はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習 WebX
CoinPostで今最も読まれています

「仮想通貨の真の普及」と「ライトコインの匿名技術導入意義」|Litecoin財団創設理事へ独占取材

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

LiteCoin Haus CEOに独占インタビュー
CoinPost編集部は、Litecoin Foundationの創設理事 及びLitecoin.comを運営するLitecoin HausのCEOを務めるFranklyn Richards氏に独占インタビューを実施。来るライトコイン半減期の価格への影響から、匿名取引の実装計画の意義、またビットコイン及び仮想通貨の将来的な展望をプロジェクトサイドからの貴重な意見を伺った。
日本最大規模のブロックチェーンカンファレンス、TEAMZブロックチェーンサミット開催
TEAMZブロックチェーンサミットが4月6日と7日に開催された。同イベントには、モルガン・クリーク・デジタル社CEOのAnthony Pompliano氏、Wikipediaの共同創業者かつEveripediaのCIOであるLarry Sanger氏を始め、業界の国内外の専門家、一流投資家、ベンチャーキャピタル、投資銀行、規制機関などが集結した。

ライトコインの高まる需要と市場価格

強固なコミュニティーを持つ仮想通貨の一つに、ビットコインの次に古いライトコイン(LTC)がある。ライトコインは、2011年10月にビットコイン(BTC)のソースコードを基に開発され、より身近で使いやすい仮想通貨を目指し、送金スピードをビットコイン(BTC)の4倍に改善した。

現在時価総額5位のライトコインの価格は、2019年に入ってから、1月1日の年初来安値から2倍に上昇している。また今月8日に、Litecoin.comがライトコイン(LTC)のハッシュレートが過去最高に達したことを報告した通り、需要が高まる傾向にある。その動機は、主に2つある。

4年毎の「半減期」の到来

コンフィデンシャル・トランザクション(匿名取引)の採用

半減期の価格への影響

次回は今年8月ごろに予定されている半減期は、マイニング報酬が半分に減額される時期のことで、ライトコインの埋蔵量も減少する。よって、それに伴った価格の上昇が見込まれる。前回の2015年8月の半減期では、LTC価格はその直前で最大300%以上の暴騰を記録した。

今年8月頃に迫り来る半減期の市場価格への影響について、Franklyn Richards氏に伺うと、

一般的に半減期で見られる価格上昇は、仮想通貨はコモディティであるという概念に基いて需給関係の推移を予測した「買い」が急増するからだ。しかし、我々は次回もその様な価格高騰が期待されるとは考えていない。それ以上に我々が懸念するのは、半減期直前やその最中に、仮想通貨の暴落が起き、そこで損失を出した人々が、仮想通貨の領域を去っていくことだ。

と、半減期に伴う価格上昇は、約束されたものではないと釈明した。

仮想通貨の代替可能性問題

代替可能性(Fungibility)は通貨の特性の1つであり、ある資産単位が常に、同種類・同単位の資産と全く等しい価値であることを意味する。しかし、悪用された仮想通貨は同種のものでも価値が下がってしまうため、特にビットコインの代替性は問題視されてきた。

ライトコインの創設者、Charlie Lee氏は「代替可能性は、法定通貨にあってビットコインやライトコインに欠けている唯一の特性だ。」と指摘しており、その解決法として、ライトコイン財団は新たな匿名技術MimbleWimbleを搭載した仮想通貨「BEAM」の開発チームと提携、2019年内の匿名取引を実装計画を発表した。

同氏は、イベントのプレゼンテーション内でMimbleWimbleについて解説。MimbleWimbleは複数の取引を混在させることにより、ブロックをシンプル化し、送受金関係が不明確な取引を可能にすると言う。

出典:MimbleWimble ホワイトペーパー

MimbleWimble is confidential transaction on steroids.

