- トライデントアーツ社がKDDIと共同開発しているブロックチェーンサービスを発表
- リップル社提唱の異なる台帳を繋ぎ簡単に価値を転送可能な規格「ILP」が活用されています。
- 携帯電話の修理事業と中古販売事業を繋ぎ、販売ネットワーク拡大と効率化を目指す
- KDDIはブロックチェーン開発に積極的な姿勢を見せていて、今後もこういったニュースが増えてくるかもしれません。
2017年11月20日、東京でリップル社がInterledger Workshopを開催しました。
CoinPost運営者も参加させて頂き、銀行やビットコイン等の異なる台帳を繋ぎ、簡単に価値を転送、もしくは送金するようにするための「ILP(インターレジャー・プロトコル)」について多くの事を勉強させて頂きました。
また、リップル社CTO Stefan Thomas氏にインタビューをさせて頂きましたので、そちらの内容も近日中に公開する予定です。
今回はILP(インターレジャー・プロトコル)の活用例として紹介されていた、日本国内の企業であるトライデントアーツ社がKDDIと共同開発しているブロックチェーンサービスについてご紹介します。
ILPについて詳しくはこちら↓
ILP活用例:Hyperledgerとイーサリアム技術を使用したブロックチェーンサービス
トライデントアーツ社は、JPモルガンが展開するイーサリアム・ブロックチェーンである「Quorum」、そしてLinuxにより開始されたブロックチェーン「Hyperledger」をILPで繋ぐ、というILPの活用例を示しました。
そして同時に、リップル社とは違い「ILPを非金融業界で活用する」ことを強調していました。
これを活用して、トライデントアーツ社がどういったサービスを提供するのか、詳しく解説します。
ブロックチェーンサービスの内容
まず、このブロックチェーンサービスはトライデントアーツとKDDIが共同で進めています。
そこから想像出来るかもしれませんが、今回の技術は携帯電話に関わるものです。
携帯電話の技術ならユーザーには関係ないと思う方もいらっしゃるかもしれません。
しかしこのサービスは「携帯電話の修理」と「携帯電話のリユース(再利用)、中古販売」を繋げることを目的としているため、ユーザーにも深く関係しています。
具体的に説明しましょう。
例えば、ユーザーが携帯電話を売りたいと考えたとします。
今までの場合、KDDIはユーザーの携帯電話を修理し、ユーザーはその後中古販売ショップに持っていくでしょう。
しかし、このサービスは修理側のブロックチェーンネットワークと中古販売のブロックチェーンネットワークを繋ぎ、情報を共有してKDDIへと修理に持っていった段階で売値を割り出します。
そして、その場で決済まで持っていくことが可能になります。
これにより、今までは修理して返還するだけだったユーザーに対しても、KDDIの販売ネットワークが広がります。
また、ユーザーも修理に持っていくだけで携帯電話を売り、実際に決済まで行うことが可能で、効率化を図ることが出来ます。
トライデントアーツ社とは?
トライデントアーツ社は、2016年11月に設立された企業です。
業務内容としては大手企業向けのブロックチェーン企画のコンサルティングとPOC開発を受託しているそうです。
また、2018年の事業化を目指し、ブロックチェーンを活用した自社サービスの開発を進めており、今回のInterledger WorkshopではILPの活用例として紹介され、どういった技術なのかという発表が行われました。
詳細は不明ですが、2018年よりILPのサービスプロバイダーという事業も行う予定とのことです。
KDDIのブロックチェーン技術に対する姿勢
KDDIはブロックチェーン技術に対し積極的な姿勢を見せています。
2017年9月27日には人工知能やロボティクス、ブロックチェーン開発等を行うクーガー株式会社と共同でEnterprise Ethereumを活用したスマートコントラクト技術の実証実験を開始しています。
また、KDDIはEnterprise Ethereumのユースケースの共有や標準化、オープンソースプログラムを開発するためのアライアンスである「Enterprise Ethereum Alliance」に加入しています。
Enterprise Ethereumとは?
Enterprise Ethereumとは、全世界に公開されているイーサリアムブロックチェーンとは違い、非公開のブロックチェーンという企業向けに最適化されたイーサリアムです。
ILPの開発難易度について
リップル社は、ILPはとにかくシンプルな規格にしているということを強調していました。
そしてトライデントアーツ社の町氏と大竹氏も同様に、ILPはシンプルで開発がやりやすいものだったと述べています。
このように、非金融業界以外でも活用が検討されているリップル社提唱の規格ILPは今後更に広がりを見せ、様々な場面で採用されることになるかもしれません。