ、出来高の減少もより顕著になる傾向が見受けられる。
これは経済が比較的安定している日本において、現在の日本円に対する危機的感情が低く、あくまでも投機的な側面が強いことが一つに理由として挙げられるが、今回のデータを見る限り、世界各地の発展途上国で見られる、通貨不安や経済破綻懸念に関する需要が徐々に拡大していることを示唆している。
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