ー 「MimbleWimbleは、究極の匿名取引である。」

Litecoin HausのCEO、Franklyn Richards氏

では、MimbleWimbleのプロトコルの実装で、完全にプライバシーは保障され、仮想通貨の代替性問題は解決し、過去のものとなるのかと同氏に投げかけると、

実際のところ、MimbleWimbleの導入だけではプライバシー問題は解決されない。しかし、代替性問題の解決に貢献することは確かである。プロトコルの実装にあたって、我々は「Switch Commitment(スイッチ・コミットメント)」を採用している。例えば将来、量子コンピュータの脅威が及んだり、プライバシー問題が起きたら、基本的にその瞬間に元のライトコインネットワークに戻すことができる。MimbleWimbleはソフトフォークで実装されていくからだ。

あくまでも互換性のあるソフトフォークで行われるため、通貨自体の大きな懸念へ発展しない点を強調、ライトコインの重要な転換点になり得ることを強調した。

仮想通貨、真の普及とは

MimbleWimbleの実装などにより、コンフィデンシャル・トランザクションが実現されれば、将来的に仮想通貨はその代替性の壁を乗り越え、法定通貨とほぼ同等の性質を持つ来る日が来るかも知れない。実際に、JPモルガンが独自仮想通貨「JPMコイン」を発行するなど、既存の金融機関もその可能性を認知していることは、間違いない。この様な、金融機関の仮想通貨領域への介入が大幅普及を加速させるか、同氏に意見を伺った。

様々な金融機関が、顧客に新たな利益を創出するために、仮想通貨やブロックチェーン技術を取り入れようとするのは良い動きだと考えている。しかし、私は全てがブロックチェーン化されるべきという考え方には反対する。例えば、JPモルガンの独自コインは「プライベートチェーン」上で発行されるステーブルコインのために互換性が無く、私はブロックチェーンの存在意義と相反するものだと思った。

では、金融機関が推進できる真の仮想通貨普及の姿とはどんなものなのだろうか?

仮想通貨が本当に普及した時は、きっと我々は仮想通貨について話すことは無いだろう。私は、真の普及とは一般的なイメージとは異なり、発明が「透明化」することだと考えている。単純に、従来銀行から海外へ送金する時に数日かかり、50ドル近く手数料がかかっていたものが、所要時間30分そして手数料も1ドルにも満たずに送金できる。そこには仮想通貨の「か」の字も登場しないだろう。だから私は「お金」だけでははつまらない、と言い続けて来た。仮想通貨の可能性は「お金」であることに固執しないからだ。

仮想通貨市場の価格展望

ビットコインは2018年の80%価格暴落以来、弱気市場が続き、ボラディリティの高さが問題となっている。しかし、2019年に入ってからは価格は回復気味であり、遂に市場の停滞期に終止符が打たれたのではないかという憶測が飛び交っている。

同氏にこの様な憶測についての意見を伺うと、

私は、弱気市場が終わりに近づいているという主張は信じられない。理由は2つあり、1つは2017年の価格高騰前の弱気市場は2年以上も続いた。それを考慮すると、今回の弱気市場もまだ続くだろう。2つは、ボラディリティの高さが依然と問題になっていることだ。つまり、利益を出すためだけに市場に参入している人が未だ多数いるなど、市場の頽廃(たいはい)がある。弱気市場というのは、この様な人々を追いやるためにあると考えている。そういう意味で現在は、仮想通貨市場全体が試練の時を経験している最中であると思う。

と、仮想通貨市場の春の到来は、まだ先であると予測した。

ビットコインが「金」であれば、ライトコインは「銀」であると比較して言われることも多い。ビットコインが体現できなかった仮想通貨の可能性をライトコインが実現させるのか、市場価格の動きと合わせて引き続き注目したい。

