- Googleがブロックチェーン大量採用時代を見据え、開発に注力
- 米グーグルが、ブロックチェーン技術の大量採用時代を見据え、異なる視点から独自の開発を進めている状況が、同社上級開発者のAllen Day氏の発言で明らかになった。ビットコインやイーサリアムなどのブロックチェーンデータ解析ツールの応用事例も。
Googleがブロックチェーン大量採用時代を見据え、開発に注力
米グーグルがブロックチェーン技術の大量採用時代を見据え、異なる視点から独自の開発を進めていると、米Forbes紙が報じた。
その一端を担っているのが、グーグルのクラウド・コンピューティング部門で「ゼロ番目の客」として、新たな製品開発の方向性を探るため、隠れた需要を予測する上級開発者のAllen Day氏である。
Day氏は、グーグル検索がインターネットの使い勝手を大幅に向上させ、人々の生活を一変させたように、ブロックチェーンへのアクセスを簡略化することこそが、グーグルが次にできる重要な「大仕事」ではないかと考えている。そして、そこから生み出される富は、インターネット同様、巨大なものとなる可能性を秘めているとブロックチェーンが作る未来を見据えているという。
グーグルはブロックチェーンが、誰によって、どのように使われているのかを検索できる方法を作り上げようとしている。 この点において、ブロックチェーン技術を基盤としたアプリ開発を支援することに焦点を当てた、アマゾンやマイクロソフトとは一線を画していると見ているようだ。
BigQuery
ここで、グーグルが得意とするビッグデータ解析技術が大きな役割を果たす。/p>
昨年、 Day氏と開発者チームは、同社のビッグデータ解析プラットフォーム、BigQueryにビットコインならびにイーサリアムブロックチェーンの総データのフィードを開始した。
BigQueryは、米Googleが2018年8月30日より企業向けに提供を開始したビッグデータ解析クラウドサービスで、数TBあるいはPBに及ぶビッグデータに対して、SQLと似たクエリを実行、数秒あるいは数十秒で結果返答してくれるサービスとなり、ブロックチェーンデータへの応用と開発は既に進んでいる。
これまでBlock Explorersと呼ばれるブロックチェーンデータ検索専門ソフトがブロックチェーンデータの可視化ツールとしては主流ではあったものの、ブロックチェーン上の特定のトランザクションのみしか検索できないとのデメリットがあった。一方で、このグーグルのBigQueryツールによるブロックチェーンデータ解析によって、トランザクションのエコシステム全体に対し、より一般化された検索を可能になった。要するにブロックチェーン全体で最もトランザクションがあるのはどこかなどの検索なども可能になった。
すでに開発チームは、ビットコインやイーサリアムに次いで、ライトコイン、ジーキャッシュ、ダッシュ、ビットコインキャッシュ、イーサリアムクラシック、そしてドージコインのデータをBigQueryに追加している。
Blockchain ETL(extract=抽出、transform=変換、load=読み込み)として知られるこのプロジェクトは、データ検索用の一連のツールが開発されると、開発者の間で口コミを通して急速に広まり、この1年間で500以上ものプロジェクトが誕生することに繋がった。
「 私は、何が起こっているかを定量化することに、非常に興味を持っている。何がブロックチェーンにとっての合理的なユースケースなのかを特定することで、この技術が本当に適しているものに専念して開発することができる。」
とDay氏は語った。
開発事例
開発やアップロード事例も複数の事例が挙げられている。
SelfDestructの検索
ポーランド在住のスマートコントラクト分析サービスを提供するプログラマーは、グーグルのツールの共用を行うことによって、23秒で120万件のスマートコントラクトのコントラクト期間を制限する「SelfDestruct(自己破壊)」と呼ばれる機能の検索が可能になった。
SelfDestructとは
イーサリアムのコントラクトにおける「自己破壊」のこと。応用方法として、「実行期限」や「送金限度」が決まっているシステムを組む際、期限を迎えれたタイミングでSelfDestructを実行することで、完了後に攻撃や改変されるされる心配が取り除かれる。
XRPのトランザクションフローを可視化
オランダの開発者がXRPブロックチェーンの400ギガバイト分のデータ(総データに相当)をBigQueryにアップロードしたところ、デンマーク在住のデザイナーは、そのデータをヒートマップ化し、XRPのトランザクションフローが一目でわかるような作品を完成させることができた。
ブロックチェーン大量採用時代への警鐘
Day氏は、これらの活動を見てきた中で、ブロックチェーン技術の中核を成している「匿名性を保った検証メカニズム」に対して、ブロックチェーン大量採用時代においては、今の形では十分でないかもしれないと、警鐘を鳴らしている。
「将来、ブロックチェーン上での経済活動をより活発化させるには、合意レベルの信頼では十分ではないと考える。 実際、自分が誰と関わっているのかについて、ある程度は理解している、という信頼が必要になるだろう。」
ブロックチェーン技術が主流となるためは、この技術が標榜してきた匿名性という機能に関して、ある程度の妥協が必要となるかもしれない。
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