Richards氏と筆者 出典:CoinPost撮影

CoinPost App DL
厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
12/21 日曜日
14:00
今週の主要仮想通貨材料まとめ、ビットコインの2026年相場予測やブロックチェーン人気ランキングなど
前週比で振り返る仮想通貨市場の最新動向。ビットコインやイーサリアム、XRP、ソラナといった主要銘柄の騰落率や注目材料を一挙紹介。市場トレンドと関連ニュースを詳しく解説する。
11:30
ビットコイン、流動性低下で来週も不安定な展開か|bitbankアナリスト寄稿
ビットコインの今後の見通しをbitbankアナリストが解説。年末のホリデーシーズンで流動性が低下する中、来週にかけても方向感に欠ける展開が続く可能性。12月の米雇用・物価データが金利見通しの鍵を握る。
11:00
週刊仮想通貨ニュース|与党税制改正大綱の決定に高い関心
今週は、米SECのポール・アトキンス委員長の講演、ノルウェー政府系ファンドによるメタプラネットのビットコイン戦略に対する支持、政府・与党の2026年度税制改正大綱の決定に関する記事が関心を集めた。
12/20 土曜日
13:22
イオレがビットコイン追加取得、累計保有量101BTC超に
日本上場企業イオレが約1億6640万円分のビットコインを追加取得。ネオクリプトバンク構想の初期トレジャリー運用の一環として実施され、2026年3月期中に120億円から160億円規模の取得を目指している。
11:55
ブラックロックのビットコイン現物ETF、年初来リターンはマイナスも流入額6位入り
ブラックロックのビットコイン現物ETF「IBIT」が年初来のETF流入で6位にランクインした。一方でリターンはマイナスとなっており背景にある投資家心理が注目される。
10:50
メタプラネット、米国預託証券プログラム設立
ビットコイン保有企業メタプラネットがドイツ銀行を預託銀行とする米国預託証券プログラムを設立し、19日より米国店頭市場で取引を開始する。米国投資家の利便性向上と流動性拡大を目指す。
10:33
ビットコイン提唱者ルミス米上院議員が再選不出馬、仮想通貨法案成立に注力へ
仮想通貨推進派として知られるシンシア・ルミス上院議員が2026年の再選不出馬を表明した。任期終了までに包括的な仮想通貨規制法案や税制改革の成立を目指す方針を示している。
10:05
「ビットコイン価格は2035年に2億円に到達」CF Benchmarksが強気予想
CF Benchmarksが2035年の仮想通貨ビットコインの価格を基本シナリオで142万ドルと予想した。ゴールド市場のシェアを獲得することなどを前提とし弱気・強気シナリオも算出している。
09:10
イーサリアム、Glamsterdamの次のアップグレード名は「Hegota」
仮想通貨イーサリアムでGlamsterdamの次に実施されるアップグレードの名称がHegotaに決定。2025年と同様、イーサリアムは2026年に2回アップグレードを行う可能性がある。
08:15
ビットコイン、弱気相場入りか クリプトクアントが需要減速を指摘
クリプトクアントが仮想通貨ビットコインの需要成長鈍化を指摘し、弱気相場への移行を指摘。ETFの純売却や大口保有者の需要縮小、デリバティブ市場のリスク選好低下などが要因として挙げられている。
07:10
コインベース、2026年の税制変更で予測市場がギャンブルより有利になると指摘
コインベースが2026年の見通しレポートで、トランプ大統領が署名したワン・ビッグ・ビューティフル・ビル法により予測市場が従来の賭博より税制面で有利になる可能性があると指摘した。
06:50
アーサー・ヘイズ、FRBの新資金供給策RMPでビットコイン4年サイクル論が終焉と再度主張
著名トレーダーであるアーサー・ヘイズ氏がFRBの準備金管理購入プログラムを分析し、実質的な資金供給(QE)により仮想通貨ビットコインの従来の4年サイクルが崩れたとの見解を示した。ビットコインは2026年に20万ドルに向かうと予測。
06:20
仮想通貨の冬到来か、フィデリティ責任者がビットコインの2026年底値を6.5万ドル付近と予測
フィデリティのグローバルマクロ責任者ジュリアン・ティマー氏がビットコインの強気サイクル終了の可能性を指摘し、2026年の底値を6.5万ドルから7.5万ドルと予測した。機関投資家の参入により従来のサイクル論が変化しているとの見方が広がっている。
05:45
米FRB、仮想通貨企業向け「簡易版マスターアカウント」開設に進展か
米連邦準備制度理事会が仮想通貨関連企業を含む適格機関に決済サービスへの限定的なアクセスを提供する「ペイメントアカウント」案についてパブリックコメントを募集開始。
12/19 金曜日
17:38
税制改正大綱で仮想通貨税制が大きく前進、申告分離課税20%と3年間の繰越控除を明記
政府・与党が2026年度税制改正大綱を決定。暗号資産取引に申告分離課税を導入し、税率は株式と同じ一律20%に。3年間の繰越控除制度も創設される。金商法改正を前提とした条件付きで、2028年施行の見通し。昨年の「検討」から具体化が進み、web3業界の発展に向けた重要な一歩として評価されている。
通貨データ
グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